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賢者の弟子を名乗る賢者10 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

賢者の弟子=賢者

情報

作者:りゅうせんひろつぐ

イラスト:藤ちょこ

試し読み:賢者の弟子を名乗る賢者 10

ざっくりあらすじ

ソウルハウルを追ってダンジョン『古代地下都市』にやって来たミラ。そこは七階層になる古代人が生活していた廃墟だった。階を進むごとに強くなっていく敵と戦いながら先へと進んでいると、神話に出てくる伝説と遭遇する。

感想などなど

ソウルハウルを捜し始めたのは二巻の頃にまで遡る。正確には戦争に備えて九賢者を招集したい、という旨の依頼をソロモン王に受けたことに由来するのだが、そのことをしっかりと覚えている者はどれほどいるだろうか。そこからソウルハウルの痕跡を辿っていく内に、キメラクローゼンとの戦闘というとんでもない回り道を経て今に至る。

そんなミラの次の目的地はダンジョン『古代地下都市』。

七つの階層構造になっており、階を進むごとに敵は強く、先へ進むためのギミックも面倒なものになっていく。それらを召喚術による力業と数の暴力によって突破していくミラ。それぞれの階層では一人では厳しいギミックもあり、新たな変人・奇人たちとの出会いもあり、こうして登場人物が膨大になっていく作品だったことを思い出す。

そんな数機な出会いに、新たな精霊が加えられることとなる。

一人目は屋敷精霊。見つけたときにはかなり弱っていたのだが、精霊王の力もあって契約できるまでに回復。言葉を話すことはできないが、召喚することで名前の通り、屋敷をその場に出すことができる。今はまだ弱い精霊であるため、サイズとしては小さな小屋レベルではあるが、中に入れば雨風を凌ぎ、水や火の精霊の力を借りることで風呂に入ることができるという冒険には是非とも欲しい精霊である。

二人目は植物を司る始祖精霊・マーテル。始祖というだけあって、精霊王とは顔なじみであるらしい。となると期待してしまうはその ”強さ” であるが……そもそも契約しても召喚するには、超級の魔法を習得しないといけないらしい。まだまだ召喚術には奥があるということらしい。極め甲斐があるというものだ。

この第十巻は主に、始祖精霊マーテルに頼まれ事をされる話と、ソウルハウルを追いかける話、計二本の大筋で構成されている。まずは頼まれ事について見ていきたい。

 

そもそも始祖精霊マーテルは、精霊王でしか開けることのできない壁の奥に閉じ込められていた。いや、閉じ込められていたという表現は全くもって正確ではない。

どうやら人間の切り札である『三神の降臨』を行う器を隠すため、彼女はこうして誰にも見つからない――それこそ精霊王クラスにしか見つけることのできない場所に、神器を持って籠もっていたようだ。

そもそもどうして神器を彼女が隠しているのか? もっともな疑問である。

先ほども書いた通り、彼女が隠している神器は『三神の降臨』させるために必要なキーアイテムだ。これは人類が危機的な状況に陥った場合の切り札であり、人類にとっては最後の希望。そんなものをそこらに置いておく訳にもいかず、人に管理させるというのも不安……そこで最も安全な場所として始祖精霊マーテルの傍、しかも精霊王クラスにしか開けられない壁の中という二重にも三重にも厳重な守りを敷いているという訳だ。

そんなマーテルにも最近は悩みがあるらしい。

近頃、地上でも話題に上っていた地震。小さな揺れが頻発していたのだが、その原因はマーテルが封じていたフェンリル(元ネタは北欧神話。大きな狼)が、理性を失って暴れていることに起因しているのだという。

封じていたというと、フェンリルは何か悪いことをして閉じ込められた――というようなことを思うかもしれない。しかし実体は、フェンリルが正体不明の呪いに冒されたことで、徐々に自身の理性が失われつつあることを察し、マーテルに自身を封印するようにお願いしたという経緯があるようだ。

そんな悲しきフェンリルを救うため、マーテルは呪いを解いて理性を取り戻す白い果実を作り出した。それを封印されているフェンリルに食べさせて欲しい……それがマーテルの依頼であった。その依頼を快く受けるミラ。

しかしその任務は想像よりも遙かに難易度の高い依頼であった……。

なにせフェンリルは神話上の生物。封印と呪いによって幾らか小さくなっているが、それでも三十メートルは下らない。ブラックナイトは一撃で粉砕、バリボリと喰われている。数の有利を取ろうにも、フェンリルは影から狼の分身のようなものを生み出すことができるようだ。その一体一体も凄まじく強く、もしも全盛期のフェンリルだったらと考えると、勝てるビジョンが見えない。

しかしそこは小さくなっても九賢者。これまで数多くの修羅場をくぐってきたゲーマーである。嘗めてはいけない。やはりこの作品の醍醐味は戦闘だということを教えてくれるエピソードで、これまで召喚してきた仲間達が勢揃い内容であった。

 

さて、ソウルハウルの話に戻りたい……ところであるが、これがまた先が気になる良いところで終わってしまった。わんさかと出てくるソウルハウルに関する昨日、今日の目撃情報に、確実に彼に近づいているということが分かってくる。

そしていよいよ――、ネタバレは避けておこう。

詳しくは次巻の感想で語りたい。

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