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賢者の弟子を名乗る賢者5 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

賢者の弟子=賢者

情報

作者:りゅうせんひろつぐ

イラスト:藤ちょこ

試し読み:賢者の弟子を名乗る賢者 5

ざっくりあらすじ

ソウルハウルの手掛かりを求めて、天上廃都へ向かうこととなったミラ。遠出になるということで、大陸鉄道を使うことに。各駅で出会いと別れを繰り返す中、黒服の怪しげな影が――

感想などなど

皆さんは列車に乗って旅をしたことはあるだろうか。

日本は鉄道網が充実している。田舎でなければ車も必要ないのではないだろうか? 住む家を決めるときは、最寄り駅との距離を重視し、ダイヤを守って運行される幸せを当たり前のように享受している。

そんな鉄道が、VRMMO『アーク・アースオンライン』の世界にも作られたようだ。

三階建ての構造の列車は大迫力。ビジネス、エコノミー、ファーストクラスというように払った金次第で豪勢な個室やら食事やらまで堪能できるのだという。ソロモン王から金だけはふんだんに貰っているミラ。当然ながらファーストクラスへの切符を購入する。

とはいえ運行は時間通りとはいかず10分程度のズレは当たり前という感覚でいなければいけない。一駅の移動ごとに一枚の切符を買うというシステムは、なかなかに面倒なように感じる(三駅先に用がある場合は、三枚の切符を買う)。

この第五巻における列車の旅は、いわば短編集のようなものだと思って貰えれば良い。各駅、もしくはその道中で出会う多くの人達との出会いと別れを描き、回収されると思しき伏線やフラグも散りばめられている。

読んでいて、ふと「あぁ、この旅の目的はソウルハウルの手がかりを求めてたんだな」と主題を忘れてしまうような脱線の数々。温泉街だったり、カードゲームだったり、冒険者相手の商売人との話だったり、大地に突然穴が空いてしまう現象を調査する冒険者に付き合ったり……どの話に言及すれば良いか目移りしてしまう。

まぁ、とにかく。もう少し細かく見ていこう。

 

何度も繰り返すようで申し訳ないが、第一巻のラストでソロモン王に依頼されてから一貫して、ミラの目的は九賢者を探すことである。その中でもソウルハウルの痕跡を追って、方々を巡ってきたことは御存知の通りである。

そして各地で変な騒動に巻き込まれ、持ち前の面倒見の良さと、超便利な召喚術で助けてきた。正直なところ、これまで出てきて助けた面々の名前を、ほぼほぼ覚え切れていないくらいには人と絡んでいる。この第五巻でその名前のリストに一気に十人以上増えることを、ここに記載しておこう。

例えば。

駅前で栄えた街・シルバーサイドでは、趣向を凝らした宿の数々や、お土産物の店が建ち並び、多くの冒険者や商人といった人々でごった返していた。そこで一晩泊まることにしたミラは、日本人にとっては憩いの場である温泉につかりゆっくりとしていた。

お忘れかもしれないが、ミラの中身は男である。ミラが入るのは当然ながら女湯である。そこに広げる風景を、文章で緻密に表現することは憚られるが、絶景であるということに変わりはない。

そこで出会った女性冒険者・アセリアに、背伸びする可愛らしい子供と思われたミラは、色々と世話を焼かれてしまう。そこでミラやソロモン王のように、何年経っても容姿が変わらない人種は(つまりはゲームプレイヤーだが)、天神族と呼ばれていることを教えてくれた。

その代わりという訳ではないのだが、ソロモン王のような戦闘スタイル――剣と盾を駆使した戦士スタイル――に憧れているという彼女に、ソロモン王とは古くからの友人だったミラは、色々なことを教えてあげた。剣よりも先に盾を究めるべき、盾の属性、敵との相性……などなど。

ただ戦うだけでなく、相手に戦い方を教えるというお節介の焼き方もある訳だ。

他にも。

天上廃都へ向かう道中、高い所にあるためにペガサスを使うも、高山病によってしばし地上での休息を余儀なくされた。そんな彼女のもとにやって来たのが、冒険者兼研究者として、最近になって各地で発生している『地面に大穴が空くという現象』を調べに来ていた冒険者二人である。

そんな彼らの助けもあって、天上廃都へと向かうことができるのだが、ついでに彼らの調査も助けることになる。戦闘において、ミラの助けが十二分に役立ったことは言うまでもないだろう。ちなみに、ミラがスカートをたなびかせて、足を曝け出して戦うことで男冒険者をドギマギさせたことは、わざわざ書く必要もなかった気がする。

 

気付けば目的も果たしていたのだが、事態は急速に進み、情報が一気に出されてくる。悪魔が現れていた原因……は分かってないか。ソウルハウルの居場所……は分かってないね。

……まさかと思う情報が判明し、結局物語としては進んでいない。新情報の展開を求むぞ第六巻。

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