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【漫画】賭ケグルイ双12 感想

【前:第十一巻】【第一巻】【次:第十三巻

※ネタバレをしないように書いています。

賭ケグルイ前史

情報

原作:河本ほむら

作画:斎木桂

試し読み:賭ケグルイ双 12巻

ざっくりあらすじ

壬生臣葵に勝った芽亜里は、それ以来、誰にもギャンブルをして貰えずにいた。勝者になると意気込んではいたものの、このままで良いのかと思い悩んでいる中、中等部のギャンブラーがやって来て……。

感想などなど

『国盗りゲーム』において、自分が負けるようにゲームを組んで生徒会を潰そうと画策した壬生臣葵に、彼の計画を全てひっくり返した上で完全に勝利した芽亜里。結局、彼が最後まで開けなかったカードの中身は分からずじまい、壬生臣の反則負けという決着であったが、彼女が勝ったという事実には変わりない。

その後、壬生臣葵は学校を辞めていった。この戦いを経て大切なことに気付き、そして失った。彼の弱さを理解して、どうして頼ってくれなかったと涙を流す婚約者・咲良に惚れたのは、読者だけではなく壬生臣も同じだろう。「悪かった」という謝罪の言葉は、彼の本心なのだろう。

そんな彼は最後の最後で盛大に曇ることとなる。

生徒会長・綺羅莉に対する宣戦布告だった「決起」を、彼女は知らなかった。芽亜里と壬生臣との「国盗りゲーム」の勝敗次第では、生徒会が潰されていたかもしれなかったが、彼女はそれも知らなかった。当然、芽亜里という人間は有象無象の生徒の一人に過ぎなかった。

彼女に追いつくため、彼女に自分を見て欲しいがため、届くはずのない幻想に追いつくための「決起」は、彼女の目に届いてすらいなかった。壬生臣が思っている以上に、生徒会長のいる場所は高すぎたのだ。

……そうして『賭ケグルイ双』は完結……と言いたい。

 

『賭ケグルイ』本編では早乙女芽亜里は敗者となって落ちぶれている。壬生臣との勝負で勝って、みんなに恐れられる凄腕ギャンブラーの姿はなりを潜めている。この『賭ケグルイ双』ではそうなっていない。

本編と繋がるためには、落ちぶれるための説得力が必要である。それなのに、『国盗りゲーム』後のギャンブルでは連戦連勝の芽亜里。壬生臣に勝ったことの影響力は凄まじく、そもそもギャンブルをしてくれる相手が少ない上、してくれたとしても芽亜里との勝負では大金を賭けようとしないため、儲けは少ない。

壬生臣との戦いでの勝利は、これから始まる躍進劇への始まりでしかないと豪語していた気がするが、彼女の言う躍進劇とは、こんなセコセコと小銭を稼ぐギャンブル生活のことを指すのだろうか。

いや、それでは駄目だ。どうにかこの状況を打開しなければいけない……と模索する中、彼女の前に中等部のギャンブラーが遊びにやってくる。彼、彼女らの恐ろしさは我々読者の想像を遙かに上回ることを約束しよう。

ここからが初まりである。

 

中等部のギャンブラーを紹介しておこう。

中等部三年・豪兜命、蘇我正業。二人は男女ペアで行動し、賭場を荒らしまくっていた。そのうちの一つが、かつて芽亜里も挑戦した『聴重千金』。縦ロールツインテのお嬢様・瑠璃鳥撫子は(半年も)練りに練ったイカサマを駆使し、搾り取れるだけ金を搾り取るギャンブラーだ。

まぁ、そのイカサマを逆手に取られ芽亜里に負けた訳だが、この第十二巻でもまた負ける。ただ今回は負け方の趣向が少し違う。どうやらイカサマを完全に見抜き、それを生徒会に報告、反則負けという形で幕引きとなった。

芽亜里もイカサマにある程度気づいていたし、同じ手法が使えた気もする。それにしたって一回か二回ゲームをしただけでイカサマに気づいたのだという。そのために事前調査はしっかりと行い、『イカサマをしている賭場』に焦点を当てて挑んでいく。絶対にイカサマを見抜けると信じて。

なるほど、絶対にイカサマを見抜けるならば、二人の勝ち方はかしこいのかもしれない。そんな二人に挑むこととなった芽亜里、果たして勝負の行方は――。

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