※ネタバレをしないように書いています。
賭ケグルイ前史
情報
原作:河本ほむら
作画:斎木桂
試し読み:賭ケグルイ双 3巻
ざっくりあらすじ
生徒会執行役員・壬生臣葵に気に入られ、しつこく「善咲会」に勧誘されることとなる早乙女芽亜里。勝ち馬に乗りたい早乙女は、現生徒会長との戦いを目論む会に入るにしてもタイミングを見計らいたいと考え――。
感想などなど
『善咲会』とは。
生徒会執行役員・壬生臣葵が、現生徒会長・桃喰輝羅莉を打ち倒すために作った組織である。ギャンブルにおいて最強、これまでの人生でたった一度の挫折も経験したことがない彼女を打ち倒すため、まずは現在の奴隷達を全員解放するという目標を掲げている。
その計画において大事になってくるのが、ギャンブル勝負を通じて金を稼いでくれる人間である。その超重要な役割を、是非とも早乙女にやらせたい葵は、彼女をしつこく勧誘してくるようになる。
本心はどうであれ、彼の思い浮かべている計画がどうであれ。「カップリングゲーム」において、仲間との絆を信じて大金を荒稼ぎした彼女の手腕は、認められるべきであろう。
このまま早乙女が首を縦に振れば、普通に彼女も『善咲会』の一員となることができる。しかし彼女の脳裏には、勝者になるという目的が浮かぶ。このまま『善咲会』に入ったとして、勝者になることができるのだろうか、と。
なにせこの『善咲会』の目的は、現生徒会長を潰すこと。
本編では唯一、蛇喰夢子に勝ったことがある最強のギャンブラーであり、現在のシステムを作り出した張本人である全ての元凶。彼女に勝つ算段があるとはいえ、『善咲会』に乗っかって未来があるのだろうか。早乙女はそんな計算をして、「勝ち馬に乗れる時に乗る」立ち位置に自分を置くための計画を思いつく。
要は、『善咲会』が今のシステムを潰しそうなタイミングになれば協力し、そこまでは無関係な者を装う。そうすれば負けそうな時は何の問題もなく逃げられるし、勝ちそうな時はその勝ち馬に乗れるという訳だ。
とはいっても、そんなポジションになれるかと言われれば難しい。これからも勧誘はされ続けるだろうし、その勧誘をかわし続けることは、第一巻で賭場を潰した葵の手腕から考えると厳しいだろう。
葵は権力・実力共に、いつだって早乙女を潰すことはできるのだ。
そうして悩みあぐねていた時、早乙女の『善咲会』入りを望まない者達が動き出した。
一人は生徒会役員・聚楽幸子……のミケ・佐渡みくらである。聚楽様に心酔している彼女は、聚楽に気に入られた早乙女のことが憎くて憎くて仕方がなく、なんとしてでも彼女のことを蹴落とそうと画策するようになる。その一環が、今回の騒動の引き金となっている。
もう一人は美化委員長・三春滝咲良。なんと彼女は壬生臣葵の許嫁であり、ポッと出の早乙女が彼に気に入られていることが気に食わず、佐渡みくらの計画に乗っかり、早乙女を潰そうとする。
女性の嫉妬の怖さが窺い知れる。早乙女が葵のことをなんとも思っていない辺りも面白い。
佐渡みくらが出した計画はシンプルだ。早乙女が『善咲会』に入るにあたっての入会試験として、三春滝咲良と勝負するように流れを仕組んだのだ。そのゲームの名前は「宝探し」。
ルールもまた非常にシンプル。同好会棟と呼ばれる四階建ての建物の中に隠された宝を見つけ出すというものだ。探すためのヒントとして、早乙女と三春滝にはそれぞれ、一枚の紙が入った封筒が配られる。
その紙には、4×8の升目に数字が割り振られた表のようなものが書かれていた。同好会棟を歩き回りながら、それらの数字と部屋が対応しているらしいことが分かり、何らかの規則性に沿って並べられた数字のうちのどれかが宝のある部屋に該当することまではすぐに分かった。
ここからが難しい。
しかもこの謎解き。総合的な知識量がものをいう。あることを知っていなければ、絶対に答えは導き出せないような内容になっている。娯楽としてのゲームでは必要になる知識が分かるような誘導があり、このゲームにもそれらしい誘導はある……あるが分かるのか? 分かっちゃうのかぁ……という感じになってしまった。
みなさんはこのゲームで早乙女達に要求された知識を有しているのだろうか。騙し合いの頭脳戦よりも、このゲームを企画した聚楽様のセンスや行動力に拍手を送りたい。