工大生のメモ帳

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【漫画】賭ケグルイ双4 感想

【前:第三巻】【第一巻】【次:第五巻

※ネタバレをしないように書いています。

賭ケグルイ前史

情報

原作:河本ほむら

作画:斎木桂

試し読み:賭ケグルイ双 4巻

ざっくりあらすじ

善咲会の誘いを断った早乙女芽亜里は、期末試験に備えて一時休戦、賭場もお休み。しかし試験が終わればすぐさまギャンブル。学級委員という面倒事を押し付け合いを賭けたゲーム「テストバトルゲーム」が始まる――。

感想などなど

勝者になることを目的に行動する早乙女芽亜里は、勝ち馬に乗れるように善咲会からの勧誘を良い感じに保留できるように画策していた。そのために美化委員長・三春滝咲良との宝探しゲームに挑み、完膚なきまでに勝利。”いつでも” 善咲会に入れるように準備を整えた。

ここまでは順調だった。

最初に啖呵きって一人でも問題ないと早乙女芽亜里たちを嘗め切っていたいた咲良を、仲間との協力で見事に勝ち切った展開にスカッとした読者も多かったことだろう。ブチギレしたポチ・佐渡みくらに笑いを抑えきれなかった読者もいたことだろう。

しかし、許嫁である咲良に「お前のような疫病神はいらない」とクビを言い渡しながら、咲良との婚姻関係は自身のメリットのためだと言い切り、そこに恋愛感情は一切ないと断言した壬生臣葵に対し、「クソ野郎」と言ってのけた早乙女芽亜里。

目を見開いて驚いた様子の葵と、その後ろで笑っている聚楽幸子が描かれたラストのコマが、個人的には好きだったりする。

 

さて、第四巻で勝ち馬に乗る作戦を自ら切り捨ててしまった早乙女。どんなに勝者になることを目論んでいたとしても、下種には落ちない彼女の生き様に惚れそうになる(なんで本編ではあぁなった……)。

彼女はそんなことを後悔し、落ち込みながらも仲間たちに支えられながら奮起しつつ、定期試験にも望んでいった。彼女は特待生として編入したということもあり、成績は優秀だった。日ごろから予習と復習を欠かさないと言っていた通り、かなり好成績だったようだ。

そして始まるのは、学級委員という外れくじを押し付け合うゲーム「テストバトルゲーム」。

皆さんの学校では学級委員とは、どのような役職だっただろうか。

大抵の場合、クラスの中心人物が立候補か推薦によって選ばれ、クラスをまとめていく存在となっていく。教師からの信頼も厚く、成績にも大きく関わってくることになる。そんな一般的な常識は、この学園においては適用されない。

そもそもこの学園はギャンブルに強ければ、成績は重要視されない(特待生だけは特殊で、成績が良くないといけない)。加えてお嬢様学校なのだから、成績を良くしようとする者も、あまりいないのではないだろうか。

そのため、学級委員という役職はクラスにおける雑用係に成り下がった。つまり誰もやりたがらない。しかし早乙女は、学級委員となろうと動き出す。

理由としては、外れくじである学級委員を押し付け合うゲーム「テストバトルゲーム」の優勝賞金が30万という大金だったこと。貧乏な早乙女にとって、これは喉から手が出るほど欲しい。

そんな彼女の前に立ちふさがるのは二人。

一人は、第一巻の最初のゲーム『時短大富豪』で早乙女に負けた愛浦心。あれ以来、早乙女に復讐する機会をうかがっていたようだ。第四巻で彼女を見たとき、「誰だっけ……?」となってしまった。モブだと思っててごめんなさい。

もう一人は、目元を隠すような髪型をした地味目な女子・下月売奥理。彼女は早乙女と同じく特待生で編入した成績優秀者である。どうも彼女は、見たものを映像としてそのまま記憶する「直観像記憶」能力持ちで、これが非常に脅威となる。

一度負けた愛浦心はとにかくとして、下月売が早乙女に敵対するのは何故か。

理由はシンプル。彼女は葵に心酔しているのだ。

 

葵に心酔している彼女にとって、葵に好かれていながら彼をこっぴどく振った早乙女は敵以外の何者でもない。しかも自分ではなく早乙女のことばかり語る葵の話を聞いているうちに、胸中に沸き起こる嫉妬心が、彼女をギャンブラーへと進化させた。

「直観像記憶」を駆使して、ギャンブルに挑んでくる彼女の強さは異常だ。まぁ、この「テストバトルゲーム」ではその真価が発揮されないのだが。今後は早乙女の前に幾度となく立ちふさがることになる。

さて、気になっている方も多いことだろう「テストバトルゲーム」に関して説明しよう。

このゲームはクラスメイト全員が参加する1on1のトーナメント形式のゲームだ。それぞれ対戦するプレイヤーは、用意された数字が書かれたカードを一枚引く。その数字は、クラスメイトの『出席番号』と対応している。それぞれ数字を引いたプレイヤーは、次に『教科』を選択する。

こうして指定された『出席番号』の生徒の選択した『教科』の点数が、自分の持ち数となり、この持ち数が大きい方が勝者だ。『出席番号』の引きも運、『教科』の引きも運という運尽くしのゲームとなっている。

ここでお察しの方もいるだろう。

このゲーム、運だけだと思っていると足をすくわれる。

愛浦心が早乙女をボコすために編み出した作戦は、考えうる限りで最強の必勝法だ。おそらく誰もが思いつき、しかし実行を諦める。そんな無理難題を成し遂げた彼女の手腕には、素直に経緯を評したい。

ただ相手が悪かった。そして自身の性格をせいぜい恨め。

今回はスカッと要素強めのゲームであった。

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