工大生のメモ帳

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【漫画】賭ケグルイ双8 感想

【前:第七巻】【第一巻】【次:第九巻

※ネタバレをしないように書いています。

賭ケグルイ前史

情報

原作:河本ほむら

作画:斎木桂

試し読み:賭ケグルイ双 8巻

ざっくりあらすじ

文芸部を守った雪見とつづらは、二人で考えたゲーム『リトルマックス』で金を稼ぐことに。一方、賭場を回って金を稼ごうと動き出した芽亜里は、音楽室で行われているギャンブル『聴重千金』に挑む。

感想などなど

名門というだけあって、私立百花王学園の文化祭は賑やかで華やかだ。芽亜里が庶民感覚を忘れていないおかげで勘違いしそうになるが、そういえばお嬢様学校だったということをまざまざと見せつけられる。

そもそも賭場で十万も二十万も、百万が一瞬で溶かされることが珍しくない。お嬢様というのはそういった勝負をふっかけられる根性が必要なのかもしれない。お嬢様というのは奥深い属性なのだろうか。

そんな奥深いお嬢瀬間キャラの要素を詰め込んだギャンブラーが登場する。

彼女の名前は瑠璃鳥撫子。縦ロールというお嬢様の必須装備に高飛車な笑い声、丁寧な「ですわ」口調は正しくお嬢様。嗜むのはピアノとギャンブル。音楽室を一人で占拠し、取り仕切っているギャンブルは、手数料なし、理論上控除率0%、一対一の実力勝負。

ギャンブルの名前は『聴重千金』

このゲームのルールはかなりシンプルで分かりやすい。用意するのは300枚の一円玉と、300枚の五十円玉。それを入れる二つの貯金箱。そららを乗せて計ることができる天秤。

プレイヤーは硬貨を好きな枚数撮り自分の「貯金箱」に入れる。そしたら蓋をして天秤の片側に置く。この時、貯金箱が置かれたタイミングで、両者は『天秤上の二つの貯金箱に入っている硬貨の合計枚数』を解答として宣言することができ、当たれば賭け金の五倍を得て、外せば賭け金の一倍を支払う。つまり相手が正解を解答し、自分が誤答した場合、自分は相手に賭け金の六倍を支払うことになる。

このゲームで重要になってくる要素は二つ。

一つは、天秤の傾きから判断できる重さだ。

一円玉は1グラム、五十円玉は4グラム。つまり自分の貯金箱に五十円玉一枚が入っていて、相手の貯金箱と釣り合った場合、相手の貯金箱に入っている硬貨は、自分と同じ『五十円玉一枚』か、『一円玉四枚』だということが分かる。釣り合っていないという場合でも、自分の貯金箱より重いか軽いかで、相手の貯金箱に入っている硬貨の枚数などを絞り込んでいく。

二つ目は、硬貨を貯金箱に入れる際の音だ。

貯金箱は金属製で、硬貨を入れる際にはそれなりの音が出る。もしも一枚だけ入れたとなれば、はっきりと分かってしまうだろう。逆にかなーり多く入れた場合も分かる。これだけでも相手の貯金箱の硬貨の枚数を絞り込んでいくには、必要な情報源となってくる。

つまり聴くことと、重さが大事――『聴重千金』とはセンスのある名前のゲームではないか。そんなゲームを提案し、芽亜里から大金をせしめようと画策する瑠璃鳥撫子が、これまた憎めないギャンブラーなのである。

少しばかり彼女を応援してしまったことは、ここだけの秘密にして欲しい。

 

瑠璃鳥撫子は、このゲームにおいて絶対的な自信があるらしい。つまり何かしらイカサマをしているだろうことは、その自信たっぷりな様子から伺える。しかし芽亜里はゲームに乗った。ここで負けるようでは上には上がれないという彼女なりの自信の現れなのだろう。

そんな両者がぶつかりあう本ゲームにおいて、撫子の用いたイカサマは、全編を通してみても、かなり出来の良いイカサマだったと個人的に思う。

第四巻『テストバトルゲーム』でクラスメイト全員を味方に付けたとか、第六巻『隠された掟ゲーム』でバッテリーをしていたからハンドサインが得意とか、そんな肩透かしのイカサマではない。

面倒な手間はいらない。

(巻末にあるおまけ漫画で非常に面倒な準備がいることが判明したが……)

相手の意表を突き、簡単にできるイカサマを二重にも三重にもかけることで、自分の勝ちを確実なものにするイカサマ師の姿を見ることができた。そのおかげで、芽亜里が「勝った」と思ったところで突き落とし、そこから這い上がりという二転三転の展開が生まれている。

ここだけで終わらせるには非常にもったいないギャンブラーだと思う。再登場を求む。

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