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錆喰いビスコ2 血迫!超仙力ケルシンハ 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

キノコ守りによる疾風怒濤の冒険譚

情報

作者:瘤久保慎司

イラスト:赤岸K

世界観イラスト:mocha

試し読み:錆喰いビスコ 2 血迫!超仙力ケルシンハ

ざっくりあらすじ

赤星ビスコは、自分の不死体質を消し去るために旅をする。その過程で《出雲六塔》を擁する大宗教国家・島根に、不死僧正・ケルシンハがいると聞き、真相を確かめに行く。

しかし、不意打ちで胃を奪われてしまい・・・・・・。

感想などなど

第一巻では、錆喰いの影響で不死となり、県知事を倒しました。一度死んだビスコの勇姿とミロの涙に、もらい泣きした人もいるのではないでしょうか。

日本を舞台に繰り広げられるファンタジーということで、前回は横浜から東北にかけてでしたが、今回は出雲大社のある島根県が舞台になっています。自分は島根に行ったことがないのですが、何か元ネタになるような建物や地名があるのでしょうか。調べてみたら面白いかも知れません。

さて、今回の目的は「自分を不死じゃないようにする」ということです。

不死は誰もが思い描く夢であり、不死を捨てるなんて・・・・・・と思う人も多いことでしょう。

「死ぬときは一緒に」というミロとビスコが交わした約束を、思い出していただきたい。深い絆を築き上げた二人の関係性を表す、象徴の一つとなっています。しかし、このままビスコが不死のままだと、この約束が叶えられることはありません。

なんせミロはいつか死んでしまうのに対し、ビスコは死ぬことができないのですから。

つまりは、そんな二人の約束を叶えるための旅といことになります。二人の約束を叶えるための旅・・・・・・いい響きです。

 

前回の敵である県知事の目的は、錆喰いというキノコを手に入れることでした。だからこそ、ビスコに見つけさせ奪うことで目的を達成させようとしていたのです。

では、今回の敵である不死僧正・ケルシンハの目的とは一体何なのでしょうか。

それを理解するためには、彼について掘り下げていかねばなりません。

まず彼は《出雲六塔》を総本山(こういう言い方が正しいのか分かりませんが)とする、魔錆天言宗の長でした。その宗教では、不死であるケルシンハを崇めることで、不死になれると言うことで多くの信者を集めました。またケルシンハが非常に強い神通力を操ることも、多くの信者を集めた一つの要因でしょう。

実際、彼は側近に不死の力を授けました。

すると側近達は、側近達は自らの不死の能力が奪われるのを恐れて、ケルシンハを追放しました。「授けられるのならば、奪うこともできるだろう」という発想の元、起きた事件です。

ここで一つ疑問が生じます。不死の男をどのようにして追放したのでしょう?

殺した? いえ、彼は不死なので殺せません。では、遠くに追いやる? 強力な神通力がある限り、そう簡単にはいかないでしょう。

結論から言ってしまえば、彼の力の源である臓腑を奪うことで弱体化させ、追放することに成功したのです。つまり今は、臓器を奪われ、大した神通力も使えない爺さんとして、どこかに生きていることになります。

そんなケルシンハが復讐心を抱き、臓器の回収に動き出したとしても何も不思議ではありません。その過程でビスコの胃を奪うわけですが、これはいわゆる埋め合わせ。

まぁ、その胃が結構気に入られたりしますが、それはまた別のお話。

 

ここで疑問に思う方もいるのではないでしょうか。

「ビスコが不死なら、胃が抜かれても問題ないんじゃね?」

普通の相手ならば、問題もなかったでしょう。今回は相手が悪かった。

胃を抜かれた代わりの空きスペースに入れられたのは、無限に錆を発生させる元のようなもの。錆喰いのお陰で全身が錆にまみれることはないものの、無限に発生する錆と勢力が拮抗し、再生ができなくなってしまっているのです。

しかも、このままでは錆喰いが錆を食い過ぎたことにより、体内の錆喰いが異常繁殖して、ビスコが死んでしまう。そのタイムリミットが五日間。

なんとかそれまでに、臓器を奪っていくことで強くなっていくケルシンハを倒し、胃を奪い返さなければいけない。ということで臓器を奪われたくない元側近達と協力体制を築こうとするのですが、そう上手くいかないのが世の常。

自らの不死の力を過信しすぎていたり、仲が悪かったり、ケルシンハと繋がっているような怪しいそぶりを見せたり・・・・・・。

 

相も変わらず、見所満載の力強いアクションシーンは顕在。和風チックの世界観とファンタジー的要素が上手く組み合わされています。

あぁ、早くアニメ化されてくれないかな。強くなったミロにビスコが背を預けるシーンとか、アクタガワがミロを背に乗せ空を飛ぶシーンが見たいなぁ。

ファンタジーでありながら、シーンがありありと思い浮かべられる・・・・・・いいライトノベルでした。

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