工大生のメモ帳

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青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない 感想

※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます(一巻の感想はこちら→青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない

風呂場から出ると、そこは修羅場だった。

情報

作者:鴨志田一

イラスト:溝口ケージ

ざっくりあらすじ

 クリスマスまで一ヶ月を切ったある日。初恋相手の翔子さんと、現在お付き合いしている麻衣先輩と、青春ブタ野郎こと咲太の三人でコタツを囲っていた。やむなく翔子さんと同居していたことが、麻衣先輩にばれたのだ。

そんな修羅場の最中、小さい翔子ちゃんの病気が悪化していることを耳にする。

感想などなど

前回は ”かえで” が消えて、元の ”花楓” が戻ってきました。これが本来の正しい結末であり、ハッピーエンドなのでしょうが、どうにもやるせない気持ちが残ります。とりあえず家庭を苦しめ続けた青春症候群は解消されたということで、今回の話に移っていきましょう。

物語はあらすじにて示した修羅場から始まっていきます。彼氏が初恋の相手と同居していた・・・・・・とてもじゃないですが、許せるような状況ではないですね。まぁ、”かえで” の件でまともな精神状態ではなかったので、個人的見解としては情状酌量の余地ありといったところでしょう。

では麻衣先輩は一体どんな判決を下すのか。

予想に反して彼女は一言謝ります。「一緒にいてあげられなくて、ごめんね」と。

・・・・・・これは怒られるよりもきついですね。怒ってくれたならば、謝ることもできるのですが、相手に謝られてしまっては、謝りようがありません。どうすればいいのか困惑する咲太に対して、里央もただ一言。

「梓川は、女心が分かってない」

まぁ、男ですからね。そう簡単には分かりませんよ。ちなみに俺も分かりません。

 

さて今回は一体どのような青春症候群なのか、ざっくりと説明しましょう。といってもあらすじで、もう書いてしまいましたが。

大きい翔子さんと小さい翔子ちゃんが存在している。何も間違ったことは書いていません。

元々初恋相手である翔子さんは、出会ったとき高校生でした。しかし実際は入院している中学生だったはずです。もうその時から、「大きい翔子さんと小さい翔子ちゃんが存在している」という青春症候群は起きていたのです。

翔子ちゃんは心臓の病で高校生にはなれないだろうと診断されていました。心臓移植でもしなければ、大人にはなれない・・・・・・と。中学生にはあまりに酷な事実です。そんな彼女の願いである「大人になりたい」という思いが、このように大きくなった翔子さんという存在を生み出した。

・・・・・・と誰もが考えました。

しかしもう少し深く掘り下げて考えてみましょう。

現在大きくなった大学生くらいの翔子さんと中学生の翔子ちゃんの二人が存在している状態であり、双葉里央のドッペルゲンガーと似たような状態です。

その双葉里央の場合、存在していた二人は、見た目も人格も記憶もそのままであり、間違いなくどちらも双葉里央でした。しかし今回は、現在の翔子ちゃんと成長した翔子さんです。少しややこしいですが、最終的に書きたいことは次の一文だけです。

成長した翔子さんの持つ記憶は一体どうなっているのか?

中学生から大学生になるまでの間に存在するはずの空白の期間は、一体どうなっているのでしょう。果たして彼女は青春症候群によって生み出された幻想なのでしょうか?

・・・・・・どうにも理屈っぽくなってしまいます。つまり中学生の翔子ちゃんが生み出した幻想にしては、人格がしっかりと形成されすぎているのです。中学生には高校の勉強を教えたりはできません。恋愛観を語ることもできません。

しかし彼女が生み出しただろう存在には、それができた。これは一体何を意味するのでしょうか。

 

説明を読んでも分かってもらえないかもしれません。まぁ、本編を読んでもらえれば、すべて分かってもらえると思いますが。

主人公は今回も辛い選択を迫られます。

彼は周りの人に恵まれています。誰もが彼のことを好きになり、彼のために様々な手で尽くしてくれます。何だかんだ暴言吐かれたり、辛く当たられたりしますが、最終的には味方になってくれます。

誰もが彼に幸せになって欲しいと望んでいるのです。

例え自分を犠牲にしたとしても。

伏線が回収され、運命のいたずらに驚愕し絶望することをお約束します。

青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない (電撃文庫)

青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない (電撃文庫)

 

作品リスト

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