工大生のメモ帳

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青春失格男と、ビタースイートキャット。 感想

※ネタバレをしないように書いています。

あなたは青春不感症なんです

情報

作者:長友一馬

イラスト:いけや

ざっくりあらすじ

 野田進は桜の木から落ちてきた清楚系女子、宮村花恋と運命的な出会いをし、誰もが羨む高校生活を手に入れた。しかし、彼の心は満たされなかった。

「あなたは、青春不感症なんです」

唐突に現れた西條理々は彼にそう告げた。

感想などなど

「あぁ、これはやばい作品に手をつけてしまったかもしれない」

十数ページ・・・・・・いや、開いてすぐにそう思った。何を隠そう、ラノベ冒頭のイラストは、胸をさらけ出した女子高生・宮村花恋だった。その胸にはラブレターが挟まれている。どうやら告白のシーンであるらしい。

そんな巨乳を惜しまんばかりにさらしてくる彼女の説明が、控えめで初心な清楚系女子なのだから、突っ込みどころ満載である。少なくとも自分の知っている清楚な女の子は、告白の際に胸をさらけ出したりしない。デートで胸を触らせてきたりもしない。だからこその清楚 ”系” なのだろうか。

さて、ここまでの数行を読んだだけでは「ただのエロラノベ」と思われてしまうかもしれない。しかし、この数行だけで判断しないで、実際に買って読んで確認して貰いたい・・・・・・と言いたいところではあるが、もう少しこの作品を掘り下げていこう。

 

青春と聞いて思い浮かべる物の一つに、恋人が挙げられる。男子高校生であるならば、彼女が欲しいと思ったことが一度くらいはあるだろう。

しかし、そんな恋人という関係性を邪魔だと思う男子高校生がいた。

恋人に限らない。友達関係すらも鬱陶しいと彼は思っていた。

その人物こそが、本作の主人公・野田進だ。

そんな彼は清楚系女子・宮村花恋に告白される訳だが、彼女に興味を持てなかった彼の前に突然、孤高の天才美少女・西條理々が現れ、「あなたは、青春不感症なんです」と告げる。

青春不感症・・・・・・青春をどんなに謳歌しようとも、心が一切満たされないということを表しているのだろう。

西條理々は自分もそうであると言った。

青春不感症どうしの二人は、世間から自分たちを切り離し孤立する計画を立てる。

要は「他人との関わりなんて邪魔だから、自分たち二人だけの世界を作りましょ」ということだ。どうなることやら。

 

元々西條理々は孤独だった。彼女の登場は入学して最初の自己紹介であり、涼宮ハルヒを彷彿とさせる。

「ただの人間には興味がありません。宇宙人、未来人、異世界人、超能力者、にも興味はありません。よろしくしねぇで一生放ってろです」

・・・・・・どうやら、涼宮ハルヒ以上に人間というものに興味がないらしい。青春を謳歌しようという考えは、最初から放棄している。

では野田進は?

彼は友達(と彼自身が思っているか怪しい)がいて、好きだと言ってくれる清楚系(?)女子もいて、このまま行けば青春を謳歌できることは間違いない。

しかし、本当は誰とも関わらず、ただ孤独に過ごすことを望んでいた。

つまり野田進が本来は進みたい道を、西條理々は歩んでいることになる。西條理々はそんな自らの道へ、野田進を誘い込もうとしているのだ。

そのために足を舐めさせたり、脇を舐めさせたりする。

・・・・・・ん? やっぱエロラノベか! 真っ向から否定はできない。

これらの変態的シーンをどう捉えるかで、本作の評価は変わってくるように思う。

何故西條理々はこのような「変態的行為」を彼にさせたのだろうか?

彼はどうして、押しつけられた「変態的行為」を受け止めて実行できたのだろうか?

それらの答えも全て描かれている。それに納得できるか、できないかは読んだ人次第だ。そこまで読んでから、正統な評価を下して貰いたい。

 

単純にラブコメというよりは「これから真っ当なラブコメを始めようか、捨てようか」苦悩する主人公の物語だ。

真っ当なラブコメは宮村花恋と付き合うことであり、

捨てた場合には、西條理々と二人きりの世界を歩むことを意味する。

主人公はどちらを選ぶのか。この物語の結末を是非とも見届けて欲しい。感想を書きながら、色々と考えさせられる作品だった。