工大生のメモ帳

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ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 感想

【前:な し】【第一巻】【次:第二巻】

※ネタバレをしないように書いています。

髭を剃る

情報

作者:しめさば

イラスト:ぶーた

ざっくりあらすじ

三年間も好きだった上司に振られ、やけ酒をあおった吉田は、帰り道で家出した女子高生を拾った。酔った勢いで家に住まわせることにしたが……

感想などなど

自分が学生だった頃、深夜に友人の母親から電話がかかってきたことがある。「うちの息子がそちらにいらっしゃっていませんか?」と。日をまたいでも息子が帰宅しなかったらしい。結局、次の日普通に戻ってきたそうな。あとで話を聞くと、「ネットカフェにいた」のだという。

学生時代、隣の席にいた女子が「昨日家に帰らなかった」と自慢げに語っていた。知り合いの家にいたというが、その知り合いの性別や年齢は定かではない。まぁ、自分にはどうでもいい話だ。

さて、学生が家出をする理由は多々ある。家庭に対する不仲、不和が代表的だろうか。血のつながった他人ともいわれる家族と過ごすことが辛いというのは、十分に家を出ていく理由になりうると個人的に思う。その理由が作中で語られないのはモヤモヤするが、今後描かれることに期待したい。

しかし、子供が一人で生きていくことは難しい。生きていくためには金が要求される。夜の寝床としての居住空間、食事に水に至るまで当たり前のように使っているかもしれないが、それは毎月金を払っているからこそできている生活であるということを忘れてはいけない。

沙優と名乗る女子高生はそんな無理難題をこなしつつ、北海道から東京まで出てきた猛者である。彼女がその日、寝る場所を確保するためにしたことは……きっとあなたが想像したことは合っている。

 

身体を差し出すという行為はそう簡単にできることだと思えない。だが、彼女には何が何でも家に戻りたくないという理由があったのだろう。しかしそれでいて、自分がいてもいい場所というものを求めていたのだろう。

そんな彼女がさまよった果てについたのが、吉田という社畜の家であった。三年間もの長きに渡って片思いし続けていた上司に告白し振られ(社内恋愛はやめておけ)、やけ酒お煽った帰りという最悪な出会いであったが、少なくとも沙優にとっては、運命的な出会いだったと思う。

朦朧とする意識の中、勢いで彼女を招き入れてしまった彼に、「なにかして欲しいことある?」と尋ねる。すると戻ってきた答えは「女の作った味噌汁が食べたい」というものであった。

ブログ主もそこそこ社畜である。そうすると帰宅して温かい食事が出てくることを夢見るものだ……やっぱり疲れていると飯作って、洗い物する気力もないし。自分の場合、コンビニ飯が続くとすぐに体調崩して死にかけるので、作るようにはしているのだが。

それに一人暮らしだと味噌汁を作らなくなった。まず味噌を買わない。労力と満腹感が釣り合っていないような気がする。自分だけだろうか? だからこそ、この作品で味噌汁が当たり前に食卓に並ぶ光景が「いいな」と思ってしまった。それだけで幸せなのだ。

その風景は金では買えない。そのことに沙優が気づくのは、当分先の話になりそうだ。

(……と思っていたら料理代行というサービスがあるという話を聞いてしまって、本気で金を出すことを考え始めたのは、ここだけの話である)

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