※ネタバレをしないように書いています。
絶望を断つ刃となれ
情報
作者:吾峠呼世晴
試し読み:鬼滅の刃 10
ざっくりあらすじ
血鬼術で帯を操り、攻撃と防御を繰り出してくる上弦の鬼・堕姫。相対する炭治郎はヒノカミ神楽で挑む。しかし、長時間使うには体が追い付かず、追い詰められてしまい……
感想などなど
いよいよ上弦の鬼との戦いが本格化していく第十巻。無限列車編の猗窩座が相手だった時は、戦いについていくことすらできなかった炭治郎が、ヒノカミ神楽を身につけたことにより、それなりに戦えるようになっていた感動は、ここまで読んできたからこそ味わえる感動と言えるでしょう。
血走った目に、首元に浮かぶ痣。これまで傷つけることのできなかった堕姫の帯を斬り裂き、その上で回復させることのできないようなデバフを与えるという ”日の呼吸” によるヒノカミ神楽。
その呼吸の存在を知った炎柱を絶望させるほどのチート級の技を、彼は身につけたのだ。堕姫の中にある無惨の細胞が恐怖を覚えるほどの強さに、堕姫は押されていく。しかし流石は上弦の鬼。そう簡単に斬られることはないように、帯をただ固くするのではなく、しならせる柔軟性を持たせることで対応。手の数を帯十三本と増やし、速度も上げることで炭治郎を追い詰め……ることはできない。
炭治郎は帯がしなる以上の速度で刀を振り、帯をあっさりと切り裂く。熱を帯びた刀で斬ったことにより、帯の回復もままならない。堕姫の上げた速度にもあっさりと対応し、首筋にまで迫る。
しかし、炭治郎は選ばれた存在ではなかった。
日の呼吸の使い手には、生まれつき顔に痣があるのだという。炭治郎にも痣はあるが、それは弟を倒れた火鉢から庇った際に負った傷であり、最終選抜でさらに傷を重ねたことで今の形となったのだ。
彼の刀は堕姫の首筋にまで迫った。だが彼の身体はそこで限界を迎え、倒れ込んでしまう。そんなチャンスを堕姫が逃すはずもなく、息の根を止めてやろうとする。
そんな炭治郎のピンチにやって来たのは、妹の禰豆子であった。
怒りで額や首筋に血管が浮かばせた禰豆子は、一蹴りで上限の鬼の頭蓋を粉砕。頭が消し飛んでもなお生きている堕姫と、禰豆子の戦いが幕を開ける。しかし、この戦いは意外にも禰豆子が優性で事を進める。
怒りで我を忘れ、人間の限界をとうに超えた力を振るう禰豆子。子供だった姿は、目を離した隙に大人となっていた。さらに彼女の血は、鬼だけを燃やすという特別な力を有していた。堕姫はそれらの力に圧倒され、腕がちぎれてもすぐに生えてくる回復能力の高さに絶望さえする。
「一瞬で再生した!? そんな! だったらアタシの再生力を上回ってるじゃない!」
と彼女の強さを理解する堕姫。しかし、そんな禰豆子でも上弦の鬼は殺しきれなかった。禰豆子にも限界が来たのだ。怒りを忘れ振るわれる暴力は、その場で逃げ遅れた人々に向けられたのだ。
そんなピンチで現れる神は、音柱・宇随天元。あっさりと堕姫の首を斬り落とした。
よっしゃ、これで遊郭編は完結やな。と思ったら甘い。斬り落とされた首を抱えたまま、「アタシまだ負けてないからね」「上弦なんだから」「アタシ本当に強いのよ」とギャン泣きする堕姫。
なんと首を斬られても、彼女は死んでいないのである。
さらに驚くべきことが起きる。なんと彼女の背中から、新たな鬼が現れたのだ。彼の名は妓夫太郎、毒を塗った武器を操り、堕姫以上の速度と技を持ち合わせている圧倒的な強者であった。
事実、宇随天元は彼の攻撃を喰らい、毒で苦しみながら戦うこととなる。鬼にダメージを与える特別な火薬を用いた攻撃で、二人の鬼を相手取っての大立ち回りを繰り広げる。しかし、毒によるダメージは確実に彼を追い詰めた。
そんな時、炭治郎、伊之助、善逸が集う。今夜で仕留めなければいけない、最後の戦いが幕を開けた。様々な戦闘シーンが楽しめるバトルばかりの第十巻であった。