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【漫画】鬼滅の刃11 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

絶望を断つ刃となれ

情報

作者:吾峠呼世晴

試し読み:鬼滅の刃 11

ざっくりあらすじ

妓夫太郎と堕姫との戦いは苛烈を極め、何とかして同時に二人の首を落とそうと画策する。しかし毒に冒された天元は倒れ、伊之助に善逸も攻撃を前に倒れてしまう。そして炭治郎も……上弦の鬼との戦いの行方はいかに。

感想などなど

天元、炭治郎、伊之助、善逸が揃い、いよいよ本格的に上弦の陸の兄妹鬼との戦いが始まった。しかし天元は毒を喰らい、炭治郎は死にかけという状況。倒し方が分かった今からが大事だというのに、これでは勝てるビジョンが見えない。

単純に堕姫や妓夫太郎の単体でも強いというのに、鬼二人のコンビネーションは、兄妹というだけあってかなりのものだ。距離が離れていようとも、互いに情報を共有しているというのも厄介さを加速させる。

それに対する天元達のコンビネーションは、お世辞にも良いものとは思えない。何度も繰り返すようだが、天元は毒を受けている。忍者だから毒に耐性があると言っているが、それは虚勢だ。炭治郎達を自身の継ぐ子(弟子のようなもの)と言っているが、それも虚勢。

自らを奮い立たせ、鬼二体と相対する。

作戦としては、伊之助と善逸が堕姫を相手にし、炭治郎と天元が妓夫太郎を相手にする。その苛烈な戦いの中で、水の呼吸と日の呼吸を組み合わせて独自の進化を遂げる炭治郎。鋸のようにギザギザとした刀を使う伊之助の攻撃は、柔軟で斬りにくい帯を操る堕姫には、かなり有利に働いた。善逸は……そのままずっと眠っていてくれ。

天元の嫁も鬼に効く毒を塗ったクナイを放ったり、天元の柱としての意地や覚悟が遺憾なく発揮され、少しずつであるが上弦の鬼を追い詰めていく。

しかし、上弦の鬼は強かった。

天元が地面に倒れている光景。伊之助の心臓が貫かれるというショッキングなシーンが描かれ、善逸は瓦礫で足が潰れてしまった。かくいう炭治郎も息をするのがやっとという死にかけで、今にも妓夫太郎にトドメを刺されそうな危機的状況にまで追い込まれてしまう。

その絶望感はかなりのものだ。だからこそ、その逆境を跳ね返した時の感動と、勝利の美酒は格別なのだ。

 

上記に書いたような戦闘の面白さもさることながら、語りたいのは上弦の鬼の悲しき過去である。ネタバレとなるのでここでは詳細は省きたいが、きっと次巻の感想の冒頭で、未来の自分が長文を書いてくれるだろう。

これまでたくさんの鬼が出てきて、その悲しき過去も描かれてきた。鬼にならざるを得なかった苦しみや憎しみを抱き、それが力となっていたようにも感じられる。

同時に首を斬らなければならないのは、裂くことの出来ない二人の絆が生んだ力の結晶。兄の強さは、妹を守るために培った技術の賜物であろう。そう考えて読み返して見ると、色々と深読みをしてしまうシーンが多い。

妓夫太郎が兄として妹を守れなかった炭治郎を責めるシーン。恵まれた他人を妬むシーン。例え鬼に身をやつしても、生前の生き様や考えは引き継がれていく。

妓夫太郎と堕姫のラストは泣かずにはいられなかった。二人の来世に、幸せがあらんことを。

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