工大生のメモ帳

読書感想その他もろもろ

【漫画】鬼滅の刃13 感想

【前:第十二巻】【第一巻】【次:第十四巻
作品リスト

※ネタバレをしないように書いています。

絶望を断つ刃となれ

情報

作者:吾峠呼世晴

試し読み:鬼滅の刃 13

ざっくりあらすじ

刀鍛冶の里に現れた上弦の鬼。しかも上弦の伍・玉壺、上弦の肆・半天狗の二体。炭治郎と禰津子、不死川弦弥で半天狗を、霞柱・時透無一郎の一人で玉壺を、それぞれ迎え撃つ。

感想などなど

上弦の鬼は、それぞれの目に掘られた数字が高ければ高いほど強いというシンプルなシステムとなっている。音柱・宇髄天元と共に倒した上弦の鬼の数字は陸。つまり、上弦の鬼の中では最弱ということだ。

その戦いの中で、宇随天元は鬼殺隊を引退し、炭治郎は二か月も動けない怪我を負わされた。その程度の深手で済んだとでも言うべきかもしれない。首を二体同時に斬れば勝てるということに気付けたのは、天元の経験値による勘だろうし、いろいろな偶然が積み重なって、一人でも欠けたら勝てない戦いであった。

さて、そんな上弦の陸よりも強い奴が、同時に二体も現れた。

半天狗の登場シーン。サラッとふすまを開けて入って来るのは、個人的になかなかの衝撃だった。そのまま霞柱の攻撃を避けるのは、上弦の鬼だからこそできる芸当だろう。そのままシームレスに戦闘シーンに突入し、霞柱は巨大な団扇のようなもので飛ばされて、炭治郎と禰津子、遅れて登場した不死川の三人で対処することに。

この鬼がまた強い。そして、上弦の陸が二人体制だったのと同じように、半天狗も『喜』『怒』『哀』『楽』の四人に分裂していく。「また、同時に首を斬るタイプか?」と思うが、そう単純な話でもないようだ。

単純な手数に苦しめられ、それぞれが持つ能力――滑空と音波、電撃、三又槍、突風――がバリエーション豊富な攻撃を仕掛けてくる。あまり互いの仲は良い感じはせず、「さっさと殺せ」とか言い合っている。

それぞれ単体で首を斬り落としても、さらに分裂して復活するという厄介さ。禰津子の血鬼術で焼かれても、すぐに復活、そもそも四体いるので別の奴からの攻撃も飛んでくる。それを相手に、上弦ほどの実力はない三人で挑むというのが無茶だ。

だが、不死川の驚異的な回復能力・禰津子の鬼としての力・炭治郎の戦闘における機転で、ギリギリを保っている。だが、保っているだけでは意味がない。鬼を殺さなければならない。

だが、殺し方が分からない。

その倒す方法が分かるのは、第十三巻の終盤。その予想外すぎる『上弦の肆がこれまで生き残ってきた力』のカラクリに、シンプルながら騙されるしかない策略に、思わず笑ってしまった。

 

一方、霞柱・時透無一郎は、上弦の伍・玉壺と対面する。こちらもまた厄介な能力を持っている。

まずは壺から壺への瞬間移動。いつの間にか随所に設置されている壺から、にょきにょきと、うにょうにょした鬼が出てくる様は気色悪い(アニメで見ることをちょっと楽しみにしている)。

さらに、自身の壺から金魚のようなクリーチャーを生成。相手を自動的に攻撃してくれる。この金魚が吐き出す針には、毒が塗られており、柱でも動けなくするのだとか。無一郎はなんか動いてるけども。

さらにさらに、壺から水を出して牢獄を生成、呼吸を封じて相手を閉じ込めることができる。内側からは刀をどんなに刺そうとも壊れず、脱出は不可能。それに囚われてしまった無一郎といういい場面で、場面が転換するのだから当時連載を追っていた人は、次週の連載が楽しみだったことだろう。

分裂はしないがバリエーション豊かな攻撃の数々。その強さに加え、刀鍛冶の死体を集め、オブジェクトを作るような、人の心をえぐる術も心得ている。まぁ、本人曰く、それは芸術作品であり、楽しんでもらえると思っているようだが。

情けも容赦もない上弦の鬼との戦い、殺せそうで殺せないギリギリ感。殺したと思っても、それを上回る上弦の鬼の罠。それらが遺憾なく、所せましと散りばめられた第十三巻である。

【前:第十二巻】【第一巻】【次:第十四巻
作品リスト