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【漫画】鬼滅の刃18 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

絶望を断つ刃となれ

情報

作者:吾峠呼世晴

試し読み:鬼滅の刃 18

ざっくりあらすじ

水柱・富岡義勇と炭治郎の二人は猗窩座と遭遇。二人は懸命に攻撃を繰り出すが、後一歩が届かない。そんな時、父から教えて貰った『透き通る世界』に到達した炭治郎。戦いの決着は如何に――。

感想などなど

あらすじにて、「決着は如何に――」というように書いているが、その決着は第十八巻の第一話で決まってしまう。

大きな熊を一撃で屠る炭治郎の父が教えてくれた『透き通る世界』は、水柱・富岡義勇の技でも避けきることのできなかった猗窩座の技『終式・青銀乱残光』を容易く避けた。

それだけに留まらず、伊之助からヒントを得た『闘気』を、完全に無にすることで、猗窩座の意識させぬ間に首を斬り飛ばした。その斬撃は、戦い以外の全てを捨てた猗窩座にも到達できなかった思考の領域にも達していたのだ。

頭が転げ落ち、崩壊していく……勝った! 上弦の鬼を討ち取ったのだ。

しかし、そう簡単にはいかない。頭は崩壊したにも関わらず、体だけが残って崩れていかない。他の上弦のように、首以外の弱点があるというのか。

いや違う。猗窩座は首を斬られても死なない、無惨のような別の生物になろうとしていたのだ。弱者を嫌い、強くなるためだけに鬼にまでなった男の最終形態は化け物になるしかないのだろうか。

そこから語られるは猗窩座の過去。鬼になる前の姿であった。

 

鬼になってからの性質は、生前の生き様が反映されている。上弦の肆・半天狗は、徹底した「自分は悪くない」の精神と、自己可愛がりによって、複数の分身が生み出されて彼を守っていた。家族に愛されなかった(実際はそんなことなかったのだが)下弦の伍・累は、鬼になって、自分の能力を分け与えた鬼に家族としての役割を押しつけていた。

猗窩座はといえば、強さに固執している言動が印象的だ。煉獄に対して、鬼にならないかと誘っていたのは、その素晴らしき剣技が失われていくのが耐えられないからだと言っている。その一方、横たわっていることしかできなかった炭治郎を弱者と罵った。

そんな彼の言動は、やはり鬼になる前の出来事に起因していたのだ。

彼は病弱な親父の看病をしている一人息子であった。親父の薬代を稼ぐため、犯罪にも手を出した。そんな親父の最期は、首吊り自殺だった。犯罪者として捕まった息子のことを気にして選んだ、親父なりの償いなのだろうか。

親父を守るためとは言え、犯罪者となってしまった少年は、手に入れ墨を彫られて街を追い出されてしまった。そこからは方々を犯罪しながら歩いて回る日々。そんな彼を家に招いてくれたのが、拳一つで戦う武術・素流の師範だった男・慶蔵であった。

彼は犯罪で暴れていた少年を、返り討ちにしてボコボコにして、「腕が良い」ということで素流に招いたのだ。そこから始まるのは、罪人として裁かれた少年ではなく、一人の人間としての幸せと絶望の物語だ。

彼が強さに固執しているのは、かつて自分が守ることのできなかった弱さ故の後悔、そして弱者が強者に勝つためならばどんな悪いことでもするという邪悪さに対する嫌悪感があったのだ。

涙なしでは読み切れない、心揺さぶられる名回想であった。

 

そんな猗窩座との戦いの後は、胡蝶しのぶを吸収した上弦の弐・童磨と、しのぶの継ぐ子・栗花落カナヲの戦いである。ここで個人的に着目したいのは、上弦の方は手を抜きまくっているという点である。

カナヲも決して雑魚ではない。継ぐ子の中でもトップレベルに強く、柱に匹敵するレベルの才能を持っているだろう。そのことは童磨の方も認識しているらしく、さっきの柱よりも才能はあるかもしれない、と漫画内で描かれている。

しかし、その切っ先は届かない。そんな窮地に天井を突き破って現れたのが、常識に囚われない剣士・伊之助である。伊之助のトリッキーな剣技は上弦すらも翻弄した。そのことが一読者として嬉しいと感じてしまったのは、ブログ主だけではないだろう。

こうして二対一となった訳だが、やはりその刃は届かない。この状況をひっくり返すことはできるのか? 緊張に手に汗握る戦いが、まだまだ続いていく。

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