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【漫画】鬼滅の刃7 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

絶望を断つ刃となれ

情報

作者:吾峠呼世晴

試し読み:鬼滅の刃 7

劇場版:鬼滅の刃 無限列車編 感想

ざっくりあらすじ

傷も癒え、修行も一段落した炭治郎一行は、炎柱・煉獄杏寿郎に聞きたいことがあるということで彼のいる無限列車へと向かった。

感想などなど

胡蝶しのぶの下で栗花落カナヲらと共に修行に励んだ炭治郎達。女性に触れられるからとか、不埒な感情も一瞬交じった修行だったような気もしたが、結果良ければ全て良し。全集中の呼吸を習得できたし、何も問題ない。

第七巻は傷も癒えて、お世話になった屋敷を出ていくシーンから始まっていく。鬼を狩りに行くということは、これからもう会えなくなるという可能性だってある。お世話になった人達全員に声をかけて回る炭治郎の律儀さと、天然人タラシに落とされる者達を出しながら、次へと進んでいく。

その中で一つ重要な情報が提示された。

那田蜘蛛山での累の首を切り落とした(正確には違うが)ヒノカミ神楽の呼吸を用いた一撃。父は何かしらの呼吸の使い手だったのではないか? 例えば ”火” の呼吸みたいな感じの奴。

そこでしのぶにヒノカミ神楽のこと、火の呼吸のようなものがあるかを訊ねた。しかし、彼女は何も知らないのだという。だが、とっかりとなるようなヒントを教えてくれた。

「火の呼吸はありませんが炎の呼吸はあります」

「炎の呼吸は火の呼吸と呼んではならない」

火と炎の間にそれほど違いはないように思う。それを「呼んではならない」とわざわざ厳しく禁じられていることには、何か深い理由があるのではないか。その仔細を訊ねるためにも炎柱・煉獄杏寿郎に会いたい。

そこで彼のいるという無限列車へと向かう一行。つまりは別に任務がある訳ではない。「もう少しゆっくりしていても良かったのでは?」と思わなくもないが結果としてこの選択は正しかったことが分かる。

 

炎柱・煉獄杏寿郎。炎の呼吸の使い手である。

第六巻の柱会議では、迷わず炭治郎の処刑を言い放った男である。彼に対して良い印象を抱いている者は、この時点でほぼいないのではないだろうか。彼との無限列車でのファーストコンタクトも、お世辞にも良いものとは思えない。

多くの人が乗っている列車の中で、「うまいっ!」「うまい!」と大声で何度も言いながら弁当を食べる姿。炭治郎がわざわざ来た理由として、ヒノカミ神楽や火の呼吸についての情報を求めても、知らないと迷う素振りなく言い切る。まぁ、知らないものは知らないのだから仕方ないが。

その後も炭治郎の言葉をあまり聞かない会話が続いていく。

しかし。そんな彼の印象は鬼との戦闘が始まると吹っ飛んでいく。柱になっているだけのことはあり、その技は極まっている。雑魚鬼など敵ではない。狭い列車内という環境で、乗客を傷つけずに鬼を切る技は必見であろう。

だが、鬼も馬鹿ではない。全力で殺しに来ている。

ちなみに無限列車で人を襲っていた鬼は、前巻のラストで唯一生き残ることができて、無惨から大量の血を与えられた魘夢である。無惨に「人の不幸や苦しみを見るのが大好き」と語って気に入られた変態というだけあって、その戦い方は人を苦しめること、絶望にたたき落とすことに特化している。

彼の扱う血鬼術は、人を眠らせて好きな夢を見せるという術である。

それにより眠らされてしまった炭治郎一行。彼らは自分達が望んでいる目覚めたくないと思ってしまうような夢の世界に閉じ込められてしまう。例えば、炭治郎は無惨に殺されてしまった家族と共に生活する世界というように。

そんな彼らにトドメを刺すのは、魘夢に好きな夢を見せて欲しいと願う少年少女。鬼殺隊が見ている夢の世界に入り込み、精神の核というものを壊して二度と戦えないようにしてしまおうというのだ。

夢から覚めようにも、まず夢であるということに気付くことが困難な状況をどのように打開するか。そのためには尋常ならざる精神力が必要だった。これはきっと炭治郎にしかできない戦いだったと思う。

何かを成し遂げる者は、これくらいの芸当はできるのかもしれない。良い戦いであった。

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