工大生のメモ帳

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黒の召喚士8 神の国に座する皇 感想

【前:第七巻】【第一巻】【次:第九巻

※ネタバレをしないように書いています。

バトルジャンキー召喚士

情報

作者:迷井豆腐

イラスト:黒銀

試し読み:黒の召喚士 8 神の国に座する皇

ざっくりあらすじ

『神の使途』の一人で暗殺者だったアンジェを、奴隷にして結婚することでハーレムが強化されたケルヴィン。魔王を上回る脅威が迫っていることを知り、かつてボコボコにした勇者との協力体制を敷くことにするが――。

感想などなど

ギルドの案内人アンジェに首をはねられ、一度は絶命したケルヴィン。そんな彼女のことが好きになり、戦闘を繰り広げながら熱烈なプロポーズを行い、最終的にはベタ惚れだったアンジェの心が折れる形でケルヴィンのパーティに加わったアンジェ。彼女から『神の使途』の情報を聞き、これからそれぞれの戦力増強が求められることを確認、修行が始まったところで終わっている。

それにしてもただのギルドの顔役だと思っていた美人お姉さんが、めちゃ強暗殺者だったとは。あらゆる物質や魔法を通り抜ける固有スキル『遮断不可』に加え、不意打ちが凶悪火力となる『凶手の一撃』といった暗殺者に相応しい超強力スキルを持ち合わせた彼女との戦闘は面白いものであった。

さて、この第八巻ではケルヴィン派閥の戦力増強と、聖女コレット周りのいざこざが物語として進行していく。この第八巻において、最も強さの振れ幅が大きいのは、魔王となった父親が殺されて幼児退行したシュトラ姫だろう。

もともと幼児退行する前はそこそこの強さで、才能もあるシュトラ姫が、ケルヴィンを代表とする化け物達に囲まれ、S級の装備を作って貰えれば、強くならないはずがない。彼女の護衛との模擬戦では、護衛よりも姫の方が強いという異様な光景を見ることができる。

このまま記憶や肉体が戻った際に、姫がどうなってしまうのか……末恐ろしい話である。

 

アンジェが所属していた『神の使途』は、先代の神・エレアリスを現世に召喚することを目的に、国王ゼル(=魔王になった人)の私室あった黒の書を回収したり、黒の書を強化するために国王を魔王にしたりと、色々と暗躍していたようだ。

そんな『神の使途』を構成しているのは、アンジェを除くと8人。

序列第九柱『生還者』…獣王祭ではリオンと戦った剣士。何をしても死なない不死の存在である。

序列第八柱『暗殺者』…これがアンジェで、ケルヴィンの奴隷となったため空席の状態である。この後誰かが入ってくるかもしれないが不明。

序列第七柱『反魂者』…絶世の美女にして吸血鬼。死者をよみがえらせる魔法を使うとされているが不明。

序列第六柱『断罪者』…おそらくセラの姉妹であるが、セラも彼女と会ったことがないらしい。名前はベル・バアル、獣王祭ではセラと戦い途中で棄権した。

序列第五柱『解析者』…アンジェのいたギルドの長であり、名前はリオルド。『神眼』というスキルで隠蔽や偽装スキルを無効化するらしい。

序列第四柱『守護者』…前勇者セルジュ・フロアが召喚されたらしい。本拠地を守る文字通りの守護者として立ち塞がっているようだ。

序列第三柱『創造者』…ジェラールの宿敵で、固有スキル『永劫回帰』で身体を入れ替えながら長い時を生き、あらゆる分野を研究し、神の使途が使っている装備品はほとんど彼が作っているようだ。

序列第二柱『選定者』…不明。

序列第九柱『代行者』…コレットの先祖、魔王グスタフが猛威を振るっていた頃の巫女である。彼女はエレアリスから『転生術』を授かり、目的であるエレアリスの召喚に必要な人材を集めている。

アンジェがいた席にも、転生によって誰かが入ってくるのも時間の問題であろう。先日の魔王騒ぎによって、神の召喚において大きな問題となる膨大な魔力を解決する黒の書を手に入れているところまでは、神の使途達の想定通りに事態は動いている。

アンジェがケルヴィン陣営についたことは、さすがに想定外だろう……と思いたいが果たして。そんな神の使徒達の計画は佳境にさしかかり、事態は大きく動いていく。それと同時に、神の使徒達との戦闘も行われていくこととなる。

第八巻で牙をむいてきたのは――序列第七柱『反魂者』、吸血鬼である。最後までどこにいるか分からない謎に包まれた彼女との戦闘は、ケルヴィンにとっても読者にとっても楽しいものとなるであろう。

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