※ネタバレをしないように書いています。
魔法使いになりたい!
情報
作者:金田陽介
試し読み:黒猫と魔女の教室(6)
ざっくりあらすじ
新年を迎えた魔術学校は、同じ星座を持つ生徒が集まり特性魔法を研究する新しい授業 "十二宮専科" が始まる。乙女座の魔術師・スピカは、その新しい授業で大量の植物のタネをストックできる『植物標本図鑑』の存在を知った。それを購入する資金を稼ぐために、レオの実家であるレグルス家でバイトすることにした。
感想などなど
第五巻では邪教徒からの襲撃を受けた二年前の事件において、生徒を置いて一人逃げ出したクロードの真実が明かされた。結論だけいえば、「クロードの命を狙っていたアルクの攻撃による巻き添えが出ないように逃げ出した」ということだった。
このアルクという少女、実は邪教徒の教団の当主の娘だったようだ。
アルクは再生魔法の使い手であり、怪我をした人々などを助けて教団の信者を増やしていた。教団はそうして入ってきた信者を使って犯罪行為をさせており、教団の一族は自分たちとは違う者達を人間として扱っていなかったことが分かる。
そんな教団での自由がなかったアルクは、普通の生活に憧れて家出し、魔術学校の校長に拾われてクロードの教え子として普通を謳歌していた。彼から見た彼女は、普通にその生活を楽しんでいたように見えたらしい。
しかし、何が起きたのか? 彼女は教団を引き連れて学校を襲撃。これまた理由は分からないがクロードに対して憎しみを抱いており、戦いの末、クロードは猫になり、アルクは死んだはずだった……が生きていたので、合宿の際に襲撃してきたという流れである。
クロードとしてもアルクは生きていたのは衝撃的だったのだろう。第四巻では驚いている表情が見て取れる。
という感じで中々にシリアスな展開が続いたが、それらが嘘のようにギャグ的展開が続いていく第六巻の感想を語っていきたい。
あらすじでも書いた通り、年明けから特性魔法を研究する新しい授業 "十二宮専科" が始まる。どういうことかというと、これまで星座はごちゃ混ぜで同じ授業を受けていたが、星座毎に特化した内容を学べる授業が増えたということだ。
そこで紳士に大量の植物をストックできる『植物標本図鑑』の話を聞いたスピカ。日頃、植物のタネはポケットにストックしているが、それでは数も多くは持ち運べないし、取り出すときに不便だ。そんな自身の弱点を補える『植物標本図鑑』が喉から手が出るほど欲しい……が高い。
スピカ大好きハナは、毒味のバイトをすることでかなり稼いでいるようだが、スピカは普通に死ぬので駄目。他だとメイドさんをしてみたい! と贅沢を言うスピカの言葉をどこからともなく聞き届けたレオが、「レグルス家にて社交界があるが使用人が不足している」ということでメイドとして働くことになった。
社交界という華々しい世界を見られる絶好の機会、しかもメイドさんになれるし稼げるという願ってもない機会に胸躍るスピカだったが、レオは筋肉の人で、レグルス家も筋肉の家ということは想像できなかったらしい。
まずレグルス家に入っての最初の洗礼は、無駄に重たい扉である。『HUNTER×HUNTER』のゾルディック家の門扉ほどではないにせよ、か弱い乙女が押し開けるには重すぎる扉が待ち構えていた。
中に入ればマッチョがいっぱい。袖がビリビリに破れて消し飛んだノースリーブからは太い腕が見える。同級生のレオはライオン・ジョウワンニトウキンに乗って登場。臨時メイドとしてやってきた彼女を見て、筋肉のなさを心配される。
メイドの仕事はかなりハード。まずはレオのトレーニングに付き添って、一緒にトレーニングをみっちり。部屋の掃除には10キロのハタキを使うことで、掃除をしながら筋肉を鍛えるという賢い(?)家事をこなす。庭にいる象やライオンへの餌やり。
メイドという仕事は命を賭ける必要があったんだな……知らなかった。
そうして迎える社交界当日。どうやらこの日はレオにとっては社交界デビューという特別な日であるらしく、そこでレグルス家の次期当主として紹介されるようだ。レグルス家の現当主も、ほぼターザンみたいな格好で歩き回っているような人だが、ここら一帯の領地を治める大貴族であり、その責務は大きい。
そんな大事な日、なんとレオは家から逃亡してしまう。
彼女は何を思っているのか? 彼女のためにスピカは何をして上げられるのか?
すごいシリアスっぽい展開なはずなのだが……何だろう。この当主にレオ、スピカがいればどうとでもなる気がする。だって筋肉は全てを解決するらしいし。
メタ的な言い方をすればレオの深掘り回だったと思われる前半部、後半部は牡牛座・イオと、双子座・カストルの二人とスピカで奉仕作業に従事する回である。奉仕作業に従事することになる事の発端は、イオが巨大化しておばあちゃんをキングコングの持ち方してしまったからだ。
意味が分からないかもしれないが、言葉のままを受け取って欲しい。
その奉仕作業での掃除の最中、壁を破壊して穴を空けてしまったイオは深く反省し、帰り道で困っていた後輩の悩みを解決するため、学園の怪談の一つである大鏡の中に迷い込んでしまったという子犬救出のために行動を開始する。
この鏡の中で幽霊に遭遇し色々あったなぁ……読み返してみるとスピカは有能すぎるから途中退場してしまったのかなとか、変なメタ読みをしてしまう。イオとカストルのコンビでこの事件をどう解決するのかドキドキしながら読み進めることになるとだけ言っておこう。
シリアスは消え去って、エッなシーンも増えた第六巻。しばしの平穏を楽しませていただこうと思う。そんな第六巻だった。
