※ネタバレをしないように書いています。
魔法使いになりたい!
情報
作者:金田陽介
試し読み:黒猫と魔女の教室(9)
ざっくりあらすじ
期末試験で一位となった急成長中のスピカはしばしの日常を楽しんでいたのも束の間、次に待ち受けていたのは職業訓練。女王が居住する宮殿で王宮魔術師を体験することになるが――。
感想などなど
第八巻のラストは大人のグラマラスお姉さんの姿になったスピカで終わっている。どうやら単純な成長した姿ではなく、自分が願う姿になるだけのようだ。スピカが将来グラマラスになるかはまだ分からない。
というわけで魔法が解けるまでのしばしの間、グラマラス姉さんとして街を歩き回ることになるのだが、スピカに後ろ姿は似ていたし服も同じであるため、クロードに声をかけられてしまう。
しかしグラマラスになっているので本人だとは気付かれず、何故だかスピカを一緒に探すこととなった。野犬のように路地裏をフラフラしているかもしれないため路地裏を、杖を見かけると集まる習性があるので杖の専門店を、ドジって溺れている可能性が高いので川を……など探すところが虫と同じなのはご愛敬。
デートコースとしては不適なコースを並んで歩いてドギマギしながらも、スピカは意を決して「スピカのことをどう思っているのか?」を聞いてみて、明かされるクロードの本心については……とりあえず上の句だけ紹介しておこう。
大口叩く割にポンコツでビビりで
向こう見ずな頭お花畑な子…
ここからスピカを褒める下の句が出てくることだけはネタばらししておこう。
クロードがスピカのことをそう思っていたんだな、ということが言語化されると、これまでもこれからもニヤニヤできる気がする。そんなしばしの平和な日常が続く第九巻について感想を語っていきたい。
これから先の予定としては、あらすじにも書いた職業体験があるのと、その後は魔法使いとして仕事を請けられるようになるライセンス試験が待っているようだ。それぞれしばらく時間があるので、ライセンス試験に向けた授業や、職業体験に関わる授業などが行われていくようだ。
この第九巻ではライセンス試験に向けた授業の様子が描かれ、そこではキロンのお目付役であるタルフ君の深掘り回となっている。これまでもそれぞれのキャラクターを深掘りするようなエピソードがあって、「深掘り回が来ない……ということは裏切るのか?」などという適当なことを考えているのだが、むしろ「深掘り回が来た後に虚を突いて裏切るのか?」などと疑心暗鬼になりつつある昨今、やって来たのが印象にあまり残っていないタルフ君である。
「誰だっけ」という方は、スピカに惚れてる疑惑のある少年、キロンの後ろにいつもいる男を思い出して欲しい。彼はキロンの世話役として幼い頃から仕えているらしく、最近は自立してタルフの手を離れつつあることを寂しく感じ、子離れできない親と同じ悩みを抱えている男である。
そんなタルフの悩みを聞いてしまうも、こればっかりはスピカにもどうしようもない。まさかキロンを幼児退行させる訳にはいかな……いや、この漫画は魔法の存在する何でもありの便利なファンタジー世界。幼児退行くらいは日常的に起こる。
授業中、スカンクの魔獣の不意打ちを受け、タルフとスピカ以外の全員が幼児退行してしまったのだ。
アリアとハナはスピカ大好き大好き攻撃を仕掛け、キロンは小便を漏らしそうになり、アストレアは大声でママを求め、メロウはウンチの歌を求め、カストロは厨二病を拗らせて黒歴史を生み出していく。
微笑ましさもあるが、元の姿に戻った時を想像しても面白い日常回である。
さて、第九巻の後半からは職業体験が始まっていく。下記三つの中から選んだ職場に3日間泊まり込みで体験する。
- 魔獣飼育員
- 魔道具工房
- 王宮魔術師
スピカは王宮魔術師を選択した。他のメンバーはハナとアリアとカストルとアストレアの計五名。仕事内容は女王のいる王宮の警備と、街の巡回警備の大きく二つ。それぞれ人々を守る重要な仕事であり、気を常に張って警戒する必要があるという大変なもの。
彼らの指導をしてくれるのは、昨年度の首席卒業生・ミラ。スピカと同じ植物を操作する乙女座魔法の使い手で、その実力はかなりのものだ。昨年度の卒業生ということで、スピカ達とも年齢は近いが、優秀な人材が多いはずの王宮魔術師において、第三分隊長を任されている。
そんな彼女の教えを受けつつ、立派に仕事をこなしつつ、仕事終わりは大浴場でくつろぐ姿に癒やされつつ、職業体験の終わりが近づいてくる。しかし平和はそれほど長くは続かなかった。
不穏な終わりを迎える第九巻。しばしの平和を堪能しておこう。次を読むのが楽しみでもあり、辛くもある第九巻だった。
