工大生のメモ帳

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オリンポスの郵便ポスト 感想

※ネタバレをしないように書いています。

世界観に浸っていたい作品

情報

作者:藻野多摩夫

イラスト:いぬまち

ざっくりあらすじ

火星に人類が住み始めて200年という月日が流れた。そんな火星に存在する一つの都市伝説

オリンポスの郵便ポスト

太陽系最大の火山 オリンポス山 のてっぺんにあるとされる郵便ポストに投函された手紙は、神様がどこへでも、誰にでも届けてくれるという。

赤土広がる大地をローバースクーターでひた走る郵便配達員の毒舌女 ”エリス” は肉体を機械に入れ替えた改造人間 ”クロ” に「オリンポスの郵便ポストに連れて行って欲しい」と依頼を受ける。

総移動距離8635kmに及ぶ長い旅が始まった。

感想などなど

最近本読んでないなぁと書店にて最近のラノベにはないような表紙とあらすじに惹かれて購入。

あらすじから何となく分かるかも知れないが、本作にハーレム要素は欠片もない。ヒロインという存在もいない(強いて言うならクロがそうなのかもしれない)。というか主人公が女性である。

ストーリーも淡々と進んでいく。目的だけ見れば、”オリンポス山に向かう”という実にシンプル物であるのだ。世界を救いに行くというわけではない。

それでも、読み終わった後に感じたのは「もっと世界を味わっていたい」という何とも説明しがたい読了感だった。

 

そんな作品の魅力を語るには、この世界の壮大な歴史を語らなければいけない。

この物語の舞台は ”人が火星に移り住んでから200年後の火星” というSF的ものであう。当然穏やかな生活が淡々と続いていくようなものではなく、未知の世界で困惑する人類と、地球とは違う環境に苦戦する姿が容易く想像できる。

注目すべきは本作で描かれている現在の状況である。何も建物もない広大な大地を走るバイク。彼女は郵便配達の仕事をしているようだ。

……地球を飛び出して火星まで行けるほどの科学技術力を有しているというのに、通信手段が郵便とはどういうことだろうか。読んでいく限り開発が順調に進んでいるとは、到底思えない。

結論から言ってしまえば戦争があったのだ。

火星の開発として、犯罪を犯して捕まった人達が人体開発がなされ、改造人間として働いていた(そのうちの一人がクロである)。

彼らは人として扱われず休みなく働かされていた。疲れを感じないことが唯一の救いだろうか。

しかし、心は確実に蝕まれていく。彼らの我慢が限界に達したとき、改造人間と人類との間に戦争が勃発する……。当然開発が順調に進むはずもない。

クロはその戦争での生き残りであり、多くの人を殺したであろう彼が最後の場所を求めて、エリスに配達を頼んだのが、物語の冒頭となっている。

最後は読みながらある程度予想できるにしても、感動するものだった。これ以上の終わらせ方はなかっただろうと思う。

最近のラノベにはないような雰囲気を持つ作品だ。ハーレムなんかに飽き飽きしている、SFチックな作品を読みたいという人にはぴったりだと思う。

 

オリンポスの郵便ポスト (電撃文庫)

オリンポスの郵便ポスト (電撃文庫)

 

 二巻の感想はこちら↓

tokuro.hatenadiary.jp