工大生のメモ帳

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賭博師は祈らない 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

二人はゆっくりと変わっていく

情報

作者:周藤蓮

イラスト:ニリツ

ざっくりあらすじ

「どうでもいい……」が口癖の賭博師 ”アザゼル” は父親の言いつけを守り、勝ちすぎず負けすぎずの賭博を行っていた。しかし、偶然にも大勝ちしてしまったアザゼルはそのお金で奴隷の少女 ”リーラ” を購入する羽目になる。

リーラは喉を焼かれ声を発することができず、文字も読めない、物として扱われてきた少女だった。

この物語は二人の日常と成長を綴った物語である。

感想などなど

「どうでもいい……」とい台詞は何度も何度も登場する。何かある度に、何かする度に主人公はぼそりと呟くのだ。それは彼の性格や人生をこれでもかと言うほどに表している。

勝ちなんてどうでもいい。

他人なんてどうでもいい。

何かに対して固執することも、懸命になることもない。

そんな生活が突如として終わりを告げる。

リーラとの出会いである。最初はぞんざいな扱いで、適当なものだったが、彼女に対する接し方、扱い方が変わっていく様は読んでいて心が温まるものがあった。リーラが彼に対して色々と考えて行動する様も可愛らしく、飽きが来ない。

 ここで大切になってくるのは、「リーラは奴隷である」という点である。この点だけは給料を上げているとしても変わりようがない。なんせ社会が決めてことなのだ。人一人がどうこうできる問題ではない。

 

平和な日常が終わりを告げる。原因はリーラだった。

リーラが悪いわけではない。言ってしまえば、すごく運が悪かったとしか言い様がない。

リーラは街でも有数の賭場にさらわれてしまう。

賭博師にとって賭場は仕事場であり、もし敵にでも回してしまえば今後の生活に支障がでてしまうことは明らかだ。

勝ちにこだわらない。何事にも固執しない。 

そんな彼は何のために生きているのか?

何を目的にして生きているのか?

彼は彼なりに考え、彼なりの答えを出す。個人的にその一連の流れがかなり燃えた。

 そして怒涛の伏線とタイトル回収。作者のセンスがかなり光っていました。

賭博のラノベと聞いて、自分はカ〇ジを連想していた。そういった ”頭脳戦”   を期待して読むと少し物足りないかも知れない。いあ頭脳戦をしないというわけではないのだけれど、主人公が圧倒的強者に立ち向かっていくという感じではなかったように思う。

しかし、それを差し引いてもかなり面白い作品だった。

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