※ネタバレをしないように書いています。
これぞ、ダークファンタジー。これぞ、アクション。
情報
作者:細音啓
イラスト:ふゆの春秋
ざっくりとあらすじ
「怪異を追っている。隔離指定された凶悪な吸血鬼だ」
グレゴリオ聖教教会の新人シスター ”シルヴィ・クリアネット” はある日、黒づくめのマントに身を包んだ男 ”ノア” に出会う。
彼はたった一体で世界を滅亡に追いやる怪異に、これから一人で挑むのだという。
冷たく厳しい言いようと悪すぎる目つき、荒唐無稽と思われるような話から彼のことを信じようとしてはいなかったが……
感想などなど
これぞダークファンタジーといった本作。
吸血鬼や屍鬼といった敵が、これでもかと言うほどに登場します。
今回の敵は『歴史上最強で狡猾なる吸血鬼 ”ゼルネッツァA” 』
吸血鬼というと一体どんな敵を想像しますでしょうか。自分としては化物語のばばあ幼女を思い浮かべますが(怒られそう)。
今回の敵である吸血鬼はそんな可愛らしいものではありません。何せ歴史上最強で狡猾なる吸血鬼です。決して誇張というわけではなく、その名の通りの敵です。
どう卑劣なのか? ざっくりと説明してみましょう。
「たった一体で人類を滅亡の危機に追いやる」
それが大敵と言われる存在です。ここで一体どうやって滅亡に追いやっていくのか。
今回の相手の持つ特性がその鍵を握ります。その特性が「人間を一定の確率で怪異に偏移させる」というもの。これだけではちょっと分かりにくいかも知れませんが、映画バイオハザードのような状況を想像してみて下さい。ゾンビがしっかりと思考を持って明確に人類を滅ぼそうとしてきていると考えてみましょう。
昨日の友が、今日の怪異になっているかも知れません。
さてノアは生まれながらにして最強だった……というわけでは勿論ありません。それなりの理由や歴史があって、最強と呼ばれ大敵三体を葬り去ることができるのです。
その理由の鍵を握っているのが、義妹の存在です。
ノアの隣に大抵いる義妹。見た目は普通の女の子でありますし、寧ろ弱々しく見えるくらいです。
大敵と闘う上では邪魔になりそうなのではありますが、ノアは彼女を邪険に扱うわけではなく隣に置いています。
果たして何故なのか。そこにはあまりに悲しい過去があるのでした。
大敵を追いかけていく過程での絶望感は、尋常じゃありません。「一巻目でこんな敵を倒すのか」と思ってしまうほどです。そんな敵と対等に渡り合い、相手の思考の裏を読んで、読んで、読んでいくシーンは非常に燃えます。
売りの一つとも言えるアクションシーンは言わずもがな、最高にかっこいい。
一巻目ということもあり、『聖水の効果』や『世界観や設定』の説明はそれなりに多いですが、すらすらと無理なく読めます。
ノアは「世界で一番強くなる」。そして、「全ての強大な敵を倒す」。そのためだけに生きている。
そんなノアの今後と、世界の行く末が気になる作品となっています。