※ネタバレをしないように書いています。
※一巻のネタバレを含みます。
愛と狂気は紙一重
情報
作者:周藤蓮
イラスト:ニリツ
ざっくりあらすじ
当初の目的通り温泉が有名な観光都市・バースに到着した一行。ゆっくりと優雅な観光巡りができるかと思ったのもつかの間、怪しい影がついて回る。
すっかり名の上がってしまった”ペニー”カインド。はっきりとしたことも分からぬまま怠惰な日常を過ごす。
そんなある日、温泉から宿に戻ってみると荒らされた形跡と横たわる血まみれの少女。
厄介ごとに巻き込まれたと辟易しながらも、ラザルスは彼女を保護する。
町を巻き込んだ対立抗争。
そして、ゆがんだ愛の物語。
感想などなど
前巻を読んでからだいぶ日が経ちました。ボリュームたっぷり400Pの本作を読み進めます。
リーラとラザルスに加えて、いいところのお嬢様エディスとメイドのフィリーも旅の一行として同行。お待ちかねの温泉にも入ります(絵もちゃんとあります)。
さて、このまま平凡で怠惰で何も事件の起こらない……なんてことはありません。
最初は比較的穏やかに、しかし確実に進んでいきます。
事件についてざっくばらんに説明すると「二人の男が自分の信念を貫き通すために起こした抗争」といったところでしょうか。その抗争の中心にはラザルスがいて、本人は望まずとも彼の周りを巻き込んで展開していきます。
そして、語る時に外せないのが彼の部屋で倒れていた血まみれの少女です。
ラザルスは彼女を病院に連れていき助けます。そして、目が覚めた彼女は語りました。
『ベレロポン』
お父様から目が覚めて会った三人の男にこの言葉を伝えるように言われていた、と。
彼女の口からは度々お父様のことが語られます。
「愛している」
と。たとえどんなに酷い扱いを受けようとも。殺されるとしても「愛してるよ」と。
賭博の勝負も手に汗握るものばかりです。
相手の裏の読みあいから何から何まで、引き込まれていくものがあります。
そして、最後の賭博。
全員が命を賭けて、挑む大一番。
帯に書いてあった『愛を巡る狂気の一手を』という一言が相応しい最後でした。
愛と狂気は紙一重。度々物語で語られる愛の姿は様々で、中には理解に苦しむものもあって……。
最後に語られる愛は、狂気か? はたまた純愛か?
読んで確かめてみてください。