※ネタバレをしないように書いています。
※これまでのネタバレを含みます。
尻を蹴り合った知り合いじゃないですか。
情報
作者:鴨志田一
イラスト:溝口ケージ
ざっくりあらすじ
タレント活動に復帰した桜島麻衣先輩と彼氏彼女の関係になり、浮かれる咲太。しかし、朝目が覚めると付き合う前に戻されていた。
思春期症候群が原因だと考える咲太の前に現れたのは、尻を蹴り合った後輩・朋絵。彼女は友達の憧れの人からの告白から逃げ惑っているのだという。そんな中、ひょうんなことから朋絵と咲太が付き合っているという噂が流れてしまう。これ幸いと朋絵は咲太に「嘘の恋人」になって欲しいとお願いする。
何処か視線の冷たい麻衣先輩……誤解は解けたんだか解けてないんだか「嘘の恋人関係」は始まっていく。
ちょっと変わったラブコメの始まり始まり。
感想などなど
一巻の最後で時間が巻き戻っている描写がありました。二巻はそんな現象に気づいた所から始まります。
思春期症候群。その名前が瞬時に脳裏に浮かびます。
誰かが明日になって欲しくないと強く思っているのではないか。桜島麻衣先輩と彼氏彼女の関係になった咲太がそんなこと望むはずもなく、とりあえずいつもと変わらない一日の中で違う行動をとっている人を探してみると……
朋絵が告白から逃げていました。
理由は自分には分かるような……分からないような……。その告白をしてくる先輩が、自身の友達が憧れている人で、自分が告白されたという事実があるとその友達に嫌われてしまい、クラスでも孤立してしまうとのこと。
友達は片手で数えるしかおらず、女性に対して「生理か?」と真顔で言い放つ、強心臓の咲太には当然ながら理解できるはずもなく。
そんな説明の最中にも携帯を何度もチェックし、友達からのメッセージに対して瞬時に返信。彼女曰く「すぐ返さないと嫌われちゃう」。
そんな一日を繰り返している最中に起こった事故。
「朋絵ちゃんとグラウンドで麻衣先輩に告白した男(一周回ってありの男)が付き合っているらしい」
どうせ一日はまた繰り返されると思ってほっといた咲太を知ってか知らずか、時間は進み待ち望んだ明日がやって来ます。
こうして始まる「嘘の恋人関係」。どこかニセコイを思い出しますが、あれは親からむりやりのお願い。
こっちは後輩からお願いされた別に断ったっていいお願いです。
咲太はそのお願いを受けたところで、得は一切ありません(まぁ、可愛い後輩とデートできる……がメリットですかね)。
それでも彼は受けました。「仕方ない」と比較的あっさりと。
ラブコメとしては比較的典型的展開。そこで関わってくる厄介な存在が思春期症候群。彼も彼女も自分の思いに気づいた上で選択を迫られます。
予想はできました。途中で麻衣先輩も言及しています。それでも、最期の最期で予想の斜め上を行きます。後輩を応援したくなる、そんな作品でした。