工大生のメモ帳

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電波的な彼女 感想

※ネタバレをしないように書いています。

そんな顔が見たかった。

情報

作者:片山憲太郎

イラスト:山本ヤマト

ざっくりあらすじ

「あなたに永遠の忠誠を誓います」

見知らぬ少女に忠誠を誓われた不良少年の柔沢ジュウ。

墜花雨と名乗る彼女の奇妙な言動に振り回されながらも、次第に彼女の存在を受け入れていく。気が付けば何かとちょっかいをかけてくる同級生・咲月美夜も加わり三人の奇妙な関係性が構築されていた。

そんな日々の中、連続通り魔事件が巷を騒がせていた。

感想などなど

ラノベの隠れた名作と名高い本作。ずっと探していてやっと見つけたので、意気揚々と感想の執筆にあたろうと思う。

ラノベにしては珍しい、人の狂気に焦点を当てたサスペンスだった。しかも内容はかなりグロい。アニメ化したこともあるらしいが、ちゃんと描写できたのだろうか。……まぁ、「ひぐらしのなく頃に」がいけたならいけるか。

読んでいて頭の中に浮かんできた作品がある。

映画「羊たちの沈黙」女性を殺して皮をはぎ取っていく連続殺人事件のお話だ。

この話の争点は「何故皮を剥ぎ取っていたのか」にある。皮を剥ぎ取るなんて、野菜みたいにピーラーを使えるわけでもない。途方もない労力を使ってまで、それほどのことをやってのけた犯人の心理や目的は何なのか? 観たことのない人にも是非お勧めしたい。相当古い作品ではあるが、今でも十分に楽しめるはずだ。

さて話を戻そう。本作も「何故今回の事件の被害者たちは殺されたのか」という点を考えなくてはいけない。一見日付も被害者も無差別に見えるが、その裏に隠された犯人の正体と心理をくみ取らなければいけない。

しかし、読み取れてしまった人間は大切な何かを失ってしまうかもしれないが。

 

この作品の魅力は「狂気に満ちた世界観」と「個性的で愛すべきキャラクター達」にあるだろう。

まず「狂気に満ちた世界観」について説明したい……と言いたいところではあるが、こればっかりは読んでもらわなければ、真意は伝わらないと思う。頑張って説明を試みるが、ちょっとずれて伝わってしまうかもしれないことがもどかしい。

舞台は日本で、主人公は高校生で不良少年。髪を金髪に染め上げ、上級生ににらまれながらも、基本的に真面目に授業を受ける毎日。そんな平凡な日常に時折挟み込まれる犯人の心境。平和な日常のはずなのに、底知れぬ人の悪意がちらりと見えてくるのだ。

物語の中盤に主人公の知り合いが殺されるのだが、そこから加速度的に進行していく物語と描写によって、これまで背景に見えてきた狂気が一気に押し寄せてくる。

次に「個性的で愛すべきキャラクター達」。今回は墜花雨と咲月美夜の二人について語らせていただこう。

まずは前世からジュウに仕えているという堕花雨。どうやら前世の記憶を引き継ぎ、その世界では王として世界を統べていたジュウに仕えることが使命であるらしい。

そんな電波的な彼女の魅力は、例え何があろうと、何をされようとも彼に仕え、彼に尽くそうとする姿勢と、どこか狂気じみたジュウに対する執着にある。ストーカー的狂った愛とはまた違った奇妙な関係性。

友達? カップル? 全然違う。

そんな二人の関係性を表すのに適した語彙が思いつかないのが悲しい。誰か教えてください……。

そしてクラスメイトの咲月美夜もいいキャラをしている。

柔沢ジュウは不良だ。上級生と喧嘩して打ち負かし(相手が勝手に絡んできて身を守っただけ)(毎日自炊して弁当をつくる)(高校に受験で合格するくらい頭は悪くない)(比較的真面目に学校来てたりするけども)……しかし髪を金に染め上げ、目つきは悪いので大抵の人間は怖がって近づいてこない。

そんな彼に近づき声をかけてくる女がいた。それが咲月美夜である。誰とでも分け隔てなく接する彼女は、ジュウに声をかけ、何かとついて回ってくる。自分は不良だと言うジュウに対し、「ジュウ君はいい人だよ」と言ってくれる。彼女とジュウのテンポよく進む会話が個人的に好きだったりする。

 

「一味違うラノベを読みたい」「狂気に満ちた作品を読みたい」というような人に是非ともお勧めしたい作品だ。物語が動き出し、狂気が押し寄せてくる物語の後半は読み進める手が止まらなくなってしまうことをお約束しよう。

電波的な彼女 (集英社スーパーダッシュ文庫)

電波的な彼女 (集英社スーパーダッシュ文庫)

 

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