工大生のメモ帳

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ラノベに両親でない問題

ラノベには両親が登場しない……と言われているが、ブログ主はそんなこともないと思う。というか無理して両親を出す必要性すらないので、問題として提示することも馬鹿げているとさえ思っている。

だがしかし、ラノベにだって両親が出てくる作品はたくさんある。まぁ、ラノベと一言で言ってもたくさんあるのだから、それは当たり前なのだが。だからこそ両親が重要な役割を持っているシリーズというものを、たくさん紹介しようと思う。

ラノベの歴史を変えたとまで言われるブギーポップシリーズ。その第六巻「夜明けのブギーポップ」では、霧間凪の父親に関するエピソードが描かれていく。作家として仕事に打ち込んでいた父の姿を見ていた娘と、死ぬ最後の瞬間までその娘を守ろうとした父……心に残る物語だった。

また、同じく霧間凪が大活躍する「ヴァルプルギスの後悔」では母親が超重要キャラクターの一人として登場する。仕事人間だった父親と離婚したが、それでも凪のことを心配してくれる母親の姿を見せてくれる。

凪以外にもブギーポップの人格が宿った宮下藤花の家庭は、娘が二重人格でおかしな言動を取ることがあったことで、母親が精神病を患い壊れかけていたりする。ブギーポップとしては少し申し訳なさそうにしている感もあるが、自動的なので諦めているようだ。

最近読んでいる「アンダカの怪造学」(第一巻が2005年)。虚界という異世界から、怪造生物を呼び出して使役する怪造学が発達した世界が舞台。怪造生物を使役する奴隷としてではなく、友人として接する変わり者・伊依が活躍する。

そんな彼女の母親は、実家のしきたりが原因で廃人化。父親は危険な実験の果てに死亡した代わりに、魂をセンスの悪いアクセサリに定着させて生き残る……というなかなかにハードな家庭環境となっている。

そして父親が魂だけでも生き残った執着の理由は、『娘が心配だったから』という最低最悪な姿と相反するような理由だったことが明かされると、これまでの父親に向けていた印象が変わっていく。父親はただ不器用であったに過ぎないのだ。

一風変わった親として「電波的な彼女」「紅」も紹介しておきたい。この二つをあげたのは、「電波的な彼女」の主人公である柔沢ジュウの母親は、「紅」の主人公である紅真九郎の師匠に当たるという繋がりがあるのだ。そのため二作品を並べて読んでみると、「この母親なにしてんだ!」「てめぇ、家ではこうなのか!」と突っ込み所満載となっている。

残念なことにシリーズの続きが出ることはないだろうが……作者は何してらっしゃるんだよ……。

「半分の月がのぼる空」では暴力を振るって母や息子である裕一を困らせる父親が登場する。酒の飲み過ぎで身体を壊し、呆気なく死んでいった彼の最期の言葉は「好きな女を大切にしろ」。何だかんだで最低な父親だったが、その言葉は息子に多大な影響を与えていた。

そんな主人公・裕一だけでなく、ヒロインにして、いつ死んでもおかしくない心臓病を患っている秋庭里香にも、生きて欲しいと願ってくれる両親がいた。その他、一癖も二癖もある人がたくさん出て来るが、みんながみんな良い人。本当に良い作品だった。

実写映画化された「君は月夜に光り輝く」では、「半分の月がのぼる空」と似たように病に冒されたヒロインが登場する。ストーリーとしては彼女が大切にしていたスノードームを壊してしまったため、その罪滅ぼしのために彼女の願いを叶えてあげる話となっている。 

そんな中で、彼女の父親と主人公が言葉を交わすシーンがある。そこでどんな話が行われたかについては、映画か本で確認して欲しい。

まぁ、あまりラノベを読んでいないブログ主ですら、これぐらい両親が出てきて重要な役割を果たしてくれる作品は上げることができる。ラノベに両親がいない訳ではなく、あなたが選んだ作品に両親がいないだけなのではなかろうか。