工大生のメモ帳

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インプットしたらアウトプットしないと狂ってしまう

インプットされた情報には、それに応じた処理が施され、何かしらの形でアウトプットが吐き出される。プログラムではそれら一連の工程を、機能だったり関数だったりと呼んだりする。

インプットされた情報を格納する場所は――プログラムでは変数などと呼ばれるが――入れることのできる情報の量、つまりはサイズが決定されており、それを超えるとオーバーフローなどを起こしてアウトプットにエラーが吐き出される。

人も同じだと思うのだ。インプットされたならば、アウトプットしなければ狂ってしまう、と。

勉強に限らず本や漫画、ラノベやアニメに映画といった作品は、目から耳からインプットされ、記憶として蓄積されていく。その蓄積された記憶はただ留まっているだけで脳の肥やしにでもなるのだろうか? 時間を置いておけば熟成されるワインでもあるまいし、いずれ腐って必要ないと判断された情報から勝手に捨てられていく。

それはブログ主にとって耐え難い苦痛であった。大学時代には文藝部という居場所があり、他の人よりは比較的作品を好きなだけ語れる場所があったのだが、そうはいっても何かしらの形で吐き出したいという欲求は終わりが見えない。アニメも映画も漫画もゲームも楽しんでいたがため、その全てを網羅して趣味とする人など周囲にいなかったのだ。

だからこそ、このブログが誕生してしまった。最初は書くという行為に慣れておらず、一つの記事を書くのにもかなりの時間を要した。それでもアウトプットする場所としてこれ以上の環境はなかった。就活や研究などでブログから離れる時期もあったが、いずれまた作品に触れてしまえばブログに戻ってきてしまうことを繰り返した。

 

そして書き続けるに辺り、アウトプットに時間をかけすぎて、インプットに時間が割けないという本末転倒な事態へと突入する。とてつもなく阿保である。

そして「どうすればもっと効率よくアウトプットできるか?」を考えて、作品を読みながら、人間関係や世界観、伏線やそれぞれの行動の意味や目的を整理する癖がついてしまった。作品の描き方が似ている他作品と比較しつつ、どのような点で差別化を図っているのか? 同じような場面で主人公が考えることの違いなどまでも考察し読み進めるようになってしまった。

全てはアウトプットを効率よく行うための処理であったが、これが結果としてインプットを楽しむということにも繋がった。

こうしたアウトプットを経て、インプットのやり方というのも大きな変遷を遂げる。ただ漠然とした「楽しかった」という感想が残るのではなく、「どうして楽しかったのか」が残るインプットに切り替わったのだ。

またラノベに関して言えば、アニメの解説記事を書くようになってしまった影響か、「アニメならばどう描くか」という視点まで身についてしまった気がする。アニメではどうしても描き切れない情報があり、十二話という限られた尺の中でどこまでを詰め込めるかを脚本家は模索する。それと似た道筋をブログ主も辿っている訳だ。

 

例えば。

 

今期アニメ「神達に拾われた男」という作品の解説記事を書いている。視聴している方はどれほどいるだろうか? 見ていない方の方が多いことだろう。あまり話題にも上っていないように感じる。これからする話はアニメを見ていないと分からないかもしれない、できる限り未視聴者にも分かるように努めるがご了承いただきたい。

このアニメ、第一話の脚本は良かったと個人的には思う。時系列を入れ替えて、まず最初に転生してから三年後の主人公の様子を描き、「実は僕、転生して来たんです!」という過去を後半で描く。死んで神と出会うシーンは、「小説家になろう」におけるテンプレ過ぎて早々に飽きられるという判断なのか、良く分からないが。

問題は第二話である。原作既読者ならば特に感じるであろう違和感が、随所にちりばめられている。まず原作では主人公視点だけでなく、異世界で元々住んでいた住民視点も存在する。そこで漸く、「あぁ、だから驚いていたのか」とか「だから主人公を助けようとするのか」というように納得がいく構成になっている。第一話ではある程度配慮していたにも関わらず、第二話ではそれらをことごとく潰している。

主人公が『スライムの進化条件』について、公爵家の面々に話すシーンがある。原作では、この世界において、それらはとても重要な情報であり、人に簡単に話すべきではないというように注意を受けている。スライムに関して、この世界の住民はほぼ何もわかっていないことが、ここで判明する訳だ。

土砂運搬に際して、主人公はスライムの糸などを使って作ったレインコートを持ち出した。ここで周囲の面々が驚いた理由の一番は『この世界に合繊繊維が存在しないから』である。また水を弾くといえば、それに該当する獣の毛皮を使うのが常だった。そこから商売の匂いを嗅ぎつけるラインバッハはさすがである。

同じく土砂運搬に際して、主人公は『クリエイトブロック』という魔法を使っている。アニメではそれを用いて主人公がすべての土砂を取り除いたかのように誤解を受けかねないが、実際のところ、『クリエイトブロック』という魔法を周囲の人に教えることで作業の効率を上げていくことで貢献している。今後もこの効率を上げるというのが、主人公の活躍においては重要になってくるのだ。

とはいってもまだ二話であるし、今後に期待である。解説記事もアニメを見たことで溜まっていくインプットを吐き出すために、書いていくことになるだろう。ブログ主が狂ってしまわぬよう記事投稿に付き合っていただきたい。