工大生のメモ帳

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夜明けのブギーポップ 感想

※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます(出版順で一巻の感想はこちら→ブギーポップは笑わない 感想 - 工大生のメモ帳

始まりの物語。

情報

作者:上遠野浩平

イラスト:緒方剛志

ざっくりあらすじ

探偵。人の恐怖を喰らう者。作家。暗殺者。

彼らが炎の魔女と出会う時、四人が辿る道を六つの異形の視点から綴った。ブギーポップ最初の事件。

感想などなど

ブギーポップ作品の時間軸はかなりごちゃごちゃして参りました。お陰様で6作目で有りながら、今回の「夜明けのブギーポップ」が一番古いということになると思います。なんせブギーポップが初めてこの世界に現れて、彼の名前が決定された事件でもあります(なので「ブギーポップは笑わない」を読んでからの方が楽しめるかなと思います)。

 第一話からしてタイトルが『ブギーポップの誕生』とド直球。

主人公は黒田慎平という探偵。しかし実態は統和機構の合成人間スケアクロウである。そんな彼は統和機構に依頼され、 ”寺付恭一郎” という人間の調査を行うのだが、その過程で向かった病院にて、とある少女に出会う。その少女こそが、今回のメインとも言える霧間凪であって、今まで登場してきた彼女とは違い、大人しい少女のようであった。

どうやら何か病気・・・・・・? に罹っているようであって、弱々しくなっている彼女は、

「あなたは何かやりたいことないの?」

と黒田に尋ねます。対して、

「そうだな。――正義の味方、かな」

・・・・・・まさかこの一連の会話が今後に大きな影響を与えることになろうとは。実は霧間凪の病気の正体が、人間の進化による影響であり、統和機構が探し求めている存在であったり、そんな彼女を救う ”正義の味方” になるために奮闘するが、それは読んでからのお楽しみということで。

 

第二話『霧間凪のスタイル』。

主人公は霧間凪であり、第一話後 ”正義の味方” として活動している様子が描かれます。事件内容は「町中で次々と死んでいるカラスなどの動物がゴミ捨て場に捨てられている」というもの。

彼女の行動する理由などが描かれます。

そして物語が大きく動き出す『天より他に知る者もなく』。

主人公は来生真希子。霧間凪が入院していた病院のナースであり、「女性が次々と殺され頭蓋骨を外されるという」狂った連続殺人事件を起こした真犯人。

人を恐怖させるがために策を講じ、散々いたぶった後、頭蓋骨を解体する・・・・・・。

彼女が何故そんな事件を起こすのか? 何故起こすようになってしまったのか?

それらの真実が語られていきます。恐怖の世界の幕開けです。

 

第五話『パブリック・エナミー・ナンバー』。

主人公は霧間誠一。殺されたという霧間凪の父親で、超大金持ちの作家。今までも度々名前が登場し、殺されたという話だけは今までの作品を読んできた方ならば知っていると思います。知らないという方は、まぁ、他の作品も読んでみて下さい。

ざっくりとしたあらすじとしては「死期を悟った男が、最後に色々なことを考える」というもの。基本的に公園で出会った少女との会話で構成されています。

そして最終話『虫』。

今までと同様に、これまでの時間軸も登場人物もバラバラだった物語が収束していく様は圧巻の一言。

正義の味方になりたいと語った探偵 黒田慎平

正義の味方になろうと奮闘する少女 霧間凪

人を恐怖させるがために産まれた連続殺人犯 来生真希子

そして語りきれなかった多くの人造人間や凪の友達・・・・・・多くの人物の思惑が交錯します。

 

今回も含めて、多くの人間ならざる者が登場し、彼らは人知を超越した特殊能力を兼ね備えた存在として描かれています。

しかしどうでしょう。彼らは「正義になりたい」と語ったり、「恋だったのかもしれない」と言ったり、人の仲間ができて喜んだりします。

果たして彼らと人の間には違いなんてあるのでしょうか。

今回の個人的に感じたテーマは正義でしょうか。作品のあらゆる場面で度々登場します。人造人間や人間、それぞれ思い描く正義はきっと違いますし、貫き方もまたそれぞれ異なっていきます。その正義のためならば、人だって殺すかも知れませんし、自分の命を捨てることだってするかも知れません。

そんな正義が入り乱れる中、登場するブギーポップ。彼の立ち位置とは一体・・・・・・。

夜明けのブギーポップ (電撃文庫)

夜明けのブギーポップ (電撃文庫)

 

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