工大生のメモ帳

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”文学少女”と穢名の天使 感想

※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます(一巻の感想はこちら→”文学少女”と死にたがりの道化 感想 - 工大生のメモ帳

天使はもう、歌いません

情報

作者:野村美月

イラスト:竹岡美穂

ざっくりあらすじ

文芸部部長、天野遠子は受験勉強に本腰を入れるために、十二月のある日。部活を引退する。

そんな中、音楽教師の鞠谷の手伝いで、ななせと一緒に放課後を過ごすことになる。

感想などなど

十二月。無事に劇を終えた後の物語となっている。

文芸部部長の天野遠子は受験生ということで、あまりにも遅すぎる引退。ちなみに志望校の判定はE判定。数学は壊滅的で、今からかなり頑張らないといけないはずなのに、本人は平気よと明るく前向きなご様子。後輩の心葉の方が焦っていたりする。

というわけで今後の文芸部は、心葉一人で引っ張っていくことになる・・・・・・のだが、一人では特にすることもない。相変わらず先輩のおやつは書き続けるが、それでも放課後は暇になってしまう。

そんな放課後の空いた時間を埋めるかのように入った、鞠谷先生のお手伝い(音楽室の整理だったり掃除などなど)。ちなみに今は高校の音楽の先生をしているが、両親も音楽家であった彼は、幼い頃天才と呼ばれていたらしい。

あぁ、もう怪しい香りがプンプンしています。

これまで登場人物達の過去を暴き、事件を解決してきました。そんな中、「怪しい過去がありますっ!」と自己紹介しているような登場・・・・・・。とりあえず、この話は置いておきましょう。

琴吹ななせと共に放課後過ごすのですが、どうにも彼女の様子がおかしい。どうやら他校に通う親友・夕歌が失踪してしまったらしい・・・・・・その失踪事件こそが、今回追いかけていく事件となります。

高校生で失踪というと、家族と何かしらあっての家出・・・・・・だとしても、親友であるななせに一つも連絡をよこさないということがありえるのでしょうか? それに家出をしたら、友達に「そっちに行ってませんか?」と連絡が来るものですが、それすらもない。

何かしら事件に巻き込まれたと考えるのが自然です。

ここで大事になってくるのが、その失踪した彼女・夕歌に彼氏がいたという情報。度々幸せそうに彼との日々を語っていた彼女の身に、一体何が起きたのか。また、天使という謎の存在もちらりと顔を覗かせます。謎が謎を呼び、事件の全容が明らかになる時、

そこには残酷な真実が待っていました。

 

今回のモチーフ作品は、『オペラ座の怪人』。名前くらい聞いたことが、あるのではないでしょうか。

ざっくりとあらすじをまとめると「一介のコーラスガールであったクリスチーヌが、”オペラ座の怪人” ことファントムに歌を教えて貰い、成功を収める。そんな二人の関係性に嫉妬したラウルは、二人の関係を引き裂こうと画策する」というもの。はしょりすぎている感は否めませんが、まぁ、大枠はこんな感じということで。これを今回の話に当てはめてみると、

今回失踪してしまった夕歌は、音楽学校に通う一介の学生でした。

そんな彼女は ”天使” に歌を教えて貰うことで、飛躍的に歌が上手くなります。

・・・・・・この ”天使” と夕歌の関係は、『オペラ座の怪人』でのクリスチーヌとファントムのように見えませんか?

ここで問題となってくるのは、「誰がラウルに当たるのか?」という点と「 ”天使” は誰に当たるのか?」という点の二つです。

ラウルはファントムとクリスチーヌの関係性に嫉妬するような存在・・・・・・。

天使はクリスチーヌに歌を教えることができるような存在・・・・・・。

次々と怪しい人物が出てきて「誰が誰だ?」と頭を悩ませながら読み進めていき、最後にそれぞれの役割がパチリと当てはまっていく展開は、鳥肌が立ちました。

もの悲しい展開が続いていく物語。その裏側にある熱く情熱的な恋。そんな雰囲気を楽しんでください。

“文学少女”と穢名の天使 (ファミ通文庫)

“文学少女”と穢名の天使 (ファミ通文庫)

 

 

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