※ネタバレをしないように書いています。
みんなどこかで狂ってる
情報
監督:あおきえい
脚本:舞城王太郎
アニメーション製作:NAZ
放送時期:2020冬
ざっくりあらすじ
狂気的な連続殺人事件が頻発する事態を解決するため発足した組織「蔵」では、事件現場に残った犯人の殺意を採取し、犯人の深層心理であり殺意の世界である「イド」を生成。その世界で殺されているカエルちゃんの殺人事件を解決することで、現実の殺人犯の心象に迫っていく。
感想などなど
皆さんはアニメに一体何を求めているだろうか?
ブログ主としてはアニメでしか演出できない世界が見られること、これを期待している。CGがいくら発達したとしても、アニメーションでしか表現できない世界というものがあるはずだと思う。
本作は実写ベースのCGではグロ過ぎて見てられないし、アニメーションでしか表現できないような新しい空間が形作られていると感じた。SFとしての色と、ファンタジーのような色も混じって、この作品でしか感じられない空気があったように思う。
ここまでの感想を見てもらうと、もしかしたら雰囲気だけのアニメと思われてしまうかもしれない。
本作はそれら最高の雰囲気にプラスして、ミステリーとしての謎解きの面白さを加え、さらに家族や友愛、色恋としての愛の物語までも描かれており、毎エピソードで感情が揺さぶられるギミックが用意されているのが最高だった。
そんなアニメ『ID:INVADED』について語っていきたい。
第一話は、いきなり街そのものがバラバラに切り刻まれて、宙に浮いているような世界に放り出される。バラバラになっているのは世界だけではなく、主人公と思しき男の身体もまた、ズルのピースが欠けたように身体の部品が抜けている。
そんな不思議な世界を探索していくと、カエルちゃんと呼ばれる少女が殺害されていることを発見する。そしてその殺人事件を解決しなければならない、と話は展開していく。
そこからズームアウトしていくような形で、それらバラバラ世界は、「穴あき事件」という連続殺人現場に残された思念粒子であることが説明される。「なんじゃそれは」と思っていたら、カエルちゃん殺人事件の捜査によって得られる情報により、穴あきの犯人を追い詰めることが出来ていく……ここでSF×ミステリーというジャンルと、大雑把な世界観や設定が、映像によって頭に叩き込まれてくる。
現実世界では犯人の痕跡である思念粒子を回収、それにより空想世界が更新され犯人の情報を導き出す。この捜査態勢により第一話では穴あきを追い詰めて、無事に逮捕まで至った(無事に逮捕……いや、一人だけ頭に穴が開いてしまったが)。
とにかく世界観としてはそのような感じで、話毎に別の連続殺人鬼の世界へと入っていき、その変な世界を探索することで犯人の足取りを追っていく訳だ。この変な世界の探索がSFチックな面白さであり、そこで明かされるパズルのようなバラバラな情報をつなぎ合わせていくミステリの面白さが上手く調和している。
基本的には一話完結だが、そのどの事件でも共通して現れる謎の男ジョン・ウォーカーの存在を追っていくと、そもそもの思念粒子を集めて形作られるイドという世界について、イドに入ることができる探偵の条件などが明かされていく。
このストーリーの凄いところは、SF的な世界観と登場人物達の心情・感情が密接に絡み合って、その全てに意味があるということだ。人を殺すことに罪悪感を抱く者もいれば、快感を抱く者もいるし、愛情表現とする者もいる。そういった人間の感情がSFの世界観においては、もう一つの世界という形で描かれる。その世界を描くことで展開していく物語は、アニメという媒体で描くべきだったストーリーだったと思う。
本アニメ『ID:INVADED』は全13話ということもあり、一周するにはそれなりの時間がかかる。それでも何周かしたくなる面白さがあった。個人的に第9話は何回か見返すくらいには好きだし、初見は号泣した。
苦労は報われるべきだが、その報われ方は人それぞれ。皆が皆、自分のしたいことを好き放題にしたと思う。それを自分のすべきことだと信じて。是非とも見てほしいアニメだった。