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【漫画】LIAR GAME 1 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

嘘つきが勝つゲーム

情報

作者:甲斐谷忍

試し読み:LIAR GAME 1

ざっくりあらすじ

正直者の神崎直は、LGT事務局から届いた怪しげな小包を開いてしまう。中にはLIAR GAMEの招待状と、1回戦で使うマネー1億円が入っていた。30日間かけて、この1億円を対戦相手と奪い合うというのだが……。

感想などなど

LIAR GAME

直訳すると嘘つきゲームといったところか。その名の通り、嘘つきが有利になるゲームに、正直者の神崎直が挑んでいくという内容のストーリーだ。

ゲーム一つで一億、二億といった大金が動くというスケールの大きさ、騙し合いの心理戦、ルールの穴を突く頭脳戦……そういったギャンブル漫画に求められている要素の全てが詰まっていることが、本シリーズの大きな魅力だと個人的には思う。

その中でも特筆したいのは、ゲームのルール内にとどまった戦略で戦っているということだ。

本作「LIAR GAME」において、全ゲームを通してイカサマは一切行われていない。これは数あるギャンブル漫画において、意外と珍しいのではないだろうか。どのゲームも純粋な心理戦が描かれ、神崎直と共にLIAR GAMEに挑むこととなる天才詐欺師・秋山の語る心理学知識も学びとなる。

最初に書いた通り、ゲームでは嘘つきが有利になるようなルール、つまり正直者が損をする内容になっている。その構造が分かりやすく教えてくれるゲームが、第一回戦「マネー奪い合いゲーム」である。

 

第一回戦のゲーム「マネー奪い合いゲーム」。

これは1対1で行う。各人それぞれに、1億円が与えられる。30日経過時、事務局の人間が1億円を回収に伺う。この時、1億円を返済することができなかった場合は、その差額を負債として背負う。逆に相手から奪っていたお金は、そのまま自分のお金とすることができる。

つまり、対戦相手からLGT事務局から与えられた1億円を奪うことができれば、それがそのまま自分のお金となる。奪われた対戦相手は、1億円がそのまま負債として降りかかる。

ルールとしては非常にシンプル。それ故に難しい。

神崎直はLGT事務局から届けられた1億円をどうすれば良いか、弁護士などに相談した。ただ戻ってくる答えは嘘を疑うような、現実味がないような返答ばかり。1億円が届けられたといっても信憑性はない上、何か被害を受けたということでもない。

困り果てた彼女は、対戦相手が高校時代の恩師だと知り、対戦相手だと知りながら相談に赴いた。かつてお世話になった人ではあるが、だからといって……そんな彼女を温かく迎え入れるかつての恩師。

いい顔の裏に悪い顔を感じてしまうのは、読者の悪い癖なのだろうか。馬鹿正直と称されるほどの神崎直がだまされなければいいけれど……という想像通りに物語は進む。それも最悪な形で。

神崎直は、かつての恩師に1億円を丸々奪われてしまうのだ。

 

そんな窮地に立たされた神崎直が、最後の最後に頼った相手が、天才詐欺師・秋山深一である。彼は戦後最大級のマルチグループ「集英商事」を騙して破綻させ、日本犯罪史上最高金額の金を騙し取った男だ。

彼の力を借りることができれば……神崎直は彼に運命を託すことに決めたのだ。ただそんな彼女の言葉を黙って受け入れるほど、彼は良い人ではない。最初は彼女の言葉を全く信用せず、怪しい変な奴という風に思っていたようだ。

だが、他人を疑うことを知らず、どこまでも信じようとする彼女の馬鹿正直さに打たれ、彼もLIAR GAMEに片足を突っ込んでいく。

最初は彼におんぶに抱っこでゲームに挑んでいくことになるが、ゲームを進めていくごとに他人を信じるために疑うことを決め、人として成長していく神崎直。他人を信じることができなくなっていた秋山が、徐々に彼女に心を許していく物語も魅力として数えられるのではないだろうか。

まだまだゲームとしては簡単。ここから難しくなっていく心理戦に、読者もどっぷりと浸かってみてはいかがだろうか。

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