工大生のメモ帳

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なれる!SE9 ラクして儲かる?サービス開発 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます。

サービス開発、始めました

情報

作者:夏海公司

イラスト:Ixy

ざっくりあらすじ

業績の悪化したスルガシステムは、苦境を脱するべく社長が下したミッションは、定型のサービス開発と拡散だった。実行チームに抜擢されたのは、犬猿の仲である立華と梢だった。

感想などなど

前回(なれる!SE8 案件防衛?ハンドブック)はアマンダからぎりぎりの勝ちをもぎ取りました。しかし、多くの仕事を奪われたということに変わりありません。スルガシステムの経営は火の車。なにか策を打たなければ、このまま潰れてしまうかも知れません。

そこで社長は『定型のサービス開発と拡散』を進めることにした訳だ。

これまでの仕事と何が違うの? と思われる方も多いことだろう。社会人にとっては当たり前かも知れないが、ライトノベルを読んでいる人は大抵社会人ではないので(自分しかり)ざっくりと(ラノベで学んだことを)説明しておく。

作中でサービスとこれまでの仕事(個別SI)の説明は色々な例を挙げられて説明されています。その中でも個人的に分かりやすかったのは『客が投資リスクを取るか、取らないか』という説明でした。

スマホを買おうとした際に、「このスマホが欲しい」といって客が開発費用を出すのが個別SIで、「このスマホが欲しい」といって既にできあがっている完成品(サービス)を受け取るのがサービス・・・・・・といったところでしょうか。もっと細かく色々違いがあるそうですが。

サービスの強いところは一度サービスを完成させてしまえば、マーケティングをしっかりして、売り出せば売り出すほど利益が出せる点です。

まぁ、しっかりとしたサービスを作り出せれば・・・・・・の話ですが。

スルガシステムの技術者は相当レベルが高いのですが、如何せん仕事を抱えすぎているので、誰もやりたがらないという現状。

まず誰がサービスを生み出すのか? という話ですが、あまりにも誰も出てくれないので推薦形式をとることになるのですが、女性の醜い戦いがあるのでした。

 

あらすじにも書いていますが、最終的に選ばれたのは立華と梢の二人。その過程で女性同士の戦いが繰り広げられたのですが、それは読んで確認して貰うとして。SE部とOS部の二人の中の悪さは尋常ではありません。協力しなければ良いサービスは作れないということで、二人の仲を取り持つ役割兼マネージャーを任されたのが、我らが主人公桜坂工兵。

SEになって一年しか経過していないのに、マネージャーを任される桜坂工兵のすごすぎるだろ! と思いますが、彼の残してきた実績は明らかに新人のそれじゃないので納得できます。

しかし、SEとしての経験と知識は誰よりも劣っています。そんな彼に果たしてサービスを生み出せるのか?

当然簡単な話ではありません。仲の悪い二人は自分の仕事が変わらずあって、工兵も自分の仕事で手一杯な状況。

そんな状況で革新的なサービスを生み出せるわけないだろ! と思いますが、さすがは我らが工兵。できないことを平然とやってのける。

 

何か大きな仕事をやり遂げるためには、多くの要素が上手く絡み合わなければいけません。

まず、受け持つ人達が全力で仕事に打ち込める体勢があること。次々に仕事を投げてくる社長に仲の悪い梢と立華。協力もままならない状況を、工兵はプロダクト・マネージャーとして工兵はどうにかしなければいけません。

次に、革新的なアイデア。しっかりと売り出していけるようなサービスを生み出さなければいけないのですが、果たして新人にアイデアを出せるのか。

状況としては最悪。次々に降りかかってくるアクシデント。会社の命運を左右する状況まで追い込まれていきます。

そんな壁に全力で取り組んでいくスルガシステムの面々に、プロとしての熱意や根性を感じられます。スカッとするような展開もあり、ギャグ的展開もあり、面白いライトノベルでした。

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