工大生のメモ帳

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【ドラマ】ONE DAY ~聖夜のから騒ぎ~ 感想

※ネタバレをしないように書いています。

聖夜の奇蹟

情報

脚本:徳永友一

主演:二宮和也、大沢たかお、中谷美紀、江口洋介、佐藤浩市

全11話

ざっくりあらすじ

聖夜。勝呂寺誠司が痛む頭を抱えながら目を覚ますと、目の前に頭を撃ち抜かれた死体があった。老舗レストラン『葵亭』のシェフ・立葵時生は、謎の侵入者によって代々継ぎ足してきたデミグラスソースの寸胴鍋が倒されてしまったことに頭を抱えていた。地方テレビ局『横浜テレビ』の報道キャスター・倉内桔梗は、銃殺された死体の事件を追おうとするが突如番組降板を告げられてしまう。

感想などなど

クリスマスというのは奇蹟が起きる。

キリスト教を信仰している訳ではないが、浮き足だった街並みを冷めた目で見がちなひねくれ者でもあるが、それでもクリスマスの夜に何らかの奇蹟を期待してしまう。何が起きたって、クリスマスだからという一言で許してしまう。

本ドラマ『ONE DAY ~聖夜のから騒ぎ~』はクリスマスの一日で巻き起こる騒動を描いたストーリーとなっており、全11話という構成の中に、逃走犯・勝呂寺誠司、シェフ・立葵時生、報道キャスター・倉内桔梗の三人が巻き込まれるそれぞれの騒動がバラバラに描かれていく。

あらすじにも書いた通り、第一話時点では下記の通り。

  • 勝呂寺誠司は記憶を失った状態で目覚め、目の前に銃殺された死体が! そこから指名手配されてしまう!
  • シェフ・立葵時生はクリスマスディナーの準備をしていたが、謎の侵入者によってデミグラスソースが入った寸胴が倒されてしまう!
  • 報道キャスター・倉内桔梗は銃殺死体が発見された事件をスクープして番組で取り上げようとするが、突如として番組を降板されてしまう!

いわゆる群像劇のドラマだが、それぞれの主人公の視点があまりにバラバラである。勝呂寺誠司の視点では、いきなり銃殺死体が転がっているし、その上記憶喪失で警察に指名手配されているサスペンス展開が繰り広げられる。そんな勝呂寺誠司が巻き込まれた殺人事件をスクープしようとする倉内桔梗は、テレビ局内のゴタゴタと戦う社会派ドラマ的な展開を見せ、立葵時生はクリスマスディナーを成立させるために奮闘するドタバタコメディ的な様相を見せる。

それぞれジャンルが違えば、物語としての関係性は見えない。

特にレストランで準備していただけのシェフなんて、銃殺事件とどう足掻いても関係がないように思える。しかし、実はレストランに侵入して寸胴を倒した犯人は、指名手配されている勝呂寺誠司であることが分かったり、報道キャスター・倉内桔梗のの部下が、レストランのシェフの娘だったりと、少しずつそれぞれの関係性が明らかにされていく。

そんなドラマ『ONE DAY ~聖夜のから騒ぎ~』について語っていきたい。

 

群像劇の作品をネタバレなしで語ろうと思うと、「どこからどこまでがネタバレになるのか?」が難しくなってくる。

例えば。

老舗レストラン『葵亭』では謎の侵入者がいて、その何者かによって代々継ぎ足してきたデミグラスソースの入った寸胴が倒されてしまったということになっている。その何者かがいたことを裏付けるように、レストランでは拳銃が発見された。

視聴者の脳裏には銃殺事件と勝呂寺誠司が思い浮かぶし、作中の警察も例外ではない。このレストランに勝呂寺誠司が侵入したということなのだろう。しかし、ここで「勝呂寺誠司はどうしてレストランに侵入したのか?」という疑問が浮かぶ。

これについて、それぞれの物語の関係性が明らかになっていくことで分かってくる。

勝呂寺誠司は記憶を失っていることも大きな問題だ。彼が目覚めた時に眼前にあった銃殺死体は、そもそも誰であるのか? そして誰が殺したのか? 記憶を失っているので、もしかしたら自分が殺しているかもしれないのだ。

それらも、それぞれの物語の関係性が明らかになっていくことで分かってくる。

……ここまで読んで貰えば分かるかもしれないが、このドラマは結構難しい。時系列と人物相関図が基本的には分からない状態で見ることとなる。

例えば。

老舗レストラン『葵亭』は寸胴が倒された事件や、拳銃発見された事件、冷蔵庫が壊れた事件などによって、クリスマスディナーが開催できるか危機的状況に陥る。そこで別のレストランから助っ人を呼ぶことにした。

かなり仕事ができると評判の人物が来るということだったが、来てくれた人は明らかに料理をしたことのないレベルの人物であり、助っ人というよりは邪魔者である。レストランで働いている従業員は疑っていないようだが、視聴者は疑いの目を向ける。「この助っ人は違う人物なのではないか?」と。

別人物の視点で、「自分は料理人に向いてないかもしれない」と悩む男が登場する。話を聞いていくと、どうやら助っ人に呼ばれているが悩んでいるらしい。「……もしかして」とここで考える。この人物が本当の助っ人なのでは? と。

そうやって点と点が繋がっていく。これはある種の快感である。

 

群像劇の醍醐味は全ての物語が繋がって一つの物語になっていくことによる快感だと思う。時系列もかなり複雑であるし、このドラマに出てくる登場人物達はかなり嘘をつく。誰も信用できず、誰に対しても疑いの目を向けざるを得ない展開が続く。

それでもみんなの幸せを願い、クリスマスディナーの成功を願い、報道番組の成功を願い、しかしその全てが叶うわけないかという諦めが芽生えた頃に全てがひっくり返っていく。

見応えのある群像劇ドラマだった。