工大生のメモ帳

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【漫画】SPY×FAMILY9 感想

【前:第八巻】【第一巻】【次:第十巻】

※ネタバレをしないように書いています。

それぞれ秘密を抱えてる

情報

作者:遠藤達哉

試し読み:SPY×FAMILY 9

ざっくりあらすじ

豪華客船での《いばら姫》としての殺し屋の業務もいよいよ佳境。殺し屋集団との戦闘の決着は⁈ そして船に仕掛けられた爆弾はどうなる?

感想などなど

豪華客船デッキ上部では、殺し屋集団とヨルとの戦闘が繰り広げられ、下では爆弾騒ぎが起きている。東西に散らばる戦争の火種の多さ、少しでもヨルやロイド達の作戦が失敗すれば、戦争が勃発することが良く分かる。

敵の目的は『グレッチャーファミリー生き残りの殺害』『船を爆破して邪魔者を一網打尽』。ついでに爆弾騒ぎを戦争の火種にしようという動きも見て取れた。

そんな一触即発、絶対に死ぬわけにはいかない状況で、家族で過ごした生活が、怪我をしてはロイド達に仕事のことを隠し通せないかもしれないという不安が、足枷となってヨルを苦しめた。

だがその足枷を自ら取っ払い、本気で殺しに来たヨルさんの恐ろしさが良く分かる内容となっている。最終的な負傷は胸の辺りと、顔が少し腫れたくらいである。一連の騒動で何人殺したか定かではないが、相当数と殺し合ってコレである。

強いことは知っていたが、ここまでとは。

そしてロイドは保安局員の不穏な動きや、読心術を駆使して、船に爆弾が仕掛けられていることを知った。保安局にスパイということがバレる訳にはいかないロイド。事態の収拾は保安局に任せよう……とはせず、自ら爆弾解体をしたり積極的に行動を開始する。

その手腕、とっさの機転はさすがは凄腕スパイ。保安局はスパイに助けられていることは想像だにしていないことだろう。

一方アーニャは走り回っていた。心を読みつつ爆弾を発見。それをさりげなく船員に伝えることの巧さは、幼少期から能力者とバレないように立ち回ってきた生き方によって培われた技術である。ついでにヨルさんの(殺しの)サポートも忘れない。

一週目読んだ時はあまり気にしていなかったが、アーニャは2キルアクセスである。完全に事故、かつギャグ風の描写であるが、なかなかに優秀な戦績かもしれない。

 

豪華客船編は第九巻の前半で終わり、後半は戻ってきてからの話となっている。長期休暇を終え、学園で豪華客船に乗ったことを自慢したいアーニャの失敗談(嘘よくない)。職業犬として訓練を受けるボンドとロイドの話。ロイドとの愛を育みたいベッキーに勝手にライバル視されたヨルさんの話(ヨルさんに拳で勝てると思うなよ)。ロイド大好きフィオナとフランクリンの話……などなど。

SPY×FAMILYは、いつまでも時間が進まずループし続けるサザエさん時空的作品ではなく、きちんと時間と一緒に物語は進んでいく……はずなのだが、第十巻という大台に乗ろうという巻数でありながら、物語的進展はほとんどない。

むしろ後退したような、進展したような。

ロイドの任務の確認をすると、アーニャがすべきことは『星を集めて特待生に選ばれること』もしくは『ダミアンと仲良くなること』である。逆にしてはいけないことは、『一定数集めると退学になる雷を集めないこと』である。

この第九巻の締めを飾る短編で、アーニャは雷を一個取得しつつ、代わりにダミアンの信頼(?)を獲得するという荒技を成し遂げた。その一連の行動を見たダミアンが、「こいつ馬鹿なのか?」と衝撃を受けているのを見る限り、信頼を集めたという表現は正しくないかもしれない。

「むしろ後退したような、進展したような」という漠然とした感想を抱かざるを得ないブログ主の気持ちがご理解いただけただろうか。

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