※ネタバレをしないように書いています。
ウマ娘達の物語
情報
原作:Cygames
漫画:S. 濃すぎ
試し読み:STARTING GATE! ―ウマ娘プリティーダービー― (1)
ざっくりあらすじ
全国から優秀なウマ娘が集められ、優れた設備で、優れた教育が受けられるトレーニングセンター学園、通称トレセン学園。そこに途中編入することとなったスペシャルウィークの胸中には、緊張と期待が渦巻いているのであった。
感想などなど
別の世界の馬の魂を受け継いだウマ娘がいる世界において、競馬のような形式でウマ娘同士のレースが行われる。ただし金を賭けるギャンブルとしてではなく、一番となったウマ娘にはウィニングライブのセンターを飾ることができるという一大エンターテインメントとして、大いに盛り上がっていた。
ブログ主には生憎とアイドル趣味はないのだが、自分が応援しているアイドルがセンターを飾ることに対する喜びは、ウマ娘のゲームで学んだ。そしてウマ娘で熱狂するウマ娘世界の住民達の気持ちは良く分かる。
アニメもゲームも、現在(21/8/12)も連載中のシンデレラグレイに関しても、ウマ娘というコンテンツは多角的に展開され、元は競走馬というジャンルでありながら世間的にかなり受け入れられているのではないだろうか?
本漫画「STARTING GATE!」は、アニメの面影を醸しつつ、スペシャルウィークやサイレンススズカ、ウォッカやダイワスカーレット、メジロマックイーンやゴールドシップ、トウカイテイオーやシンボリルドルフといった数多くのウマ娘に焦点を当て、それぞれの成長や関係性の変化を描いている。
スポ根的な要素もありつつ(ただしあまりレースには出ない)、トレセン学園を舞台にした学園物的な要素も強くなっており、他のコンテンツとはまた違ったウマ娘達の一面を見ることができる。ゲームのガチャでは出てきてくれないウマ娘も見ることができたり、それぞれの絡みがかなり濃密に描かれていることも特徴だろう。
第一巻ではスペシャルウィークがトレセン学園に転入してきて、同室で一緒に暮らすことになるサイレンススズカとの距離を詰めていく話となっている。北海道の田舎から都会へと出てきたことによる不安と緊張が入り乱れつつも、周囲とコミュニケーションを取ろうと明るく振る舞う彼女の頑張りが確認できる。
そんな彼女に対して、サイレンススズカの対応は冷たいものだった。
そもそも彼女は周囲から「何考えてるのか分かんないよね」と言われるほどコミュニケーションが希薄だったらしい。作中で描かれる彼女の胸中は複雑だ。「私は一人がいいのに……」「私は一人の方がいいんだけどな……」というように、何度も一人を望むような気持ちが描かれている。
それでもめげずに話しかけ続けるスペシャルウィーク。不安だった気持ちは、トウカイテイオーやサイレンススズカとの出会いを通じ、トレセン学園でのこれからの生活に対する期待へと変わっていく。
これからスペシャルウィークと関わっていくことで生活が騒がしくなることを察し、心が沈んでいくサイレンススズカ。いい人達との出会いによって不安が解消されていくスペシャルウィーク。両者のすれ違った感情と対比が、シナリオを面白くしている。
そんな中、個性豊かなウマ娘達との絡みはとても微笑ましい。
ブログ主的にはオグリキャップが良い味を出していると思う。地方で荒稼ぎして、トレセン学園に来たアイドルホースと、スペシャルウィークの絡みはアニメでもゲームでも描かれていなかった(と記憶している)。
そういった他コンテンツではないような絡みが、この漫画ではかなり多い。
とくに駿川たづなさん……あなたそういうキャラなんですね……。新たな発見の多い漫画であった。