※ネタバレをしないように書いています。
ウマ娘達の物語
情報
原作:Cygames
漫画:S. 濃すぎ
試し読み:STARTING GATE! ―ウマ娘プリティーダービー― (4)
ざっくりあらすじ
サイレンススズカとエアグルーヴの対決に、突如として乱入してきたスペシャルウィーク。そんな三つ巴の対決の行方と、サイレンススズカの心境とは? 波乱のスズカ騒ぎの終幕後はウオッカとスカーレットの二人は、チーム選抜戦へと挑む。
感想などなど
スズカとエアグルーヴの対決に、突如として入ってきたスペシャルウィークの姿に驚かされたものもいただろう。そんな様子をニヤニヤとした表情で見届けていたヒシアマゾン(と彼女を睨むフジキセキ)。驚きの声を上げるスカーレットたち。解説席に座っているオグリキャップ(と解説ができるか心配するトウカイテイオー)。実況席にはエルコンドルパサーが座っている。
ウマ娘が目白押し、怒涛の展開を見せた三巻の最終話が個人的にはかなり好きだったりする。この作品における主人公はスペシャルウィークかもしれないが、それぞれ主人公をできるだけの個性とドラマを兼ね備えているということを、改めて実感させられる。
そんなスぺ、スズカ、エアグルーヴの決着。皆さんも気になっていることだろう。それを書くことはネタバレとして書かないというのも一つの手だが、ここではガツンと勝者から名前を書いてしまおう。
大逃げを見せつけ、エアグルーヴと三バ身引き離しての一着をもぎ取ったサイレンススズカであった。どんなに加速しても追いつけない背中、最後に更なる加速を見せつけた全力のサイレンススズカの強さは本物であった。
ここで大事なのは、なぜ彼女がこんな騒動を引き起こしたのか? なぜ寮を移るなど言い出したのか? という点である。その真相は、背中を追いかけてきてくれたスペシャルウィークに向けて、スズカが直接語ってくれる。
彼女は一つ前のレースで怪我をしてしまった。それ以来、本気で走ることで再び怪我をしてしまうのではないか、という恐怖が付きまとってしまったのだという。それを払拭し、スペシャルウィークと一緒の寮にこれからも住み続けることができるようになるため、彼女は今回の勝負を仕掛けたのだと語った。
二人の笑顔と抱き合ったシーンは素晴らしいと思う。
まぁ、エアグルーヴに勝ってしまったので、彼女は美浦寮へ移るんですけどね。
実際のところ、ヒシアマゾンによる不正(スペシャルウィークの出走)が発覚したため、スペシャルウィークはそのまま栗東寮に残ることとなった。こうして全てが丸く収まってひとまずの終幕を迎えた。
さて、そんな中、ウオッカとスカーレットの二人は、チーム選抜戦なるものを間近に控えていた。レースでのタイムはもちろんのこと、フォームや加速・原則のタイミングなどが審査され、選抜メンバーが決定。レースに出走することができるようになっている。
トウカイテイオーも「一回で合格できるなんて思わないことだね~」と言っているし、それほど狭き門なのだろう。それに備えて、スカーレットは毎日夜までみっちり走り込みをしてきた。
ウオッカと互いに言い合いながらも、一番になりたい一心で練習に打ち込んできた。その成果を見せる場。ここで良いところを見せると意気込んだダイワスカーレット。彼女の結果は、第一次選考落選であった。
ウオッカが通過しているというのが、これまた残酷と言わざるを得ない。
彼女の悔しさ、不甲斐なさはかなりのものであろう。それでも元気に振舞い、「何も気にしていない」と次の選考に向けて頑張ることを誓った彼女は、本当に強いと思う。それでも、夜眠るときには枕を涙で濡らしている。
そんな彼女を見て、ウオッカは一つ覚悟を決めた。
第二次試験の辞退である。
そんな彼女の行動を、皆さんはどのように考えるだろう。自分をスカーレットの立場に置いて、またウオッカの立場において、どのように感じるかを想像してみた。
自分がスカーレットだったら、きっと怒ると思う。第一次試験というのは簡単に通過できるものではない。そのチャンスを捨てる意味が理解できない。彼女には才能がある、きっと第二次試験も合格してくれるだろうという期待を裏切られたと感じるだろう。
自分がウオッカだったら――正直に言って、最初は彼女の心境が全く理解できなかった。悔し涙を隠れて流すスカーレットを見て、自分よりも遥かに努力した彼女が悔しがる姿を見て……だからといって二次試験を辞退するだろうか?
だが読み進めていくと、二人だからこそ成立する話だと理解できた。「スカーレットと戦いたかったんだ」と語るウオッカ。「可哀そうだから見下されるのが大嫌いなの」と語るスカーレット。
フジキセキが「青春だな」とニヤニヤする気持ちが良く分かる。喧嘩するほど仲が良いという言葉がよく似合う。
ちなみにどうでも良い話なのだが、アグネスデジタル、ゴールドシップの登場もこの巻である。ゴルシのぶっ飛んだキャラクターはこの漫画でも健在で、アグネスデジタルのウマ娘好きも同じく健在だ。
とりあえずウマ娘をたくさん出しておけば、満足してしまう身体になってしまったかもしれない……とウマ娘のアプリをプレイしながら思う今日この頃。もっと漫画の方も充実させて欲しい。