工大生のメモ帳

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【映画】ジョーズ 感想

※ネタバレをしないように書いています。

サメ映画の金字塔

情報

監督:スティーヴン・スピルバーグ

脚本:ピーター・ベンチリー、カール・ゴットリーブ

主演:ロイ・シャイダー、ロバート・ショウ

ざっくりあらすじ

穏やかな町・アミティ島は滅多に事件も起きない。そんな平和な毎日の中、浜辺に死体が打ち上がった。検死によりサメに襲われたことが分かり、警察署長のマーティンはビーチを閉鎖するように要請するが、町長らに観光客が来なくなることは困るとして反対。サメがいるビーチは例年通りに海開きされるが……。

感想などなど

サメ映画と聞いて、おそらく真っ先に名前が挙がるのが『ジョーズ』だろう。

見たことはないにせよ、名前だけは知っていたり、サメが現れた時の不安を煽る音楽は聞きなじみがあるという方も少なくないはずだ。自分はそれなりにサメ映画を見てきたが、その中でもダントツでオススメしやすい一本になっている。

1975年公開という古典に数えられる一本でありながら、個人的にはそれほど古臭さは感じなかった。どうしてなのだろうと考えて見た。古典映画に古臭さを感じる要因は、シーンや展開があまりに模倣されたことによる「見たことある」感だと思うのだが、本作はサメ映画でありながら、社会派としての人間ドラマ的な要素も強いからなのではと思う。

実際、本作『ジョーズ』においてサメが姿を現すシーンはそんなに多くない。平和な島の町にて猛威を振るうサメは超巨大サメなのだが、その全容が明かされるのはそれなりに映画が進んだ後半である。

そのシーンに至るまでの間は、超巨大なサメがいるはずだという状況証拠のみが、サメの存在を視聴者に伝えてくる。しかし、それを無視して海開きを決行しようとする無能な町長達の存在が、サメ以上にピックアップされて描かれている。

サメに人が襲われたという物的証拠を見せても、それらを一切認めない。冒頭でサメに襲われた死体が出てくるのだが、それはスクリューによる事故として処理。その後、徹底して超巨大サメがいることを認めない無能采配の連続によって、例年通り行われる海開きの惨状は、おそらく皆さんの想像通りの地獄絵図である。

 

前半部は海開きに至るまでの人災、後半部はいざ超巨大サメの討伐という戦いが描かれる。そのためサメが登場するからサメ映画なのだろうが、サメと人間という戦いの構図よりも、超巨大サメという自然災害によるゴタゴタをリアル調に描いた映画だと個人的には思った。

後半になってようやくサメの大きさ情報が初めて明かされる。そこまでは「めっちゃ大きいサメがいるはず」というぼんやりとした中で、想定よりも大きなサメが船の下をゆっくりと回遊するシーンは、衝撃と恐怖と緊張が同時に押し寄せる名シーンである。

このサメ討伐に挑む三人のメンバーが、サメに対して向ける感情はそれぞれ複雑だ。サメがいるということを訴え続けるも拒まれ続けた者、サメに対して異常な執着心を持つ者、研究対象としての興味がある者……その熱量の差から生まれるアクシデントや展開も、人間ドラマとして面白い。

サメから見た人間は、おそらくただの餌なのだろう。人の味を覚えたサメにとって、彼らは格好の標的である。互いに狩る者/狩られる者の立場で牽制し合い、隙をうかがう。海という圧倒的にサメに有利な状況、サメの圧倒的な巨体から繰り出される攻撃は、船すらも破壊していく。

前半と後半で印象が大きく変わる映画で、しかし、そのどこを切り取っても面白い映画であった。