まず最初に
元「小説家になろう」にて連載されていた本作。ライトノベルとして出版され、2クールアニメとして2014年春に放映されるに至る。内容としては魔法が体系化され、科学として発展を遂げた世界を描いたSFとなっている。一度読んだことがある人ならば分かって貰えると思うが、作品を形作る設定が膨大であり、その説明にページ数の大半を割いている。
つまり、アニメで語りきれない情報があまりに多いのだ。この記事ではその辺りを網羅できれば、と思う。また個人的ヤバい制服アニメの上位に君臨している。その点も見所? かもしれない。
用語・人物解説
司波 達也
- 本シリーズの主人公。原作は彼の一人称視点で進行されており、ときには辛辣なことを考えていることもある。
- 国立魔法大学付属第一高校の第二科(後述)に入学した。優秀な妹は第一科に入学し、新入生代表としての挨拶までつとめている。タイトルの劣等生というのは、高校における第二科生のことを指している。
- 彼にはかなりの数の二つ名が存在する。アニメで二つ名が登場するたびに補足説明など行っていきたい。
司波 深雪
- 国立魔法大学付属第一高校に首席入学する達也の妹。
- ルックスも成績もダントツということもあり、多くの取り巻きが勝手にできることとなる。しかし彼女が兄様大好きであるため、取り巻きは達也を敵視するようになった。
- わざわざ説明するようなことではない気もするが、彼女はとんでもないレベルのブラコンである。今後も兄が正当な評価を得られるように、一緒に過ごす時間が増えるように行動していく。
七草 真由美
- 国立魔法大学付属第一高校の生徒会長。美人で能力もトップクラスということもあり学内でも人気が高い。
- 名前は ”ななくさ” と書いて、 ”さえぐさ” と読む。達也は彼女のことを、ナンバーズ(数字付き)と読んでいるが、その説明は後述。
- 第一科と第二科の間にある差別の改善のために、いろいろと動いてくれる。
柴田 美月
- 達也と同じ第二科の新入生。少し天然が混じった性格である。
- 意図せずに霊子放射光を見てしまう霊子放射光過敏症(後述)であるため、珍しいメガネをかけている。そのことを知った達也は、自分の秘密がバレてしまうのではと警戒することになるが、そのことに関しては第二話以降で説明していく。
- 科学技術の発達により視力矯正治療が普及し、近視という病気は過去のものとなっていた。そのためメガネをかける本来の意図が薄れつつある。
千葉 エリカ
- 達也と同じ第二科の新入生。周囲の目を引く美少女。
- 千葉家は剣技と魔法の複合技術である「剣術」の大家。そのため剣の腕前を生かした戦いを特異とする。
- 千葉というナンバーズ(数字付き)があるため、達也は最初少しばかり彼女に対して警戒を示す。
西城 レオンハルト
- 達也と同じ第二科の新入生。父親がハーフで、母親がクォーターであるため洋風な名前となっている。
- 得意魔法は収束系の硬化魔法。なんか色々な説明されるが、相対位置を固定する魔法だと理解すれば問題ない。
- 今後もエリカとは口喧嘩を重ねる仲となる。だが喧嘩するほど仲が良い。
九重 八雲
- 古の魔術である忍術を、昔ながらのノウハウで伝承していく忍術使いの一人。
- 身体的な技術が優れているのは勿論のこと、現代では解き明かし尽くすことのできない魔法の技術というものが存在するらしい。
- 忍者の物語でよく登場する「変化」などは、幻影と高速移動とされる魔法の組み合わせにより行われていたと解明されているらしい。
森崎 駿
- クイックドロウで有名な森崎一門に名を連ねる学生。最初にCADの利用を取り出して攻撃しようとした人物。
- 模範実技の映像で実演していた人物であるため、達也は彼の名前などを把握していた。
- 「司波さんは僕達といるべきなんだ」と語る。しつこい男は嫌われるぞ。
国立魔法大学付属第一高校
- 国立魔法大学の付属教育機関として設立され、魔法技能師育成の為の国策機関。
- 国から予算が与えられている代わりに、『魔法科大学、魔法技能専門高等訓練機関に、毎年百名以上の卒業生を供給すること』が義務づけられている。しかし毎年一定数の学生が事故などにより魔法が使えなくなり退学していく。その穴埋め要員として二科生が在籍している。
- 魔法科高校の生徒として評価されるためには、ペーパーテストの点数ではなく、実技が重視されている。司波達也は、ペーパーテストにおける七教科の平均点が九十六点であるにも関わらず劣等生という評価が与えられているのは、そのことも要因の一つである。
一科生(=ブルーム)
- 緑色のブレザーの肩の部分に八枚花弁のエンブレムを持つ生徒のことを指す。上に示した画像など分かりやすい。達也の肩にはなにも描かれていないのに対し、深雪の肩には花のようなエンブレムが描かれている。実技、筆記共に優秀な成績を治め、将来を有望視された学生がこれに当たる。
- 二科生に対して、並々ならぬ差別意識を持ち、一緒に過ごすことを嫌がる傾向にある。
- 生徒会も一科生のみで構成されており、二科生は入ることを許さない空気が充満していた。詳しくは二話以降で語らせていただく。
二科生(=ウィード)
- 肩にエンブレムを持たない劣等生の集まり。入学して早々、落ちこぼれ、スペア、予備といった扱いを受ける。
- 元々の学校としての制度が、一科生の予備としての扱いである。さらに魔法科高校において最も重要であるとされている魔法の個別実技を、二科生が受ける権利はない。
- 達也は筆記試験の成績だけを見れば断トツの成績であるものの、実技の点数が芳しくなかったために二科生として入学することになった。
CAD(=Casting Asistant Device : 術式補助演算機)
- 魔法を発動するための起動式を、呪文や呪符、印契、魔方陣、魔法書などの伝統的な手法・道具に変わり提供するツール。日本ではホウキとも呼ばれている。
- これにより呪符や魔方陣を用いたところで十秒前後かかる詠唱を、CADを用いることで一秒以下の簡易な操作で代替することが可能となった。あくまで魔法の利用を補佐するという役割であり、魔法を発動するのは魔法師自身の能力である。そのため魔法を使うことができない者にとっては無用の長物でしかない。
- 想子信号を電気信号に、電気信号を想子信号に変換することができる物質が組み込まれている。魔法師は発動したい魔法の想子を送り込むことで、指定の電気信号から起動式と呼ばれるものを出力する。
起動式
- 魔法の設計書。長い呪文や、複雑なシンボル、忙しく組み替えられた印と同等の情報量を持つ。
- CADでは、この起動式を肉体に送り込み、肉体ではその起動式を無意識下に存在するとされる精神機構、無意識演算領域へと流し込むことで、魔法の実行へと移行していく。
- 上記で述べた無意識下に存在する無意識演算領域があることで(あることを認識できる?)、魔法師は魔法を扱うことが可能だとされている。
魔工技師
- 魔法工学技士の略称。
-
魔法を補助・増幅・強化する機器を製造・開発・調整する技術者。CADの調整なども担う。
- 世間一般での知名度や評価は低めだが、魔法師達からの評価や需要が高い。
ナンバーズ(数字付き)
- 魔法師の能力は遺伝的素質によって大きく左右されるため、家系というものが大きく関係していくる。そのため、魔法を扱う上で特に優れた血を持つ一族は、慣例的に数字を含む名字を持つことになっている。
- 七草家は十師族という日本で最強の魔法師集団を構成する二十八家の一つ。その中でも七草家は、最有力の一角を担っている。
- 諸事情により数字を剥奪された家も存在し、それらは数字落ちの隠語で囁かれる。
霊子放射光過敏症
- 「みえすぎ病」とも呼ばれ、意図せずに霊子放射光が見えてしまう体質のこと。
- 魔法などの超心理現象において、霊子と想子の二つが観測されることが分かっている。魔法師はまず、想子を操る技能から習得する。霊子はその活動によって非物理的な光を発生させ、人の情動に影響を及ぼしてしまうことがある。その影響の受け方が強い人物は、特殊なレンズで作られたメガネをかけるなどの対策が必要となってくる。
- 想子を操ることができる力の強さと、霊子により受ける影響の強さは正比例であるため、霊子放射光過敏症により悩む者は多い。しかし常時メガネをかける必要があるほどの症状を持つ者は珍しい。
注目すべきポイント
入学式
第一話は司波達也の入学式からスタートしていく。原作も同様に、入学編という副題で開始されていく。達也の入学する高校に関しては、用語・人物解説を参照して欲しい。
この第一話で理解して欲しい情報は大まかに以下の二つ。
- 一科生と二科生の格差
肩の部分にエンブレムをつけた一科生と、ついていない二科生の間にある差別意識が、『一科生から二科生に対する予備呼ばわり』『入学式では席が決まっていないにも関わらず、自然と一科生が前に、二科生が後ろに座っている』『一科生の人気者である深雪と二科生が仲良くしていることを良く思わない一科生』などによって表現されている。
- 魔法が日常に溶け込んでいる
魔法が日常に溶け込んでいる、という表現は正確ではない。魔法が科学の一部として扱われている、という方が正しい。本作の設定として『従来、魔法として考えられていたものが科学的に証明された』というようになっている。この魔法には忍術やお守りといった古来よりあるとされていたものから、占いといったオカルトに至るまで幅広い。
何かを悟られまいとする警戒心
アニメでは達也の心の声が少ないために分かりにくいが、美月が霊子放射光過敏症であるということを見抜き、自分を見られるということに異様なまでに警戒を示した。というより、はっきりと「隠している秘密がある」とまで書かれている。また千葉エリカの千葉という名字を聞いた際にも、「もしやナンバーズか?」と警戒するように意識を向けている。しかし「エリカという娘はいなかったはず」とまで考えていることから、その辺りの情報の調査にまで余念がないことまで分かる。
達也は一体、何を警戒しているのだろうか。
達也と深雪の関係性
あまりにも仲が良すぎる兄妹、深雪と達也。
『怒ることができない俺の代わりに怒ってくれる』といった達也の台詞や、達也ではなく深雪にだけ入学祝いを贈ってくれる周囲との関係性、深雪が『あの人』といった人物の正体など、深雪と達也の関係性というものは、ただの兄妹であるとは語れないように思われる。
ただの兄大好き妹と、そんな妹を見守る兄……原作でははっきりと似ていない兄妹と断言されており、何か簡単には語れないものがあるような気がしてならない。
家での兄妹の様子
妹の服装は室内だと異様に露出が増えるらしい。冷静沈着に見える達也が「目のやり場に困ることもしばしば」と語る辺り、その露出の高さがうかがい知れる。
また、ホーム・オートメーション・ロボットが普及している先進国では、キッチンに立つような女性は少数派となっているらしい。パンを焼く、コーヒーを淹れる程度であれば自らの手で行う必要は全くないものとなっているのだ。つまり、コーヒーを淹れるためにキッチンに立つ深雪は、その少数派に属することになる。
ちなみに友人が来た時などは全てロボットに任せており、このようにキッチンに立つのは達也と二人きりの際だけである。達也が以前、その理由を尋ねた際には「そうしたいからです」と語ったらしい。可愛い。
忍術の訓練
二科生の劣等生ではあるが、彼は休日に忍術の特訓を受けるほどの鍛錬を積んでいるようだ。アニメでは「この坊主のおっさんは誰やねん」「なんか特訓してるけど、何してんねん」という状態だったと思う。これはただの体術の訓練という訳ではなく、体術の訓練も通して忍術という古来の魔法を学んでいる、というように理解しておけばよい。
忍術や深雪が使っていたCADに関しては、用語・人物解説を要参照。魔法に関する設定に関しては、この第一話の記事だけで全てを書き切ることは不可能であるため、それぞれの話で細々とした点を深掘りしていきながら語っていく形式を取りたい。
達也の進路
達也は魔工技師を目指しているらしい。魔工技師に関する説明は、用語・人物解説を参照。現実世界での立ち位置はエンジニアが近いだろうか? ということで実技が苦手な人間が目指す業界としては、特段珍しいものではない。
しかし、達也がキーボードオンリーで操作を行っているのは珍しい(いわゆるブラインドタッチというもの)。一般人達は視線ポインタや脳波アシストを用いてるようだ。しかし彼曰く、「正確性に欠ける」。
誰や、こいつ
誰か知らない女性が、突然教室にやって来る。このシーン突っ込み所が多い。
まず設定として、授業は全てオンライン上で行われる。つまり教室で授業を受けるということになっているが、教師が教室までやって来るという訳ではない。ということで彼女がやって来た理由が分からない。
ちなみに彼女は達也のクラスを担当するカウンセラーであるらしい。教室までやって来た理由に関しては、一応「直接来て相談しに来ても良いよ」ということを伝える意図がある? らしい。よく分からないが、まぁ、そういうことにしておこう。
達也に意味深な目線を向けたような気もするが、それも置いておく。原作では、ナンパの可能性を少しでも考慮した達也が、個人的には好きだったりする。
喧嘩だ喧嘩
互いに互いが気にくわないという理由で喧嘩になった面々。CADの利用は生徒会の限られた人達しか使えないということになっている。さらに「ウィード」という単語は差別用語として、校則で利用が禁止されている。当然だが魔法で人を傷つける行為は犯罪だ。
原作では達也の心の声により、誰が何をしているのかを説明してくれている。アニメではそれの描きようがないが、このブログでそれを補えるようにしたい……がそれだとアニメの内容をなぞるだけになってしまう。
ということでここでは達也の台詞を説明するような形を取りたい。
- 悪ふざけが過ぎました
人に攻撃魔法を向けるというのは、現実世界における銃口を向けたと同義。一歩間違えれば殺人をしていたに過ぎない。それを悪ふざけとして処理しようとしているのだ。深雪が「お兄様は説得するのは苦手」だと語るだけはある。おそらくこの場に深雪がいなければ、生徒会の面々の説得は無理だっただろう。
- 目くらましの閃光魔法
女生徒が慌てて使おうとした魔法が、発動されるより前に目くらましの閃光魔法だと、達也は分かったらしい。さらりと書いているが、とんでもないことである。CADの用語・人物解説でも書いた通り、起動式を体内に送り込むことで魔法が発動する。
つまり魔法を確認するとなると、体内に送り込まれていく起動式を見るしかない。しかもその起動式というものは膨大なデータである。原作ではそれを「画像データを記述する文字の羅列から、その画像を頭の中で再現するよう なもの」と表現している。その凄さが理解できるのではないだろうか。
- 実技は苦手ですが、分析は得意です
ある意味、達也の特長を分かりやすく説明した一言である。
実技試験で評価されるのは、「魔法を発動する速度」「魔法式の規模」「対象物の情報を書き換える強度」の三つ。その点数がどれも低いのが、司波達也だ。そんな彼の活躍を今後とも見ていこう。
最後に
本作の解説記事はゆっくりと時間を掛けて投稿するつもりだ。最終話まで投稿できるのはいつになるのか……間違いなどあれば指摘いただければ、調査してすぐに修正します。
アニメを見るなら
ブログ主が書いた一巻の感想はこちら