※ネタバレをしないように書いています。
巨大ウサギの正体とは
情報
監督:ニック・パーク、スティーヴ・ボックス
脚本:ニック・パーク、スティーヴ・ボックス、ボブ・ベイカー、マーク・バートン
声優:ピーター・サリス
吹き替え:萩本欽一
ざっくりあらすじ
畑を荒らし回るウサギに苦しめられていた街を救うため、発明家ウォレスと愛犬グルミットは害獣駆除隊『アンチ・ペスト』を設立し奮闘していた。しかし彼らの活躍を嘲笑うかのように、巨大なウサギが畑を荒らし始めて――。
感想などなど
ウォレスとグルミットというクレイアニメをご存じだろうか。
そもそもクレイアニメとは、粘土を使って作られたキャラクターをコマ送りで作成することで作られた映像作品であり、本作は多数の短い作品を世に出していたシリーズ『ウォレスとグルミット』の初めての劇場版作品である。
世代がバレるので多くを語りたくないが、ブログ主は子供の頃に映画館に観に行っていた。当時はまだ小さかったため、本映画に対する印象は「ちょっと怖い」というものだった。
あらすじにも書いた通り、本映画には巨大ウサギが敵として現れる。その出現シーンなどは、今になって見てみると分かるが、とてもホラー的な演出が施されている。街の壁に映し出される巨大な影、それに気付かないグルミット。何か気配を感じて振り返ってみるが、そこには何もいない……巨大なウサギという文字面だけは可愛らしいが、その行動原理は破滅的な食欲のみで理性がないという点も、子供ながらに恐怖心を煽られていて、そういった怖いという印象が強く残っていた。
しかし、ウォレスとグルミットという二人の友情や優しさ、ホラーチックな演出とコミカルな演出のメリハリの強さなど、大人が見ても楽しめるアニメ作品だったと今になれば分かる。
畑を我が物顔で駆け回るウサギ達は、愛くるしくもありウザさもあり、それらを "駆除する" という話でありながら、巨大ウサギを退治するには銀の弾丸を撃ち込むしかないといったように、ちょっとでもバランスを崩せば血なまぐさい展開に転んでいてもおかしくない。巨大ウサギの正体が判明後、どうすれば退治できるかの話になっても尚、作品全体のコミカルさは抜けず、ずっとエンタメとして描かれ続けた。
これは意外に凄いことなのではないだろうか?
そもそも『ウォレスとグルミット』を知らないという方にこそ、この映画はオススメしたい。
ウォレスの発明家としての姿勢や優秀さは、本シリーズではお馴染みの朝の気象シーンを見て貰えば分かる。ウォレスはベットで寝たまま、壁のボタンをポチポチしていると、愛犬グルミットがレバーを押してくれる。するとベットから長い長い滑り台を滑らされ、その間に着替えを初めとした朝の準備が完了。テーブルに座らされると、コーヒーやジャム付きパンが自動で用意されている。
この辺りのワクワクするOPは、いつも通りではあるものの見ていて楽しい。
クレイアニメという理由で避けているならば、それはとても勿体ない。アニメの作画とはまた違った奥行きやアクション、演出の数々は、クレイアニメであることを忘れてしまうくらい世界が良く出来ている。
ストーリーも『ウォレスとグルミット』の友情物語として良く出来ている。飼い主と愛犬という枠組を越えた関係性は、家族という言葉で表現しきれない。正しく『ウォレスとグルミット』の二人だからこそ成立する物語となっている。
とても良い映画だった。オススメである。