工大生のメモ帳

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ギターをかき鳴らせ

今週のお題「夏うた」

ジメッとした熱気と、肌を刺すような直射日光に殺される夏が来た。そんな夏を舞台にした作品なんて、この世に腐るほどある。つい先日、金曜ロードショーで放映された 『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』も夏を舞台にしたと言って良いだろう。

ラノベだって例外じゃない。

学園物であれば夏休みの思い出を鮮やかに描くことが多いだろうか。大人になってから夏休みのことを思い返しながら、もしくは心残りを追い求めるストーリーと聞けば、一つや二つくらい思いつく作品名があるはずだ。

例えば『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』。本題ではないので多くを語らないが、最終話、最後の辺りは画面が歪んで見えた。

さて、しかし今週のお題はただの夏ではない。「夏うた」である。残念ながらラノベと音楽を組み合わせた作品となると、あまり多くない。無論ないわけではないので、夏でありかつ音楽という要素を含んだ作品を紹介したい。

「さよならピアノソナタ」だ。

 天才ピアニスト真冬と、音楽評論家の父を持つ直巳。不器用な二人が音楽を通して心を通わせていくラブコメ作品となっている。作者のバンドだった経験や、多岐に渡る音楽の知識に至るまで読み応えは抜群。これから紹介する曲以外にも数多くの名曲達が登場し、それぞれにある歴史や想いというものが一緒に紹介されていく。第四巻で完結しているということもあり、手が出しやすいというのもポイントが高い。

第一巻では季節は春だが、第二巻の舞台は夏となる。直巳と真冬の所属するバンドでライブをすることとなり、それに向けて合宿などで海に赴き、バンドの練習としてかき鳴らされるギター、リズムを刻むドラム。海を前にして生み出される曲など、夏とバンドという風景が描かれていく。また、ヒロイン達の水着姿を拝めるのも嬉しい。

本シリーズで大きな意味を持つ曲として、The BeatlesのBlackbirdという曲がある。

夏の唄という表現は適切ではないが、夏のライブを前にした重要なシーンで直巳と真冬を繋げる音楽として、とても印象に残る一曲となっている。

 

 

今週のお題「夏うた」に対して、多くの人がブログを書き、多くの曲を記事で紹介していることだろう。

その全てが、その曲の歴史として、誰かの記憶に刻まれることになるはずだ。このブログもあなたの記憶の一片に残って欲しいと願う今日この頃も、夏の暑さにも某感染症にも負けず、ギターをかき鳴らして、どこかで名曲が生まれているのだろう。

その曲と出会うことになるのは、いつのことになるのやら。まぁ、楽しみにしておこう。