工大生のメモ帳

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王手桂香取り! 感想

【前:な し】【第一巻】【次:第二巻】

※ネタバレをしないように書いています。

三度の飯より将棋が好き

情報

作者:青葉優一

イラスト:ヤス

ざっくりあらすじ

中学一年の上条歩は、同じ将棋クラブの主将大橋桂香先輩をひそかに憧れていた。

そんな歩の元に突如美少女達が現れる。

「私たちは将棋の駒だ」

彼女たちは自らを将棋の化身だと名乗り、人知を越えた将棋の強さを持っているのだという。そんな彼女たちの指導のもと、歩は棋力を上げていく。

折しも団体戦を控えており、歩は桂香先輩と共にライバルを倒すべく奮闘する。

感想などなど

「りゅうおうのおしごと!」という将棋ラノベを最近読んでいた。今回読んだこの「王手桂香取り!」は扱っているゲームは同じであれ、大分毛色の違うものであった。

まず、主人公である歩は天才ではない(いや、今後は分からないし、成長速度的には天才のそれかもしれない)。闘う舞台もプロの世界ではなく、中学生の一般的な将棋サークルであってかなり現実的なものだ。最初あらすじも見ないまま読み進めていたときは、もしかして王道スポ根のようなものなのかなと思ったくらいだ。

そんな中の非現実的展開。

駒の擬人化である。今回は桂馬と香車と歩の三枚が美女(以下駒娘)となって登場する。

彼女たちは将棋の神様に近しい存在であり、プロよりも遙かに強い(プロに飛車落ちで難なく勝てるレベル)。

さて、ここから『超美人に囲まれて将棋を教えて貰うというラノベ的展開』が始まっていく。ハーレムかと言われると恋愛感情はないので違うかも知れないが。

そんな物語の中では、登場人物達の恋愛模様と将棋で戦う上での戦略に重きが置かれている。

歩は大橋桂香先輩のことを憧れだとか可愛いだとか口では言っているが、誰がどう見ても先輩のことが好きである。そんな歩のことを駒娘達は「積極的になれ」だの「強さを見せつけてやれ」だの色々教育してくる。

その結果歩とる行動は作品を読んで確認して欲しい。冒頭からどこか影の薄かった男子中学生が踏み出す一歩は、小さく見えて実際は大きいものである。

そして、将棋の戦略。歩は決して天才ではない。そんな彼が大切な誰かのために本気で勝ちたいと願った。しかし、的は自分よりも各上である。特訓の時間もさほどない。

では、どうすればよいか?

駒娘達とも協力して思案する(ここらへんでかなり将棋の専門用語が登場する。それなり分かりやすく書かれてはいたが混乱するかも知れない)。

だが、いくら人知を超越した存在である駒娘達が協力してくれたといえど、頭を使い試合に臨むのは結局主人公だ。その目まぐるしく展開される試合は最高の盛り上がりを見せる。

 

将棋の専門用語がかなり出てきて、試合描写はかなり細かく書かれている。三枚分しか登場していない駒娘達が今後どうなっていくのか。先輩との関係性はどうなっていくのか。先が気になる作品でした。

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