工大生のメモ帳

読書感想その他もろもろ

ゲーム音痴でも無犠牲でクリアしたいピクミン2

今週のお題「やり込んだゲーム」

 

お世辞にも、ゲームが得意な子供ではなかった。

人生で初めてプレイしたゲームはゲームキューブの「マリオパーティ7」であることは鮮明に覚えている。その中にCOMと1 VS 1で戦うモードがあり、それをクリアすることでステージを解放していくのだが、最後のステージで全く勝てず、友人に隣にいてもらってクリアしたような気がする(どうにも記憶が曖昧だ。もしかしたらクリアしていないかもしれない)。

そんな自分が、多数の犠牲者を生みながらも、クリアの果てに感動のEDを見たゲームがある。

Wii「ピクミン2」だ。

当時は中学生だった。マリオパーティですら苦戦するゲーム音痴にとって、ピクミン2は苦労の多いゲームであった。

ピクミンというゲームを知らない方に、概要をざっくりと説明すると、『宇宙飛行士キャプテン・オリマーが、とある惑星(地球と思われる)で、不思議な生物ピクミンの力を借りて宝を集める』というものだ。

このピクミンは、そこに住む原生生物や、ペレットと呼ばれる錠剤のようなものを、オニオンという物体に与えることで数を増やしていく。最大まで100匹まで数を増やすことができ、それらを引き連れて、敵を倒したり、道を塞ぐ壁を破壊することで宝を集めていく。

このピクミン。とても頼りになるのだが、簡単に死ぬのだ。

水に入れば溺れて「アワアワアワアワアワ」みたいなことを言いながら死んでいく。炎に当たれば、燃えながら慌てふためいて死んでいく。電気に当たると悲鳴一つあげずに消滅していく。原生生物に喰われて飲み込まれると死ぬ。

百匹連れていたピクミンが、気付けば数匹になっていることも珍しくない。

そんな弱いピクミンではあるが、「青ピクミンは溺れない」「赤ピクミンは火に強い」「黄ピクミンは電気に強い」というように、それぞれに特性があり、それを理解して使いこなすことが重要なのだ。

さて、ゲーム音痴であり説明書もろくに読まなかったブログ主は、それぞれのピクミンに得意不得意があることを理解せぬままゲームを開始した。チュートリアルの文章などは見ずに飛ばすことは当たり前、「ピクミンがついてくる時、歌ってるの可愛い」などと言っている時、事件は起こるのだ。

赤ピクミンを引き連れて、水場に突っ込んでいくオリマー。当然、溺れている赤ピクミン達。そのことに何が起こっているのか理解できぬまま、死んで数を減らしていく。「あれ? 何で死んだの?」と首を傾げる馬鹿は自分だ。

巨大な原生生物がいれば、様子見として一匹投げてみる。ペシペシとその一匹に叩かれて起きた敵は、その一匹を喰らう。そしてこっちに向かってきて、慌てて逃げようとするも喰われていくピクミンを、ただ見ていることしかできないオリマー。そのオリマーを動かしていたのは、紛れもなく自分である。

そこで心に浮かんできた感情は、悔しさと申し訳なさであった。

自分を信じて後ろをついてくるピクミン達。投げられた先で押しつけられる無理難題で命を落とし、炎で燃えても助けてもらえず命を落としていく。彼らが死んでいくたびに、「ごめん」と謝ることしかできない自分を許して欲しい。

涙は出なかったが、プレイしている時の自分は泣きたい気分だったと思う。大量のピクミンが潰れていく様は、ゲーム実況としては見せ場かもしれないが、幼きプレイヤーにとっては辛すぎる惨状である。

そういった経験を積み重ね、やっとのことピクミンの特性や戦い方を学んでいく。そんな慣れた時にやって来るのが、トラウマになりかねない洞窟のダンジョンの出現であった。

洞窟とは、それぞれの地上マップの各地に配置されている地下世界のことだ。高価なお宝や、白ピクミンや紫ピクミンといった特別なピクミンを入手することができる代わりに、危険な仕掛けや、最深部にはボスが待ち構えている。

プレイしたことがある人ならば分かってくるはずだ。後半になるに連れて、理不尽でトラウマになる敵が出てくるのだ。

例えば。

ケメクジ。こいつの出てくる地下洞窟「シャワールーム」が難しすぎて、最深部に辿り付いた時には十数匹しか残っていなかった。そこでナメクジみたいな気持ち悪い姿のケメクジに遭遇したことは、今でも鮮明に覚えている。しかもブログ主は、初見で倒し方が分からず、残り少なくなったピクミン達をつれて脱出した。

タマグモキャノン。地下洞窟「地下の秘密基地」におり、ピクミンに向かって銃弾を飛ばして攻撃してくる。初見時、あっという間にピクミン達を消し炭にされた。「へ?」と驚く暇もなかった。

アメボウズ。この名前は、聞いたことがある人も多いのではないだろうか。地下洞窟「水中の城」に出現する。こいつの厄介な点は、最深部以外の普通の階層でも、時間経過と共に現れやがるのだ。このことを知らず、初見で遭遇したブログ主は、大量のピクミンをこいつに潰された。

地下洞窟でなくとも降ってくるタマグモ系原生生物に、世の理不尽さを学んだ。物を運ばせていたピクミンが、その道中で原生生物に食べられていく様を見て、下準備の大切さを学んだ。

そんな数々の学びを経て、自分でもピクミン2宝全回収までプレイすることができた。

そのクリアの道中には、ピクミン達の死骸が積み重なっている。

 

そうしてブログ主は、迷うこと無くゲームの2週目を開始する。新しいセーブデータを作り、今度こそはピクミンを一匹も死なせないことを目指して。2週目はこれまでの経験値が遺憾なく発揮され、かなりサクサクと進めることができた。そこに自身の成長を感じた。

2週目、ピクミンを一匹も犠牲にしないプレイ。リセットはかなりの数したと思う。それでもピクミンが死なない平和な世界で、エンディングが見たい一心で進めた。

そんな世界が見られるまで、自分はどれほどの時間をゲームに費やしただろう。無犠牲クリアの感動は、筆舌に尽くしがたい。そして、あれほど純粋な気持ちで、世界にのめり込んでゲームをすることは、もう二度とないと思う。

そんな2週目のクリアにかけた時間は覚えていない。もしかするとポケモンとか、DQMJとかの方が、費やした時間は長いかもしれない。

だが自分にとって、「やりこんだ」と胸を張って言えるのは、ピクミン2ただ一つである。次やる時もまた、ピクミンは一匹も死なせずに頑張ろうと、勝手に縛りプレイをする自分の姿が想像できるのだ。

ちなみにどうでもいい話だが、大乱闘スマッシュブラザーズでの持ちキャラはピクミン&オリマーだ。あの世界では、ピクミンの犠牲を数多く出しているというのは、ここだけの秘密である。