工大生のメモ帳

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【映画】MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない 感想

※ネタバレをしないように書いています。

社畜な一週間を繰り返す

情報

監督:竹林亮

脚本:夏生さゆり/竹林亮

ざっくりあらすじ

一週間を繰り返していることに気づいた社員たちは、この地獄を抜け出す鍵を握っているのは部長だと気づく。新しい一週間を迎え入れるべく、部長にタイムループしているということを信じさせるために、計画を練り始めるが……。

感想などなど

新しいことが何もない、同じことを繰り返す日々を過ごす皆さん。こんにちは。

職場と家を往復するだけの代り映えのない日常では、新たな発見もなければ出会いもない。そんな日常は気づけば一週間が過ぎ去って、あっという間に一年が終わってしまう。

あまりにも代り映えしなさ過ぎる日々に嫌気が差して、「もしやタイムループしているのでは?」と苦笑交じりに自虐を込めて言う方もいるかもしれない。この映画はそんな自虐が現実だった場合を、痛快に描いた映画である。

タイトルにもなっている通り、この映画は月曜日から始まる。そこから始まる地獄のような社畜ライフは日曜日(つまりは休日出勤)まで続き、終わったかと思えば月曜日まで戻されて……と繰り返される。いわば『代り映えのしない日々』が延々と繰り返されるのだ。

映画の舞台は、社畜たちがパソコンと向かい合って仕事するオフィスでほぼほぼ完結するため、画としての代り映えもない。オフィスというある種の閉鎖空間で繰り広げられる『タイムループから脱出するための戦い』は、『部下から上司への上申制度により納得させる』という縦割り構造の嫌な部分が色濃く、言ってしまえばとても地味だ。

それでも、この映画はとても面白い。

「画としての代り映えはない」と書いたが、その中で巻き起こる停電・頭を打って流血・カラオケ熱唱といった日常からちょっと外れた珍事が、とても画として映えていた。現実でも起こりそうなラインだけれど、それぞれがループを繰り返すことによってより面白い画として進化していくのが、徐々に笑えてくるのだ。

上申制度とは、改善案をはじめとする何かしらの意見を、自分から直属の上司へ、上司からさらに上の上司へというように上げていくことだ。その際に大事になってくるのが、上を納得させるための説得力である。そのために資料をまとめ、納得してもらえるようなプレゼンをすることが求められる。

特に今回の場合、タイムループしているという事象を納得させるという無理難題を遂行するため、上司のことを理解し、納得してくれるまで何度もループすることになる。

その過程で謎に包まれていた上司の人間味が詳らかにされていく。作中において、その人のファンになる必要があるというような台詞があったが、見ている人もそれぞれの上司の人となりに惹かれ、段々と好きになっていくように物語が構成されている。

この映画において、もっとも注目すべきはそんな構成なのでは? と思う。それぞれの登場人物に対する最初の印象は、そのどれもあまり良くない。しかしながら最終的にはみんな好きになっているのだ。

 

見る映画を決める時、皆さんは何を見て決めるだろうか。本ブログを読んで決めてくれる方がいれば幸いだが、そのような方はいないだろう。大抵の場合、PVを見るか、あらすじを見るかして、興味を持てたら実際に見るという段階があるだろう。

本作の場合、どのような部分に興味を持って見ることになるだろうか?

タイムループ物だから怒涛の伏線回収を期待するのだろうか。

もしくは上申制度を使うという要素にギャグ展開を見出すのだろうか。

この映画ではそういったタイムループもの特有の伏線回収も(適度に)ありつつ、ギャグ的な笑える展開もあり、さらに、大人になって忘れてしまった、もしくは諦めてしまった夢といったものに向き合う大人の姿を垣間見れる人間ドラマ要素も盛り込まれている。

そのため、見終えた後の満足度がとても高い。見る前の期待値を軽々と越えてくれる名作であった。