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【漫画】ウマ娘シンデレラグレイ11 感想

【前:第十巻】【第一巻】【次:第十二巻】
作品リスト

※ネタバレをしないように書いています。

オグリキャップの物語

情報

作者:久住太陽

試し読み:ウマ娘 シンデレラグレイ 11

ざっくりあらすじ

天皇賞(秋)を目前に、時代を彩るウマ娘達が集結した。伝説のGⅠとされる天皇賞(秋)が始まろうとしていた。

感想などなど

「戦いにおいて「敵を識る」というのは最も重要なことである」

ヤエノムテキのトレーナーのおっさんが、ヤエノムテキに語った台詞である。そういう意味では、天皇賞(秋)という大舞台に立つ中で最も有利なウマ娘は、ヤエノムテキであろう。なにせ彼女は、天皇賞(秋)を走る並み居る強者達と、一度は一緒に走る負けたという経験がある。

メジロアルダンは第十巻で初登場し、情報と繊細な脚を武器に戦うご令嬢である。ヤエノムテキも「ガラスのようなウマ娘」と直球な表現を用いて、彼女を評している。

スーパークリークはその無尽蔵な体力を武器に、怪我からの復帰戦でも圧倒的な力を発揮し、そのレースでのレコードタイムをたたき出した。「休みなく流動を続ける大河」というヤエノムテキ評は分からないようで分かりやすい。穏やかなようで力強い……ということだろう。

我らが主人公・オグリキャップは、化物という世間の二つ名に恥じない強さで勝ち続けていた。ヤエノムテキも彼女を表現するぴったりな言葉として、化物を選んでいる。プリティとは対局の走る姿は、正しく化物と呼ぶに相応しいのだろう。

さて、オグリと同じく田舎から中央にやって来たイナリワンはどうか。彼女のキャラクターは勝ち気で強きなウマ娘である。そして、オグリやタマモクロスが到達した領域へとあと一歩のところまで迫っていた。

そんな彼女のヤエノムテキ評は「分からない」。これが何を意味するのか。天皇賞(秋)に彼女はどう食い込んでくるのか。全員に頑張って欲しいが、誰か一人しか勝てない戦いが始まろうとしてた。

 

タマモクロスを覚えているだろうか。

まぁ、忘れろという方が無理だろう。白い稲妻と評され、化物・オグリキャップと共に最強の座を争ったウマ娘である。もう引退したが、彼女の残した伝説は永遠に語り継がれることだろう。

そんな彼女のトレーニングノートが、六平トレーナーに渡った。ゾーンに入るコツを掴んでいるらしかった彼女の強さの秘密が、オグリキャップに渡ってしまった。化物の才能と、タマモクロスの秘密が賭け合わさるとどんなレースを見せてくれるのか。

スーパークリークもその無尽蔵の体力にさらなる磨きがかかっていた。ヤエノムテキも、イナリワンも。それぞれが自分にできるだけの準備をして天皇賞(秋)に挑む。

ウマ娘だけではない。オグリキャップのサポーターであるベルノライトも、オグリのために準備した特別メニューを引っさげている。六平だってそうだ。クリークのトレーナー・奈瀬文乃も、「憧れの六平銀次郎と戦えるのですから」と心意気はばっちりである(ちなみに彼女のモチーフはレジェンド・武豊であるそうな)。

 

天皇賞(秋)で勝つのはどういうウマ娘か。

読み終えて思ったのは、ただ強いだけでは勝てないということだ。なにせ天皇賞(秋)に出るという時点で、誰が勝ってもおかしくない面々が揃っている。運、作戦、調子、そのどれが欠けていても勝てない。

天皇賞(秋)を出走した全員が強かった。タマモクロスと六平が授けたオグリキャップの秘策が、メジロアルダンの立てた計画が、スーパークリークとトレーナーによる作戦が、イナリワンの執念がぶつかり合うレースの模様は伝説のレースと呼ばれるに相応しい熱いレースであった。

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