工大生のメモ帳

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【映画】ダークナイト 感想

※ネタバレをしないように書いています。

最凶の悪

情報

監督:クリストファー・ノーラン

脚本:ジョナサン・ノーラン
   クリストファー・ノーラン

ざっくりあらすじ

ゴッサム・シティでは日夜、ゴートン警部補とバットマンによる犯罪の取り締まりが行われていた。しかし、ピエロ顔の犯罪者ジョーカーが勢力を広げていく。新任検事ハービーも捜査を開始するが、それをあざ笑うかのようにジョーカーはさらに犯罪を繰り返していく。

感想などなど

本映画にて最凶の悪役として登場するジョーカー。その魅力は冒頭十分に詰まっている。

銀行に強盗に押し入ろうとするピエロの面を被った珍妙な容姿をした五人の男。彼らの強盗の作戦立案と指揮を担っていたのがジョーカーであった。

屋上の警備システムを破壊する係、表から入っていき脅しをつける係、金庫の壁を破る係、袋詰めする係……それぞれに役割を持たせて、手際よく作業は行われていく。そんなメンバーには、銀行強盗の役割に加え、別の仕事も命じていた。

「役割を終えた者を殺せ」

手に入れた金は五人で山分けだったはずが、役割を終えた者が次々と殺されていく。五人が四人に、四人が三人に……強盗メンバーも察し始める。今、この役割を終えてしまえば殺されてしまうのではないか? と。

しかし気付いた時にはもう遅い。最後に残ったただ一人、彼こそがジョーカーだったのだ。つまり作戦を立てて命令しつつ、自らもその五人の内の一人に男に紛れて強盗を決行。自らの取り分のためか、協力していた味方は全員皆殺しにして逃亡したのだ。

冒頭だけで、仲間も敵も容赦なく殺していく極悪非道さと、犯罪を遂行するための常識に囚われない作戦立案能力の高さが伺える。正体を明かした際のジョーカーの演技、演出も見所だろう。そのシーンだけで、一気にダークナイトの世界に引き込まれていく。

 

さて、そんなジョーカーを追いかけるのは、大金持ちのブルース・ウェインことバットマンである。持ち前の財力と、会社が抱えていた技術部の力を総動員して、バットマンの装備や道具を作り出していた。その辺りの話は「バットマン ビギンズ」で描かれている。ちなみにもう視聴済みなので、いずれ記事は書くと思う。

バットマンというヒーローには、人間じみた泥臭さがある。コウモリをイメージしたバットスーツも、兵器や様々な機能を持ってはいる。しかし犯罪者だとしても殺さないことを掲げているため、それらの兵器が本当の意味で生かされることはあまりない。

放たれる銃弾の雨あられも、結局威嚇射撃としてしか使われない。相手もそのことは理解しているのだろう、バットマンに対しては舐めてかかっているような感じがある。バットマンの存在が犯罪の抑止力になっているのかは少しばかり疑問符が浮かぶ。

そんなバットマンと協力体制を敷いているのは、ゴートン警部補という正義感溢れた警察官だ。バットマンに警察が得た情報を渡しつつ、ジョーカーを追いかける。警察官としてバットマンには出来ない方法で正義を追い求める。

さて、さらに新任検事ハービーも捜査に協力してくれる。犯罪の温床となっている司法界隈にメスを入れるべく、彼もまたゴートンやバットマンとは違う手法で正義を執行していく。

そんな三人とジョーカーの戦いが描かれていく。しかし、如何せんジョーカーが最凶過ぎた。

 

この映画の魅力は、やはりジョーカーに詰まっているように思う。度々語る自身の嘘まみれの過去話。耳に残る高笑い。笑っているような気味の悪いピエロ化粧。彼という人間を印象づけるための演出が、この作品というものを印象深いものにしていく。

そんな男が起こす犯罪の数々は、惚れ惚れしさすら感じさせる手際の良さと、先の読めない意地悪さがある。人の命を命とは思わない残虐性と、人の心に潜む闇という闇をさらけ出させるようなエンタメ性が両立している。

そんな戦いの結末を、あなたはどう受け止めるだろう。是非とも視聴した人と語り合ってみたい、そんなことを考えさせる作品だった。