工大生のメモ帳

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リアデイルの大地にて 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

自由に歩き回れるということ

情報

作者:Ceez

イラスト:てんまそ

試し読み:リアデイルの大地にて

ざっくりあらすじ

事故によって生命維持装置なしには生きていくことができない身体となってしまった少女・各務桂菜は、VRMMORPG『リアデイル』接続中に生命維持装置との接続が途切れ死んでしまった。『リアデイル』の世界を、自由に歩き回りながら旅をする少女の物語。

感想などなど

異世界に転移してしまうような作品において、どうしても付きまとう問題がある。

元の世界との向き合い方、である。

元の世界に戻るために画策する作品、いっそのこと諦めて異世界に定住する作品……元の世界との向き合い方には様々な形はあれど、本作『リアデイルの大地にて』は、生命維持装置が繋がってないと生きていくことのできない少女が、歩き回って自由に生きることができるようになっているため、元の世界に対する未練はないに等しい。

ゲーム世界に取り込まれ、生命維持装置との接続が途絶えたことで死んだ事を悟ったとしても、彼女には自由に歩き回ることのできる足があり、触れて、食べて、見て、聞いて、嗅ぐという五感が全て揃っている。

さらにさらに、ゲーム『リアデイル』にあったシステム・里子システムにより、自分の子供を作っていた彼女は、17歳という若さで子供が3人いるということになっている。つまりは立派な家庭も築いている訳だ。

そんな各務桂菜は、種族:ハイウフルのケーナとして、この世界で好き勝手に、自由気ままに生きていく話である。

 

彼女にとって、自由に動き回れる唯一の世界であった『リアデイル』。そのためか、ゲームのやり込みはかなりのものであった。このゲームに存在するスキルを全て取得した者に与えられる称号「スキルマスター」を持っており、同じ称号を持っている者は、たったの13人(本当は14人だが、色々あってノイローゼになった者が1人抜けている)。

彼女のやり込みの凄まじさが分かっていただけるだろう。

そんな「スキルマスター」には、他人にスキルを譲渡することのできる権利が与えられる。さらに、スキルを譲渡するか否かを判断するためのクエストを発行や、ダンジョンの生成までできるというのだから、「スキルマスター」に与えられた権限の多さと強さが窺い知れる。

ちなみにケーナは、銀の塔というリアルで24時間かければ確実にクリアできるダンジョンを生み出している。他のスキルマスター達も、それぞれが個性に満ちあふれたダンジョンを作り出していることは、ここから先の物語を読み進めていけば分かる。

いきなりこの世界に放り出され、元の世界では死んでいるということまではすぐに分かり、当面は各地に散らばっているという他の「スキルマスター」達のダンジョンを巡ることにした。

ついでに里子システムで作った子供達の様子も見に行ったりしている内に、厄介な事件に巻き込まれていくことになる。

 

ケーナはプレイヤーとしても無類の強さを誇っていたことは、先ほども説明した通り。となると、この世界の住人であるNPC達からすれば、ケーナは雲の上の存在と言っても過言ではない。

つまりは、強さや貨幣価値といった常識が、著しく欠如した状態での旅となる。

さらに厄介なことに、ケーナがこの世界に転移してきたのは、各務桂菜としてゲームをプレイしていた時よりも、200年も経過していることになっている。200年も経過すれば、この世界の様子も大きく変わっている。

例えば地形も変わるし、ダンジョンは建物やら地面に埋もれていたりもする。

そんな変化を楽しむのも旅の醍醐味かもしれないが、厄介な事件を引き起こす一要因になることは言うまでもない。

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