工大生のメモ帳

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【漫画】ひとりぼっちの地球侵略 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

一緒にこの地球を侵略しましょう

情報

作者:小川麻衣子

出版:小学館

ざっくりあらすじ

高校に入学する広瀬岬一は、ひどい変わり者である大鳥希に絡まれるという洗礼を受ける。ひどく電波的な彼女の話に、どうにも胸騒ぎを感じていると、謎の生物兵器の襲撃を受けてしまう。

感想などなど

大鳥希。高校二年生。長らく入院生活をしていたにも関わらず、彼女の身体能力は人知を超越し、学校の成績も超絶優秀。しかし、教師が言葉を選び抜いたのだろう、彼女を表現する言葉は『ひどい変わり者』。

確かに。彼女の行動に言動は、変わっている以外に表現しようがない。

公衆の面前にて、珍妙なお面を被っている。それが大鳥希だ。それだけならば、近寄らなければいいだけでよかったのだが、残念ながら彼女はいきなり絡んでくる系の避けられないヤバイ奴である。

いきなり初対面の相手に、命を奪うなどと宣いながら飛び掛かる。その被害者が本作の主人公である広瀬岬一であった。

状況だけ見れば、時と次第では警察に連行される。しかも一応は男である広瀬岬一よりも足が速く、運動神経も良いというのだから怖い。挙句の果てに胸を弄られ、服を脱がされそうになったら事件以外の何物でもない。

岬一の場合、女たらし・女の敵・女性に恨まれ慣れた兄・凪がおり、女性関連でそれなりの苦労というものを受けてきたという過去がある。大鳥希の行動というものは、たしかに怖いし奇妙だし変だが、ある程度耐性というものがあって幸いしたというべきかもしれない。

 

できることならば、今後の人生で彼女と関わらないように避けて行動するだろう。しかし、彼女の言動以外にも、奇妙なことが、上記の大鳥と岬一の出会ったシーンでは起きている。

まず大鳥望は、はっきりと広瀬岬一の名前を告げて襲いかかった。しかし岬一としては、こんな変人と会った記憶はない。会っていたら忘れようがないだろう。だとするとなぜ彼女は岬一のフルネームを知っていたのだろう。

場所は大衆の面前であった。その中から広瀬岬一を見つけ出したということは、名前だけでなく顔も把握していたということなのだろうか? やはりどこかで会ったことがあるのだろうか。だが、やはり彼の記憶に彼女は存在しない。

長らく入院していたというのに、彼女は彼以上に脚が速く、運動神経も漫画の描写を見る限りかなり高い。人一人を軽く投げることなど、一体どんな技を使ったというのか?

一番のヤバい点。広瀬岬一の胸元には、小さい頃に受けた大きな傷があった。しかし、彼女に追いかけられた後、ふと傷を見ると消えていたのだ。彼女に触れられたことで傷が癒えた? いやいや、そんな非現実的な……。

それら全ての答えを、大鳥希はあっさりと答えてくれる。

どうやら彼女は宇宙人であるらしい。はぇー、すっごい。

さらに岬一は五才の頃、死にかけるほどの大怪我を負って、心臓が抉れて死んだようだ。マジかよ。ヤベーじゃん。

そんな彼に、心臓を与えて生きながらえさせたのが大鳥希だったのだ。おぉ、ありがてぇ。

そんな話、岬一が信じられるはずもない。

……ここまでは、まだ真実を知らない日常だった。ここから先、真実を知ってしまった岬一の日常に非日常が紛れ込んでくることになる。そのほんの些細な始まりは、あらすじでも示した通り、謎の生物兵器の襲撃であった。

その襲撃に対して、彼はあまりに無力だ。なにもできない。目の前で家族である叔父さんが捕食されていく。そこに颯爽と現れる大鳥希、目の前で圧倒的とも思える力を振るった。そんな彼女に向けて、岬一は無様に叔父さんを助けてくれと懇願する。

そこで、岬一は選択を迫られる。

大鳥希は声高々に言うのだ、「わたしと一緒にこの地球を侵略しましょう!」と。

……。

こうして彼と彼女は、一緒に地球を侵略する契約を結ぶことになる。その時、変わり者だと言われていた大鳥希が流した涙の意味は、一体なんなのだろうか。

 

この作品の魅力は、大鳥希の可愛さとか、日常風景に張り巡らされたSF的な設定にある。また、地球侵略という壮大な目標と相反するような、ゆったりとした時間が過ぎる日常も嫌いじゃない。

しかし、その裏には重たい設定がある。それを受け入れながら覚悟を決めていく岬一の心情が丁寧に描かれていく。どうか、このまま彼と彼女が、地球侵略できるような世界が続きますように願わずにはいられない。

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