※ネタバレをしないように書いています。
僕には、幽霊が憑いている
情報
作者:三雲岳斗
イラスト:和狸ナオ
ざっくりあらすじ
新入生のオリエンテーション合宿の目的地である土琶湖には、UMAが出没するという噂があった。そして、佐伯兄の依頼により、そのUMAを調査し捕獲あるいは駆逐するように依頼されてしまう。
感想などなど
射影体を用いて機巧魔神〈アスラ・マキーナ〉を操作し戦う演操者となった夏目智春。化学部にも無事(?)入部を果たし、超絶美人の悪魔・嵩月奏も救いつつ綺麗な形で幕を閉じた第一巻。射影体の本体である神無月操緒は、どこかで眠らされている……? もしかしたら生きて会えるかもしれない的な希望も見せつつ第二巻へと脚を進めるのであった。
さて、まずは第二巻のサブタイトルを見て欲しい。
夜……今回の舞台となる場所は土琶湖という自然豊かな場所で、湖面に浮かぶ月の光がたいそう幻想的だ。高校生が夜散歩して、愛を育むには十分過ぎるほどの雰囲気を醸し出している。
UMA……土琶湖には巨大なUMAの目撃情報が数多く集められているのだという。ネス湖のUMAがネッシーならば、土琶湖のUMAはドッシーだろう。この第二巻では、このドッシーの正体や謎に差し迫っていく内容となっている。
Dカップ……万乳引力の法則により、多くの人が目を留めてしまった文字列であろう。ちなみに巨乳、巨乳と騒がれている嵩月奏はFカップで、佐伯妹はBカップである。ちなみにブログ主の好みは(自主規制)。
いきなり現れるDカップという文字列、これがまさかの超重要キーワードになろうとは、予測できた者はいただろうか?
嵩月奏は悪魔である。感情が高ぶると身体の温度が急上昇し、触れていた物が焼け焦げてしまうほどだ。そのため、智春のためを思っておにぎりを作ろうとしたら、何故か全て焼きおにぎりになってしまったり、自分が落としたプリントを拾おうとした時に、智春の手と少し触れてしまっただけでプリントは焼け焦げ、智春の手に小さな火傷を負わせてしまうこともあった。
だが、健気で可愛らしい女子高生である彼女を、「悪魔だから」という理由で拒絶することはできなかった。彼女を殺すような依頼も受けようとはしなかったし、最後に彼女を守ったのだ。
それを良しとしない面々が、どうやら数多く見受けられる。
例えば操緒。空中を漂いながら頬を膨らませる姿は、可愛らしいと言えるかもしれない。これくらいの嫉妬ならば、まだまだ安心して見ていることができる。
例えば佐伯兄。そもそも嵩月を殺すように仕向けてきた男である。その理由を彼はあまり説明してくれていない。嵩月と智春が仲睦まじくいている様子を、まるで危機的状況であるかのように見てくる視線は、どうにも納得しがたい。
だって嵩月はこんなに良い子なのに……まぁ、ちょっとコミュニケーション能力に難があるかもしれないけれど。その不器用な感じが良いのに。
この第二巻では、そんな第一巻を読んでいたら思い浮かぶであろう疑問にも解が出されていく。まだ謎多い世界観ではあるけれど、少しずつ分かることが増えていく感覚はシリーズものラノベの醍醐味であろう。
Dカップの予想外の意味や、嵩月や佐伯妹との関係性の進展など他にも見所は満載である。楽しい作品であった。