※ネタバレをしないように書いています。
関係が、少しだけ変わる日
情報
作者:入間人間
イラスト:のん
試し読み:安達としまむら 5
ざっくりあらすじ
安達としまむら、二人の関係が変わっていく日常。
「紺碧を発して」「しまむらの刃」「魂は共有?」「アダチ・リバイバル」
感想などなど
夏休みになった。この第五巻は、夏休みの前半ということであるらしい。ただの女子高生の日常(?)でありながら、かなりの波乱を見せつけてくれる。
「紺碧を発して」
夏休みに『しまむら』としたいことをリスト化している安達。気付けばリストの隙間という隙間を埋め尽くす『しまむら』という文字列は、一種の狂喜すらはらんでいる気がする。後々、しまむらノートなる更なる狂気を見せつけてくれることになる。第一巻の安達を見返してみると、本当にキャラが変わってしまったんだな……と思ってしまう。
そんな安達を知ってか知らずか(まぁ、知らないだろう)、樽見とのいちゃいちゃへと赴くしまむら。樽見も樽見で結構愛が重い。休日に「しまむらの絵を描きたい」と河川敷に呼び出して、キャンパスにしまむらの絵を描き出す樽見。その絵が結構上手い。実はしまむらの昔の写真を見て練習し続けていたのだ、と語り出す。
……もうしまむらのことしか考えてないじゃん。二人とも。それに対するしまむらの対応も女たらし感があるのだが。それにしたって二人とも……しまむらには女難の相が出ているのかもしれない。どうでもいいけど男難の相とかないよね。
「しまむらの刃」
問題回。
樽見としまむらが夏祭りを一緒に過ごしている光景を目にしてしまった安達。それによりただでさえ溜まっていたフラストレーションが限界に達し、しまむらとの電話で安達への愛とか何かこう色々な複雑な感情を爆発させてしまう。
「私は! しまむらが知らないところで笑っているとか! 嫌で、他の子と手を繋ぐのも! 私だけがよくて! 私と一緒にいて欲しくて! ……(以下略)」
というこんな感じのノリで、安達の感情の爆発が、文庫本四ページに及び語られる。危うく共感性羞恥を発症しそうになった。知ってはいたけど、安達は『しまむら』が大好きなんだなぁ……。
それに対するしまむらの反応は、
「めんどくさいなぁ……」
「魂は共有?」
問題回を終えて、メンタルがぶっ壊れた安達。いきなり電話されて、別に付き合っている訳ではない女に、長々と別の女と夏祭りに行ったことを逆ギレされて、「めんどくさいなぁ……」の一言で済ませたしまむらのメンタルをブログ主としては凄いと思う。
……いや、本当。安達としまむらの関係性って何なんだよ。少なくとも付き合っている訳ではないだろうし。
とにかく仲直りがしたいと奮闘する安達。その努力の方向性が、間違っている気もするが、これまでの安達も間違い続けていたので、いつも通りである。人間との付き合い方にもやはり経験を積むことが大切なのかもしれない。
「アダチ・リバイバル」
何とか仲直りして――まぁ、喧嘩していた訳ではないのだが――しまむら様から、他の子とも仲良くしたら? という有り難い御指導に乗っ取り、しまむら妹や日野や永藤と仲良くしようと奮闘する。
しかし、それは安達の望んでいることではない。彼女にとって、しまむらだけがいればいいのだ。さらなるフラストレーションが溜まってからのラストシーン。頑張れ、安達。今度は逃げるなよ。
……と夏休みは後半へと続く。