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【アニメ】「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」第八話【感想・解説】

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2020春アニメ化リスト

 

まず最初に

またしても原作にはない完全アニメオリジナルストーリーが描かれていく第九話。魔法書というファンタジーではお約束のアイテムが登場しています。原作では影が薄かった魔法関連のアイテムですが、アニメで思い切り活躍しているというのは何だか新鮮です。

さて、アニオリということなので解説というよりは感想という点に重きを置きますが、頑張って書いていきましょう。

用語・人物解説

カタリナ・クラエス

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 食欲の旺盛さが魔法書の許容量を超えていた貴族令嬢。
  • 今さら説明することではないかもしれないが、ジオルドが婚約を解消しないのは面倒くさい他貴族のアピールから逃れるためだと未だに思っているし、キースはカタリナのことを女性として意識していることに気付いていない。
  • キースとは普通に「あーん」をして食べさせ合いをしたことがある。正確にはカタリナからキースに向けて食べさせたことがある、だが。キースからするのはハードルが高すぎたらしい。
メアリ・ハント

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • カタリナの登場により、最も人生を狂わされたかもしれないヒロインの一人。
  • ゲームではアラン王子に向いていた恋愛感情がカタリナに向いたからといって、ここまで性格が変わるものだろうか。良い意味でも、悪い意味でもカタリナの影響を受けているのだろう。
  • 社交界で集めた様々な貴族の悪い噂を集めたノート(この世界では書物とでも言うべきだろうか?)を持っており、カタリナには見えないところでは活躍しているのだろう。
魔法書

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 古代の魔法で作られた遺物のようなもの。指定の人にしか読むことができない書物や、特別な効果を持った書物など、その種類は多岐に渡る。中には今の技術では再現できないものもあるとされる。
  • 古代からのものは当然、古代語で書かれている。残念ながらカタリナは読むことができない。
  • アニメで登場した魔法書は、『欲望をエネルギーとしている魔法書。中に人を閉じ込めて欲望を叶えてくれる』ということらしい。あまりデメリットが見当たらない気もするがどうなのだろう。

注目すべきポイント

試験勉強

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

死んで別の世界に転生したとしても、テストという呪縛から人間は逃れられないのかもしれない。現世でも試験勉強に精を出し、テストを受けた後には全てを忘れてしまうような脳の作りをしていたカタリナが、異世界に出て心を入れ替え勉強を出来るようになるはずもない。夏休みの宿題を最終日まで溜めに溜めていたことも記憶に新しい。

第七話で描かれていた試験は実技試験だとすると、今回カタリナが勉強しているのは筆記試験であろう。原作において、赤点をとると留年するといった話は登場していないが、描写やゲームの設定であるということから推察するに日本の高校などと大差ない進級制度では、と思われる。

息抜きに畑仕事をし、収穫した傷つきのカボチャを王子にプレゼントするカタリナ。こうして書くと凄い状況である。それを双眼鏡で眺めていたメアリは妨害しようと外に飛び出す。結果としてカタリナと共に勉強するという口実を作ることができたので、彼女としては万々歳である。

勉強場所はシリウスのいる生徒会室。シリウスの意味深なカットが挟まれ、今後の展開に期待と不安を募らせていくような演出が、丁寧に行われていく。次に向かうは図書室である。

まるでハーメルンの笛吹きのように増えていくカタリナの友人達。王子二人に次期宰相、次期侯爵に光の魔力の持ち主という驚きの面々である。これは誰も逆らえない。

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
魔法書に取り込まれ……

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

図書室ではマリアとメアリを除く豪華メンバー達が魔法書へと取り込まれていく。カタリナはイベントに関わるようなアイテムは、知っているかどうかは関係なく手に取ってしまうことが多い。この魔法書も原作ゲームでは、何かしらのイベントで登場するアイテムだったのかもしれない。

この魔法書の効果は、『人を取り込み願望を叶えることでそれをエネルギーとする』ということらしい。それによりジオルドやキースの願望が形となって表れる。そのどれもカタリナが関わっているというのは、何とも彼・彼女達らしい。

ジオルドの願望

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

ジオルドは本気で惚れてカタリナと婚約を結んでいる。このまま行けばいずれカタリナと関係を結ぶのは、間違いなく彼であろう。しかし、彼の周囲に敵が多すぎるので、あまり優位に見えないのは気のせいではないだろう。

そんな彼の願望は、『カタリナを自分のものにする』ことだろう。カタリナはあまりに無防備で、男性(カタリナの場合、女性からも)からの好意というものに無頓着すぎる。首筋にキスをされても虫刺されだと勘違いするほどである。一応、乙女ゲームでそういったシチュエーションというものは幾度となく見てきたと思うのだが、そのような繊細(?)なことを考えることは無理なのかもしれない。

またジオルドは、カタリナに嫌われるということを何よりも嫌っているような印象を受ける。王族ということもあり家庭関係は決して綺麗事ばかりではなく、それらをあまり語りたがらない。まぁ、カタリナに見つめられたらすぐに話してしまうのだが。

これまでより深い関係に踏み込んでいかないのも、彼女に拒絶されることを拒んでのことかもしれない。単純に経験値が少ないから、という可能性も否定できないが。

キースの願望

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

キースの願望はおそらく『カタリナに男として意識して欲しい』ということだろう。色気があっても通じて欲しい相手に通じなければ意味がない、とキース自身何度も語っている。

アニメではカタリナがキースのことを色っぽいと言っている。カタリナの口からは絶対に出てくるとは思えない台詞だ。添い寝や手を繋ぐ程度のことは、これまでカタリナの方からしてくれたので(というか今頼んでも普通にしてくれるだろう)、カタリナに男として意識して貰った上で、それらの行為をしてほしいのかもしれない。

一番一緒にいる時間は長いが、だからといって有利という訳ではなく、ある意味一番距離としては遠いような気がする。

ソフィアの願望

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

ソフィアは文学少女ということもあり、恋愛の体験はそこから影響を受けることになる。第五巻にて女性メンバーが理想のシチュエーションを語り合うエピソードがあるが、そこでもソフィアだけがぶっ飛んだ内容を語っている。

彼女の願望はそういった『物語のようなことをカタリナとしたい』ということだと推察できる。彼女が読んだ作品の中には女性同士の友情物語も多数存在する。もともと二人が出会うことになった『エメラルド王女とソフィア』がそういった話である。中にはハードなものも含まれていることだろう。

壁ドンもそのなかから着想を得たのかもしれない。微妙に身長など足りていない感じがするが、本人が満足しているのでヨシ。

ニコルの願望

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

ある意味、一番ヤバい願望を持ち合わせていたのは彼であった。『物語のように駆け落ちしたい』とまで言わずとも、カタリナと恋をしたいということなのだろう。

妹のソフィアの話は進められて読むことがあり、その中には略奪愛や駆け落ち系のエピソードが多かったようだ。ソフィアは兄とカタリナが結婚すれば、もっとカタリナと一緒にいられると考えて、またニコルがカタリナのことを好きだが王子との婚約者なので手は出せないと考えているということを知っての行動だろう。

また宰相である父が物語のような恋を経て、つまりは略奪愛のようなことをして結婚している。血は争えないということなのかもしれない。

アランの願望

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

演奏会をしたい、というよりは『カタリナにピアノを聞かせてあげたい』ということだろう。アラン……いい加減自覚しろ。

まぁ、メアリの策略がいささか効果的に機能しすぎているとも言えるが、それでも他人よりは恋愛に疎いだろう。

カタリナの願望

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

『お菓子が食べたい』というのが彼女の願望である。人間の三大欲求の一つだから仕方ない。その願望は本の中で作られた虚構の中で満たされることはなく、魔法書の許容量を超えてしまった。

霞を喰っても、どんなに妄想をしても、腹が膨れることはないのと一緒の原理なのだろうか。結局カタリナの願望は満たされることはないまま、吐き出されることになる。ようやくマリアのお菓子を口にして、メアリの紅茶を飲むことができた幸せそうな顔を見ることができて、とりあえず満足である。

アランとカタリナ

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

裸足になって一緒に過ごすカタリナとアランのエピソードは第五巻に描かれる。アラン視点でカタリナと一緒に過ごすことの楽しさと喜びが描かれている。アニメではその雰囲気をさらに良くして、なんか良い感じのカップルっぽく演出されている。

この後、メアリからの妨害が入ってくるのだろうが、それは本作のお約束。メアリから色々な洗脳工作が行われることだろう。

最後に

設定など細々とした場所は変えて、原作のエピソードの情報が散りばめられている。正直、解説はどうしようかと思っていたが、それなりに書くことはできたのではないだろうか。楽しんでいただければ幸いである。

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