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【アニメ】「アサシンズプライド」第二話【感想・解説】

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2019秋アニメ化リスト

 

まず最初に

U-NEXTでしか配信されていない本作。まず知名度が低い気がするのですが、実際の所どうなのでしょうか。円盤よりも視聴率よりも、配信での伸びが最近は大事だと思うのですが。

また、原作ファン向けにアニメが構成されているような気がします。まさか、特訓シーンやイベントの説明が全くされないとは想いもよりませんでした。個人的にはどのように膨大な設定を伝えてくれるのか、楽しみだったのですが。

前期の「魔王様、リトライ!」はシリアスシーンや設定の話を徹底的に排除して、ギャグ全振りでした。二期が決定しました「魔法科高校の劣等生」の一期では、最低限の説明(それでも原作と比較すると少ない)はされていました。「ゴブリンスレイヤー」は設定がTRPG基準であるため、説明は省いても問題はありませんでした。「アサシンズプライド」は……良く分かりません。原作におけるメリダの特訓シーンでは、かなり設定の説明に字数を割いていた印象です。それを避けたのかもしれません。

第一話の記事を読んでくれた人ならば分かって貰えると思いますが、設定がかなり膨大です。このアニメが終わるまでに記事を何個も書くことになるでしょうが、その全てを書き切ることはまず無理でしょう。最低限、アニメを理解するに必要な情報+αを伝えられるよう頑張ります。今後とも、どうぞよろしくお願いします。

用語・人物解説

クーファ=ヴァンピール

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©2019 天城ケイ・ニノモトニノ/株式会社KADOKAWA/アサシンズプライド 製作委員
  • 《白夜騎兵団》(後述)に所属する暗殺者。
  • 《侍》というマナ自体が、高い俊敏性を誇るが攻撃力自体は他よりも劣ることが多いため、相手と正面だって戦うことには向かない。そのため、メリダに教えたような(良い言い方をすれば)臨機応変な戦い方という物が要求される。
  • 元々はフランドールの外である《夜界》出身。原作ではメリダをランカンスロープから救った時に自分の身の上を話している。アニメではカットされているが、重要な伏線であるためどこかで語られると思う。その時に詳しく言及したい。
メリダ=アンジェル

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©2019 天城ケイ・ニノモトニノ/株式会社KADOKAWA/アサシンズプライド 製作委員
  • 《聖騎士》のマナを受け継ぐ貴族の娘でありながら、《侍》のマナを発現させた。その実態は、クーファのマナを体に移された(正確には違うが)ことによるもの。
  • 《聖騎士》のマナというものは非常に貴重であり、また強い。この強いには様々な意味がある。単純な戦闘面での強さだけでなく、《聖騎士》の貴族とマナを持たない平民が血を交わらせても、その子共は強い《聖騎士》のマナを発現させることが可能。他のマナの場合は、平民の血が混じった時点でなくなるまではいかずとも力が弱くなってしまう。
  • 上記の性質より、例え彼女の母親が浮気をしていたとしても、《聖騎士》のマナを発現しなくなるというのは奇妙。さて、彼女がマナを失った理由とは?
ロゼッティ=プリケット

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©2019 天城ケイ・ニノモトニノ/株式会社KADOKAWA/アサシンズプライド 製作委員
  • 《聖都親衛隊》に所属する有名人。交際相手はいない。
  • 彼女のマナは《舞巫女》(メイデン)。マナそのものを具現化させ戦うことに長けている。また、専門アビリティ《神楽》によって、舞踏に専念すれば味方の支援に回ることも可能。非常にバランスの良いマナだと言える。
  • マナは代々の血筋によって決定するが、彼女の場合は平民であるため、かなり特別な存在。作品が違えば主人公を張っていてもおかしくない身の上かもしれない。
エリーゼ=アンジェル

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©2019 天城ケイ・ニノモトニノ/株式会社KADOKAWA/アサシンズプライド 製作委員
  • 可愛い。
  • 彼女が発言させたマナは《聖騎士》。高い攻撃力、防御力を誇り、全位階の中で唯一の回復アビリティ《祝福》を持つ。これによりHPとMPを自動的に回復し、この効果は味方にまで及ぶため、《聖騎士》がいるというだけでチーム全体の戦闘力が向上する。
  • 学期末公開試合(後述)にて最短打倒記録13秒を叩き出した。
フェルグス=アンジェル

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©2019 天城ケイ・ニノモトニノ/株式会社KADOKAWA/アサシンズプライド 製作委員
  • 画像右の男性が、現アンジェル家の当主にしてメリダの父。
  • 《聖騎士》のマナをその身に宿し、かなり強い。巻数的には彼が戦うシーンもあるはず。個人的には楽しみにしているが、はたして。
  • メリダが《聖騎士》を発現させていない現状、疑われているのは彼の妻が浮気した可能性である。当主としても父親としてもかなり複雑だろう。
《白夜騎兵団》(ギルドジャックレイブン)
  • 《燈火騎兵団》とは異なり、裏側で暗躍する騎兵隊。その存在は隠されている。
  • 元々名前すらなかったが、幽霊や天災と同じような恐怖の象徴として、「実際にはありもしないもの」としての代名詞として呼称されることとなった。
  • 貴族や大商人は皆、その名を恐れ、密談を交わすときなど壁の向こうの彼らの存在を恐れるとされている。
公開試合

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©2019 天城ケイ・ニノモトニノ/株式会社KADOKAWA/アサシンズプライド 製作委員
  • 終業式の前日(つまり、この後は長期休暇へと突入する)、乙女達が武芸を披露し合う公開試合が開催される。普段は外との交流を極力遠ざけているお嬢様学校であるため、多くの人が彼女達を見ようとやって来る。
  • 場所は学教区周辺の養成学校で共同使用されている巨大コロシアム。フィールドには森林、荒野、廃墟、湖上など、あらゆる戦場を想定した300メートル四方のステージ。 
  • 1ユニットの上限は5人、各ユニットに《大燭台》と呼ばれる拠点が割り当てられている、また、フィールドのあちこちには《小燭台》が置かれており、マナを流し込むことで点火することが可能。15分という制限時間内に『相手チームが守る《大燭台》を消したユニット』か、『より多くの《小燭台》に点火したユニット』が勝利となる。決して相手を倒す必要がないという点がポイントである。
マナ

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©2019 天城ケイ・ニノモトニノ/株式会社KADOKAWA/アサシンズプライド 製作委員
  • 全身からマナを吹き出させ、身に纏わり付かせれば防具のようになったり、身体能力を大きく向上させたりすることができる。武器に纏わせれば威力などを増幅させる。
  • マナを身に纏わせていない状態を《ロウ》状態(一般人)。マナを全身に万遍なくマナを行き渡らせた状態を《ニュートラル》。一部に集中的にマナを集めてスキルや攻撃、防御に利用する状態を《カオス》。それぞれの状態に状況に合わせて瞬時に偏移させることをまず特訓する。
  • 《カオス》状態を利用することで、少ないマナで大きな攻撃を行うなどが可能。今回メリダが行った作戦の一つ。

注目すべきポイント

検査

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©2019 天城ケイ・ニノモトニノ/株式会社KADOKAWA/アサシンズプライド 製作委員

決して変態的行為ではない。第一話の最後にて、メリダに飲ませた薬による副作用がないかの確認をしているのだ。第一話の解説で示した通り、薬によって生き残る確立は7割。失敗したとして何が起こるかまでは分からないのだ。

そのため、外見上は何も起きていないように見えても、体内が蝕まれているという可能性も捨てきれない。また、《侍》のマナがしっかりと馴染み、扱えているかどうかも知る必要がある。決して体に触りたいとか不健全な理由ではなく、生き残るために必要なことなのだ。

作中でメリダは女性として意識されていないことを気にしている。実際、クーファはメリダのことを女性としてかなり意識している描写がある。例えば、寝起きのメリダを見て天使だと思ってしまったり。顔に感情がでてくることはあまりないが、内心はかなり焦ったり、言葉にでてきたりするのが彼の一つの魅力なのではないだろうか。

今後のために

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©2019 天城ケイ・ニノモトニノ/株式会社KADOKAWA/アサシンズプライド 製作委員

無事にマナを解放させたメリダだが、クーファと命を賭けた二人三脚は既に始まっている。まず、クーファに課せられた使命というものを思い出して欲しい。

  • マナを発現する見込みがなければ暗殺する

クーファ曰く、メリダ様にはマナを開放する見込みは全くなかった。だからこそ、メリダの暗殺を一度は決意したのだ。

しかし、クーファは殺さなかった。これは暗殺者としてはやってはいけない、任務に背いた行動と言える。もしこのことが依頼者や上司にバレれば、メリダもろとも殺されることになる。

この時に問題になるのは、『メリダが《侍》のマナを発現している』ということだ。依頼主としては、メリダがマナを発現させていないことで生じる後継ぎ問題や当主の妻の浮気問題をどうにかさせたかったはず。《侍》のマナを発現させている状態では、それらの家庭問題は全くもって解消されないことになる訳だ。

この『メリダが《侍》のマナを発現している』という点に関して、クーファはメリダ様が大きな手柄を立てて実力で周囲を黙らせれば問題ないと考えている。どうやら燈火騎兵団というものはかなり実力がものをいう世界であるらしい。平民の出であるプリコットが《聖都親衛団》に配属される辺り、その実力主義の社会構造であることを示している。

現時点で無能才女としか呼ばれていない彼女が、《侍》のマナを発現していることで騒がれたくない。そのために『マナを使用しないよう』クーファはメリダに指示をした。そして、手柄を立てつつ、マナを発現しているということを依頼主達に示すために公開試合を利用することとした。

そして、辛く厳しい特訓が始まる……がアニメではカット。

  • メリダ様の家庭教師として付き従う

もしマナを発現させれば、メリダ様の家庭教師として3年間もの間、付き従うこととなる。現在、クーファがする任務はこれということになるだろう。

《白夜騎兵団》という闇の組織に所属する彼は、《聖都新鋭団》の面々に負けるも劣らずの実力者。教えるという行為に関してもかなり上手い。

……まぁ、その特訓に関してはばっさりとカットされていますが。

紳士

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©2019 天城ケイ・ニノモトニノ/株式会社KADOKAWA/アサシンズプライド 製作委員

ここで汽車から降りたった時にあった女性が、エリーゼの家庭教師であることが判明する。エリーゼからしてみれば運命の出会いだろう。嬉しそうな笑顔が可愛らしい。

しかし、本家の人間となったクーファからしてみればライバルのようなもの。紳士として振る舞う必要もない。また、本家と分家の仲が非常に悪く、分家の人間がメリダを陥れるべき色々してくるということをクーファは知っていたことによる行動……といえなくもない。

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©2019 天城ケイ・ニノモトニノ/株式会社KADOKAWA/アサシンズプライド 製作委員
特訓

アニメでは描かれていないので、超ざっくりとだが、どんな作戦を考えていたのかを言葉で説明しよう。

マナの扱いには特訓が必要。しかし、実力を示すことを考えると期間が短い。そのため、最低限のマナの扱いと、敵の攻撃をいなすことに全力を注いだ。

例えば『砂をかけることでの目潰し』、お嬢様学校ではまず教えられることのない実践的な技である。『武器を使わない攻撃』も戦闘慣れしていない相手の意表を突くという意味ではかなり有用。

また、マナの量が未だ少ないメリダが相手にダメージを与えるための技も考えた。少ないマナでの攻撃は、マナの多い防御にはダメージを与えられないのだ。

その技は全身に巡らせていたマナを一箇所に集めるというもの。用語・人物解説で示した《カオス》状態というものだ。マナのない場所の防御力は低くなるため、覚悟と慣れ、瞬時にマナの制御を行う技術や判断力が重要となる。そのための制御や判断力の特訓を、メリダとクーファは行っていた。

……このようなことを踏まえて戦闘シーンを見ていこう。

戦闘シーン

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©2019 天城ケイ・ニノモトニノ/株式会社KADOKAWA/アサシンズプライド 製作委員

まず一番メリダを馬鹿にしていたネルヴァに一撃を与える。一番油断しているであろう相手を狙ったという意味(試合前にクーファが煽ったことも意味を持つ)と、攻撃力において最強を誇る《闘士》の持ち主と戦うことで実力を示すためという意味もある。出だしはとりあえず上手くいった。

その後、まだ制御できるマナが少ないはずのメリダが、重たいネルヴァの攻撃を受け止めている。これは刀身にマナを多めに纏わせることで受け止めていることによってできた芸当だ。これにより刀身以外の部位の防御力はかなり悲惨なこととなっている。

もしもネルヴァがそのことに気がつき、武器で攻撃すると見せかけて胴体を蹴っていれば、メリダは死んでいてもおかしくなかった。まぁ、そういうことがないように、メリダは相手のマナを見て攻撃するようにクーファから特訓を受けているが。

『目潰しの砂』や『武器を囮にした攻撃』はクーファから直伝されたもの。

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©2019 天城ケイ・ニノモトニノ/株式会社KADOKAWA/アサシンズプライド 製作委員

そして飛び出すネルヴァの重量武器系アサルトスキル《ギャリックハンマー》を喰らう。ちなみにネルヴァが切羽詰まればこの技を使ってくるというのは完全に作戦通りであった。原作では算数ばりに数字をたくさん使って、この攻撃への対処などを考えている。

簡単に説明すると刀身に纏わせていたマナも全て使って防御に全力を注いだ……ただそれだけのものだ。《聖都親衛隊》や《白夜騎兵団》にとっては当たり前に使っているスキルであるが、まずマナを全身に均一にすることを教わる学生――しかも一年生ともなれば驚きの光景だったらしい。

とりあえず攻撃でズタボロになったように演技して、再びネルヴァの虚を突いたメリダ。この時のために温存しておいたマナをネルヴァへとぶつける。この時、ネルヴァは再び重い一撃を繰り出すため、防御に回していたマナを自然と攻撃へと移していた。そんな防御が薄くなった場所へメリダが攻撃したため、ネルヴァは倒れたのだ。

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©2019 天城ケイ・ニノモトニノ/株式会社KADOKAWA/アサシンズプライド 製作委員

これらが戦闘シーンでメリダが考えた作戦の全てである。アニメだけを見るとメリダが力でねじ伏せたように見えなくもないが、1から10までメリダとクーファが考えた作戦と特訓の成果による勝利だった。

はっきりいってこれらの全てをアニメで描ききることは不可能だ。絵的な演出に全力を注いだアニメスタッフの選択は間違っていないと思う。せめて公開試合の説明くらいはして欲しかったが。

エリーゼの活躍

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©2019 天城ケイ・ニノモトニノ/株式会社KADOKAWA/アサシンズプライド 製作委員

エリーゼも公開試合へと出場。マナを解放させ、優秀なネルヴァを打ち倒したメリダが目立っていた公開試合だったが、13秒で敵をねじ伏せたエリーゼの戦いにより、メリダの奮闘は目立たなくなってしまった。

これは何処かの誰かの差し金(?)なのだが、その話は次話辺りでやるだろう。

最後に

《無能才女》であるメリダに手柄を立てさせ実力を周囲に示すことが当分の目標となる本作。前情報なしの人がみれば「どこが無能やねん」と思われるかもしれない。それは全てクーファの策略による成果と言えなくもないかもしれない。

説明不足という気もするが、今後どのようにアニメが展開していくのかが原作ファンとしては気になる所だ。テンポ的には次話で第一巻が終わるだろうか。楽しみにしておこう。

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